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ツッコミ 24 〜原因〜

「なんか、ドキドキしますね。潜んでいる悪者に見つからないようにミッションを遂行する感じが、こう、流行りの小説みたいで」

「そういうのが流行っているんだ」

「はい。腐ったミカンが襲ってくるんです」

「舞台は学校だね」

「よく分かりましたね」


 ある程度の年齢の人に贈る連想ゲームかよ。


 とまぁ、そんな話をしながらも、ボクとカナネは周囲の探索に勤しむ。脈動するように大きさを変えるネズミは、攻撃与えたもの、というよりその様な行動を取った者に狙いを絞る性質を持っているようで、トロッコを停める行為がその手の行動とみなされたため、真っ先にボクが攻撃に晒されたと考えられる。


 それを示すかのように、逃げ出したネズミを追い掛けた二人(内は一匹)のうち、次のターゲットとなったのは、先頭に立って当たらないなりにも剣を振るったシュラナだった。当たらないなりにも攻撃をしてヘイトを稼ぐ勇者、攻撃してダメージを狙う猫と、向こうでの役割は明確だ。


 対してこちらはどうか。


「ここ、下も横も異常なし。魔法陣は?」

「変化なしです。トラップの類ではないかもですね」


 地面に描かれた魔法陣の調査を行っていた。カナネは魔法はからっきしなのだそうだが、トラップの類の解除には精通しているらしく、その要領で地面にある魔法陣を調べようとしていたのだ。


 幾何学模様が敷き詰められた円形の陣で、それを例えるのならコンピューターのようなものだと、ボクは感じた。陣に刻まれた行動、現象を実行するのだから、そう例えたほうが現代を生きたボクにとっては馴染み深い。


 起動方法も様々で、スイッチのように乗るタイプや、その上や付近で特定の行動をするタイプ。特定の時間になると起動するタイプなどもあるようだ。


 解除する為には陣を形成する線を、一部でもいいから消せばいい。単純ではあるものの、その行動をトリガーにされてしまっては一巻の終わり。消し方にだって、様々な作法があるのだと、カナネは胸を張って解説をしてくれた。


 この空間内にある魔方陣は、全部で三つ。二面あるテニスコートの、片方に二つ。片方に一つといった具合だ。なぜそうなっているのかと言うと、一つしかない方は、トロッコの終点が存在している都合だろう。


 出入り口に近いところであるから、それほど重要ではないのだろうと思っていたが、起動方法すら分からないとは。


「壁の向こうや地面の下に変な空間があるわけではないし、起動を止めているということは……、まさかとは思うけど、これが作物の巨大化の原因?」

「残りの二つは淡く発光していることから、発動しているのは確実です。一つはネズミに関係するのだとしたら、もう一つはこの地下空間の光源? んー、これ以上は専門家が必要です。なにか資料があるといいんですけど」


 資料があれば、というが、だだっ広い空間には魔法陣しか存在しない。何かが隠されているとしたら、隠された存在が存在するのだろうけど……。


「この起動していない魔法陣が移動用のもので、隠し部屋に繋がっているとか?」

「それはあり得ると思うのですけど、問題はどうやって起動するかということと、本当に移動するためのものかを確かめる方法ですよね」

「壁とかに案内板とかないかな?」

「なるほど。魔法陣を意識していたら見落とす、よくあるパターンですね。これは……、ネズミに見つからないように進まなくては!」

「小さくなった奴の尻尾、踏まないように気を付けてね」


 虎穴に入らずんば虎子を得ず、なんて言うけれど、虎の尾を踏む、なんて言葉もある。相手はネズミなのだけど、それくらいの心得を持ってかからなければならないだろう。


 慎重に、周囲を確認して歩みを進める。ボクは蛇のように蔓を操って進む。蔓の一部が魔法陣に触れた。


「あっ」

「えっ」


 その瞬間、魔法陣が眩いほどに光り輝き、ボク達の身体を包みこんだ。眩い光に景色は塗りつぶされ、色を取り戻すには時間がかかる。


 世界が色を取り戻したとき、ボク達はそれを見た。


 そこは、十畳ほどの部屋だった。左右の壁は本棚で埋め尽くされ、様々な本や紙の束が納められている。そして、目を引きつけてやまないものが、奥の壁際にあった。それは魔法陣であり、その上には、見覚えのあるものが鎮座している。


「大きな、花弁だ」

「あれ……、キア様と同じものですよね?」


 そうとしか思えないものが、確かにそこにあった。


 しかし、それはひどく萎れているようで、乾燥してしまっているようで、触れれば崩れてしまいそうなほどだ。


「ここを……、調べてみようか。ボクは文字が読めないと思うから」

「はい、私が読みます。キア様は休んでいてください。傷のこともありますし」


 ボクは直感した。植物の巨大化の原因はこれであり、おそらく、萎れてしまったことが、今回の依頼の真相だった。 

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