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ツッコミ 44 〜トライアンドエラーの始まり〜

 ルートが見つけてきたのは、村の外れに生える一本の木であった。見た目は普通と言った感想以上のものを抱くことはなく、樹齢もそこまで経っていないように思う。杉、だろうか。なんだか鼻がムズムズしてきた。


 怪しい、と表現するくらいなので、何かあるのではないかと、そこにたどり着く前に聞き込みを行ってみた結果、こちらでも、怪しいと思われる情報が得られた。


「この村ができた頃から生えている、か。それでも、百年以上は経っているらしい」


 シュラナの声を聞きながら、ボクはそっと、木に手を添える。いたって健康な木、という感覚しか得られない。だいたいの年齢で言えば……。


「十年くらいしか、生きていないだろうね。まず、百年もここにあるなんて信じられない」

「キア様がそう言うのなら、なにか仕掛けがある可能性が高いですね」


 自身も植物のようなものなのだから、なんとなくだけど、そういったことは分かるつもりだ。そして、目撃されている期間と、樹齢とで差があるのなら、ある仮説が思い浮かぶ。


「時が止まっている、と考えるとさ。なんかリンクしてこない?」

「してくるな」

「してきますねー」


 二人の同意が得られた。次は、発見者であるルートの話を聞いていこう。


「俺が怪しいと思ったのは、この虚だ」


 可愛らしい前足が指し示したのは、半ば地面に埋まるようにしてできた虚だった。蜂の巣でもあるんじゃないかと、不安になってくるくらい、あまり目立たないものである。


「入り口は狭いけど、なんとか入ることができた。それで中を調べたんだけど、地中に向けて長い管みたいなのが伸びているみたいなんだよ」

「管?」


 気になって、伸ばした蔓を侵入させてみる。


 確かに、入り口と比べると中はしっかりとした空洞になっている。天井はそれほど高くはなく、直ぐに裂け目のように狭まって行き止まりとなる。


 対して下の方はお椀型。まるで削ったかのようにツルツルとした仕上がりで、言い表すなら、ロートのような感じだろうか。確かに、下へと伸びる細い管のようなものがある。


 蔓を細くして、さらなる侵入を試みるが……、どうやらかなりの長さがあるらしく、ちょっとやそっとじゃその終点は確認できない。


「すっごい、長い管があるね。根っことかそういうものではなくて、なにか、そういう作りのものが埋め込まれているような気もする」

「中身は、人工物だということか?」

「木にしては、ツルツルしすぎているかなぁ」

「分かる。めっちゃ滑った」


 つまりは、抵抗なく何かを流し込める、ということではないか。


「となると、カナネの仮説が有力になってくるね」

「何の話だ?」

「消えた湖、という言葉が、別の言葉に並び替えられるんじゃないか、という話なんですよ、ルートさん。例えば、木は得た、海の水を、みたいな」

「おお! すごいな! じゃあ、海の水を運んできて、ここに流し込めばいいってことか?」

「だが、産み出された水を、木は得た。みたいにすると、何処かから産み出された水を注ぐこと暗示しているとも考えられる。例えば、あの洞窟の水を持ってくる、とか」


 シュラナの言葉にも、ルートは納得してみせた。僕たちの目の前には、二つの水が提示されている。果たして、どちらが正解なのだろうか。


「もしも両方試さなくてはならなくなるとして、カナネはどちらから採取したほうがいいと思う?」

「海です」

「それは何故?」

「理由は、どれほどの水を流し込めばいいかを暗示されていないことです。もしも大量に必要であるなら、別にタンクを用意しなければなりませんし、そうなると、結局はあの山の方へ戻らなくてはなりません。そのために、先ずは海へ向かって海水を採取し、確かめる。次にタンクを買うついでに洞窟の水を採取する。そして注いでみて反応を確かめたら、また海へ向かう。その方が手間は少ないかと思います」


 聞いているだけで頭が痛くなってくる工程だ。地図上からワープが出来たテレビゲームのありがたみを、ボクは無い物ねだりをしながらしっかりと噛み締めた。

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