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ツッコミ 42 〜新たな村〜

 初めてのキャンプは、思っていたのとは少し違っていた。現代日本のキャンプでは、グループやソロなど、いろいろなタイプがあると思うが、総じて、キャンプという行為を楽しむために行っているのだと思う。


 対して、この世界のキャンプはどうか。


 いつ凶暴なモンスターが襲ってくるか分からない状況で、和気あいあいと料理を作ったり、のんびり会話を楽しみながら眠ったりすることもない。


 大抵の場合は見張りが必要だし、獣よけのために火は灯し続けなければならない。


 むしろ、移動しているときの方が楽しかったくらいだ。


 そんな若干の期待外れを味わいながら、馬車は街道を進んでいき、目的の村へと到着する。そこまで規模の大きな村ではなく、農村、自給自足の集落、といった雰囲気を感じさせる長閑な村だ。


「この村、旅をするときの休憩地点として知られているんです。更に一日ほど東に行けば海に出て、そこでは珍しい石が転がっていたりするので、簡単に稼ぎたいなぁ、という人達には人気のコースですね」

「カナネもその一人だったんだね」


 照れたように頷いた。


「基本的に、宿泊は誰かの家に泊めてもらう感じです。それが嫌なら野宿ですね」

「泊めてもらうのが嫌なケースってあるのか?」ルートの素朴な疑問。

「お礼をするのが礼儀ですからね。主に金銭。お金を稼ぎに行く人が多いのですから、ちょっと出費は避けたいなぁ、という人も多いんですよ。行きは野宿、帰りは豪華に、なんて人もいますけどね」


 なるほど。窓から見える家は、簡素ながらも造りは悪くない。木造なのは、森が近くにあるからだろうか。石が採れそうな山は見当たらなかったし、レンガを作る為の窯も見かけなかった。


「あ、シュラナさん。そこを右に入ると駐車場があります。そこに停めてください」


 言われた通りの場所に止めると、馬車から降りたカナネは近くの家の玄関をノックする。現れた年配の女性と軽く言葉を交わすと、直ぐに家の裏手へと回っていった。


「彼女が馬の世話をしてくれます」

「お礼はどのくらい?」

「日雇いなので、調査にどのくらいかかるか、次第です」


 向こうからすれば、できるだけ長く居てほしいと思っていることだろう。玄関からこちらに視線を向けた時、僅かに笑みが宿っていた。


 ボク達の質問が終わったタイミングで、今度はシュラナからの質問。


「じゃあ、先ずは湖の事を聞き込んで、その後、実際に現地の方へ行ってみようか。そこまでは遠くないんだろう?」

「地図を照らし合わせると、そんな感じですね。本来なら、この村かも湖が見えてもおかしくないんですけど」


 村はなだらかな丘の上にあるため、僅かに平地が見下ろせた。一面背の低い草に覆われており、そこに湖があっただなんて、誰も想像することは出来ないだろう。


「聞き込みとか面倒くさいし、俺は散歩なー!」


 花弁から飛び出していくルートに向かって、迷子になるなよ、とシュラナの声が飛ぶ。これが犬であったなら、何らかの匂いを嗅ぎ取った、と想像してしまうのだけど、果たして猫の思惑やいかに。

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