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ツッコミ 43 〜手がかりを求めて〜

 聞き込みの成果は、思わしくないものだった。


 それぞれが別れて聞き込みを行ったものの、勇者や樹神様(じゅがみさま)といったネームバリューも効果はなく。湖のことなど知らないと一点張り。


 カナネが古い地図を見せて聞き込んでも、そんな事聞いたことがないとの声が多かった。別の意見は、そんなに古いことは知らない。この村ができたのは、おそらく湖が消えた後だった。


「手掛かり、なしかー」


 ボクはため息をついて、みたらし団子を頬張った。味噌と醤油が名産であるらしく、いくつかある蔵では簡単な料理も出していた。


 その一つ、店先にベンチが並んだ茶屋のような場所で、成果の確認をしていたのだ。


「味噌や醤油を作っているところなら、かなりの歴史があるんじゃないか、なんて思ったんですけどねぇ」

「これ以上聞き込みを続けても無駄だろうし、早いとこ現地を見に行ったほうがいいかもしれない。ルートが戻ってき次第、行きたいところなんだけど……」


 その猫は、未だボク達の元へ戻ってきてはいない。どこまで散歩に行っているのかは分からないけれど、余程興味をそそられるものがあったのだろうか。


「ルートなら一人で戻ってきても、馬車でのんびり過ごすでしょ。ボク達だけで調べるのもいいと思うけど」

「案外、先に現地に行っているかもしれないですしね。とりあえず、食べ終わった行きましょうか」


 お茶で喉を潤して、会計をして店を離れる。もち米などは取り寄せているためか、なかなか値の張るものだった。観光地価格、というやつかなぁと思いつつも、観光する場所は特にない。成果を上げた、冒険者に向けてのものだろう。


 村から出て直ぐに、背の低い草に覆われた平原に出る。丘の上に立つ村からの傾斜は穏やかで、下っている感覚はあまりないから、平原だと錯覚してしまうほどだ。


 けれど、しばらく進んで背後を見れば、確かに下っているんだと実感できる。


「キア、土の感じはどう?」

「ふつー。何の変哲もない感じ」


 根を張って調べてみても、なにか仕掛けがある感じには思えない。けれど、それで魔法陣の仕掛けを見逃したこともあるので、あまり過信することは出来ないだろう。


「違和感があるとすれば……、動物の姿が見えないことですかね。モンスターの気配すらしません」

「寄り付かない何かが、あるってことかな?」

「魔法陣的な何かだったら、僕達にはお手上げだね」


 唯一手を上げない可能性があるのはルートなのだけど、彼も今は居ないため、本当にお手上げ状態である。


「何か仕掛けがあるとしても、湖は結構広いですよ。歩き回るのも一苦労です」

「何かヒントがあるといいのだけど。消えた湖から、何か連想できないかな」

「消えた湖、か。そこには魚がいたのかどうか。いたとしたら、その魚はどこに消えたのか、とか」

「化石なっている可能性があるかもしれませんね」

「んー、でも、根を伸ばした感覚では、そういったものは感じないけどなぁ」


 しばしの沈黙。


「消えた湖……。消えた、湖……。きえたみずうみ。き、えた、みず、うみ。あれ、消えた湖と言うワード、入れ替えると別の言葉になりませんか?」

「え?」


 ボクとシュラナは、同時に声を上げた。


「水、得た、木、産み。とか。海、水、得た、木。とか。なんとなく言葉になる気がしません?」

「あー、なるほど。それなら、木を得た水を産む、みたいな木を手に入れることで水が現れる、みたいな、そういうキーワードにもできそう」

「その仮説が正しいのなら、外せないのは木の存在だね。なにか、目印になる木が、此処か、これより先の海の方にあるのかもしれない」


 見渡す限りは草原だけど、そこに何らかの木があれば、探索の目印になることだろう。


「一度、高台に戻ろうか」


 シュラナの提案により、ボク達は来た道を引き返す。


「村に怪しい木があるぞー」


 出迎えた猫の一言に、ボク達はなんとも微妙な気持ちを抱くのだった。

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