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第6話 類まれなる織姫




いつも妹の勉強を見てくれてるから、そのお礼。

幼馴染の萌奈は協力者というには消極的だが、俺の恋路のお手伝いをしてくれている。

確かに俺は愛結の師匠として勉強をみてやってるがそこには思惑も打算もない。その場の勢いというか成り行きで始めてからなんだかんだ続いちゃってるだけだということはぜひとも言い含めておきたいところだ。お忘れなく。


ともかく、義理堅い萌奈には攻略では大変お世話になっている。

集めた情報(ある程度本人のプライバシーを遵守した上で?)を提供してくれるのは正直すごく助かってる。


そして今回、萌奈にもたらされた情報はとても有用だった。

どうやら笘篠美月さんはコンビニでバイトしているらしく、しかもそのバイト先は明里さんの家の近所であるらしい。

まってくれよ。

これほど都合の良い情報あるだろうか。

クラスのゴシップネタに目がない源が言っていた、彼女は最近バズを起こしたインフルエンサーという情報もあとあと使えそうだし、これはもう攻略完了も同然なのではなかろうか。2年生になってからなんだか幸先が良いぞ。

初詣のおかげかこれ。


さて、ならば俺はこれらの情報をもって笘篠さんと友達にならなければならない。


明里さんグループの新人メンバーである笘篠美月と密かに仲良くなれれば、間接的に明里さんとも接触回数が増える。そうすれば今年の目標である「明里さんと友達になる」達成は必然と言えよう。


こうしちゃいられない。

同じアルバイト先に応募せねば!

ここからはトップスピードだぜ。





明日からゴールデンウィーク。

まさしく輝きに満ちた連休を目前に学生たちは今日も勉学に励んでいる。

1時間の授業を終えるごとに、皆の気持ちが高まるのを感じる。

そうして、4時間目の数学を終えて昼休みが始まると、快哉を叫ぶように教室が賑やかしくなった。


「優斗くんさぁ……」


騒がしい教室では誰もが頬を緩ませ浮足立っているが、唯一俺の口角だけは釣り下がっていた。


「山があれば谷もある。うん、大丈夫大丈夫……」


正直、バイト先を知った時点でもう勝ったと思っていた。

この俺がまさか落ちるなんて、思わなかった。思わなかった。

面接は無難にこなせたはずだ。週4入るとアピールもした。なぜだ。舐められちゃいかんと思ってウルトラマンのジャージで行ったからか。それとも面接予定時間までずっと立ち読みしてたからか。どうしてなんだ!


「くそぅ」

「まぁいいじゃん、もう1人の方と友達になればいいだけだろ。たしか水瀬陽茉梨さんだっけか」

「いや、まだ俺は笘篠さんをあきらめていない。こうなったら、あのコンビニに通いまくってやる」

「通報されるぞ、お前」


源がピシリと割り箸の先をこちらに向けてくる。

出禁になったらいよいよ水瀬さんを狙うことになるかもな。


「もう、足掻くしかないんだよ。でも俺はこういうの嫌いじゃない」

「優斗……ガチでお前のその執念には恐れ入るわ、ほんと……」


腹はくくった。

もう決めた、俺はコンビニ通いをする。毎回変なもんを買って相手の興味を引いて話題を作り、ちょくちょく話すようになってから、じょじょに友達になっていくという寸法だ!


「よしゃ!」


そう意気込んだ。

明里さんの隣で楽しそうに笑っている笘篠さんを見て、俺は勢いよくサンドイッチに齧りついた。





明里ちゃんが可愛い。

自己紹介するときとか、手紙をしたためるときとか、何かをプレゼンするときとかの最初の1文って迷うよね。かくいう私も今の心情を何から吐露するか迷ってて……とりあえず今真っ先に思いついた感想を呟いてみた。

明里ちゃん可愛い!


最近、私は結構重い悩みを抱えているんだけど、もう明里さんが可愛いかったらなんだっていいかもしれない。

悩みって紙に書き出したり誰かに相談したりすることで、すっきりするって聞くよね。でも、私としては明里さんの話をした方がすっきりすると思う。


明里さんと友達になれたのは、席が近くで一緒に話す機会が多かったのと、バイト先が明里さん家の近所だったからだと思う。惜しむらくは明里さんが誘惑の多いコンビニには寄らない主義を掲げちゃってることだよね。明里さんがコンビニに寄る人だったらもっと早いうち友達になれていたかもしれない。

そう惜しんでしまうくらいに明里さんと友達になってからは学校が楽しくなった。


今までの私にとっての友達っていうのは常に近くにいる知り合いみたいな、そんな感覚だった。好きな話題で盛り上がってる時とか遊んでるときはちょっと楽しいってくらい。私って人付き合いはそれなりに上手いつもりだし、何度かモテたこともあるし、恵まれてる方だなって自認してる。明里さんと合う前の私は、賢く立ち回りながらほどほどに学校を楽しんでた。


でもね、明里さんと友達になってから私は気づいてしまったの。本当に、学校生活での私の楽しみ方って、ほどほどだったんだ、って。


今はもうね、友達ができてすごい楽しいの。

知り合いの延長なんかじゃない本当の友達ができてから、私は明里さん以外のグループの人たちとももっと仲良くなりたいと思って一緒に遊んだりしていくうちにね、もうね、青春って感じかな? 趣味の動画投稿に付き合ってもらったときとかもう夢みたいでとにかく幸せなの。

お友達っていいよ。

この高校を受験してよかったって思うくらい、ほんとに。


はぁ~、だからね、もう今の私は無敵だね、スーパーウーマンだよ。


えーと、それでなんだっけ? 私に悩みなんかあったっけ?


あぁーそうそう。

私のバイト先になんか、私のストーカーみたいな人がいてね、ちょっと 怖いんだよねぇ……。今はぎりぎり私の被害妄想というか自意識過剰ってラインだから相談はまだしてないけどね。

なんかあの猟奇的な目がさ、そのうちライン越えるからなって言っているようで怖い。

でもまだ様子見かなぁ。


こんな時は明里ちゃーん、なぐさめてぇー!








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