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ツッコミ 37 〜キャベツはどうする?〜

 五合目にある騎士団の詰所へと報告へ行った時、彼らは当初、半信半疑であった。それが本当に研究所や秘宝に関わっているのか、判断がつかないといったいところだろう。


 それを打ち砕いたのが、滝を開く方法である。


 ボクなりに伝わる言葉で言うと、あれは音声認識であろうか。特定の単語に反応する仕組みではあるが、発言者の素性は問わないため、少し表現が違う恐れもある。けれど、声によって反応を示すというものが、そのような魔法がこの世界にはない、ということが重要なのである。


 シュラナが魔法――、魔法剣を使う際の口上は、別に言わなくて良いものである。よって、魔法を使う際に何かを発言するということはない。ただ単に、精神を集中するだけでいい。それがセンスによるところが大きいため、使用者が少なくなっている要因らしいが、それを誰でも使用可能にするのが、魔法陣。


 しかし、あの周辺には魔法陣らしきものはなかった。


 滝に入られないのなら、周辺を調べてみよう。他の冒険者が挙って調べていたようだが、何の成果も見られなかったのがその証拠だろう。


 よって、あの仕組みには超常的な何かが使われている。それを可能とするのはきっと――神のみだ。


 そこから詰め所内はてんやわんやで、ただでさえ登山道の封鎖で人員を使っているのに、新たに発見された洞窟の調査に人を割けるわけもなく。出来ることと言えば見張りを置く程度。


 であるからして、当然の如く、事はボク達の有利な方向へ運ばれていく。


「では、私たちがしっかりと調査をしますので、その打ち合わせをしましょうか。洞窟の先がどうなっているか分からない以上、出口を開いてもらえなければ、どうすることもできませんし」


 そんなカナネの、ウキウキしながらの発言に、騎士は頷くしかなかったのである。


 そして現在。ボクは拠点である宿で食事を用意してくれている、髭の似合う壮年の料理人と対面していた。


「なるほど……、コロッケの作り方ですか。材料を混ぜ合わせて、衣をつけて揚げる。そう言った事を聞きたいわけではないのでしょう?」


 顎の髭を撫でながら、丁寧な言葉を使ってくれる。相手によって話し方を変えるタイプではなく、元来こういった丁寧な人物らしいのは、弟子らしき人物に対する当たりにも表れている。


「そうですね。先ずはジャガイモを蒸す。それと同時に、挽き肉と――タマネギも炒めましょう。一緒に炒めてもいいですが、タマネギを飴色まで炒めると甘みと風味が増しますので、別に炒めることにしましょう。……あぁ、君、皮むきは終わったのですね。手が空いているのなら、少しメモをお願いします」


 そうして、滝を開く鍵を手に入れた。これでどのくらいの長さをかけていられるのかは、騎士に確かめてもらうとしようか。


「あ、付け合わせのキャベツはコロッケに含まれますか?」

「それは……、いや、どうなのでしょう」


 ダメ元で、メモに追加をしてもらった。

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