表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/14

第5話 一寸先はトワイライト



これまで俺は明里さんを攻略することに勤しんできた。

人間として格が違う彼女と対等になる覚悟を決めつつも、面と向かう勇気がない自覚はしていたから、外堀を埋めるやり方で攻略を進めてきた。


成果は結構あったと思う。明里さんの友達とは仲良くなれたし、親友の方とは知り合いになれた。同じ図書委員会で明里さんと俺の2人きりの桃色図書室を作り上げることもできた。

なんとか知り合い以上友達未満にはなれたはずだ。ほら、中々悪くない結果だろそうだろう。よし自分を褒めてあげよう。


さて、東優斗よ。

高校2年生となった俺は、どこまでを目標とする!


ふう。

……随分と難易度は上がるが、友達以上恋人未満、てところか。


いや、ちょっとまてよ。

友達以上恋人未満って、なんかギリギリ恋人にはなってないみたいなニュアンスで捉えてしまうが、普通に友達ってことだよな? 言ってしまえば俺は明里さんと友達になればいいってことだよな? 


なんか、そう思うと簡単に思えてきたぞ。

まったく、なに明里さんへの失言ごときで萎えているんだ俺は。


できる、俺にはできる!


まずは明里さんと友達になる。


そうだ、俺は明里さんと友達になるんだ!





「で、どうやって友達になるんだよ」


雑に向かい合わせた机の先にいる源がクロワッサンをかじりながらそう言う。

授業が終わり、お待ちかねのお昼どきになれど俺たちは依然として真剣だった。

源も俺がどのようにして明里さんと友達になるのか興味津々で聞いている。


「ぶっちゃけ、そんな難しくないと考えてる。できるかぎり自然にターゲットの友人と仲良くなるだろ? そんで自然に輪に入っていくんだ」

「うわ、ぱっとしねぇ」

「結局、交流の広がりかたってそんなもんだろ」

「まぁ、それはそうだけどさぁ……なんかもっと奇策的な盤外戦術的なのを期待してんだよこっちは」


そう言って源は力強くクロワッサンを噛みちぎった。

俺のロマンスは見世物じゃないんだが。


「んなこと言われても知らんよ」

「はいはい。それで? 具体的に誰と仲良くなるんだよ。明里さんめっちゃ友達いるけど」

「そりゃあもちろん。新しくできたグループにいる人だな」


クラスメイトが一新されれば、グループも一新される。もちろんクラス替え後も他のクラスから友人がやってくることもあるが、時間経過で減っていきがちだ。対して新しくできたグループであれば少なくとも一年は変わらない可能性が高いと俺は見ている。経験則だけど。


「具体的に言えば……」


昨晩、俺は誰がいいのかずっと考えていた。

まずその人物は新しいグループのメンバーであること。

これは確定だった。

しかしながらグループのメンバーは明里さんを含めて5人もいる。皆きらきらした女性でなんだかアイドルグループみたいだなぁとは、源の言だ。げんげん。

1人は明里さんの幼馴染であり親友の子で、俺とちょっとした知り合い。仲が良いかと言われれば別にそうではない。

もう1人は去年も明里さんグループにいた子、そしてもう2人は新しくクラスメイトになった子たちだ。


さて、この中から1人でも仲のいい子を作りたいわけだ。

理想を言うならば親友の子だろうが、ぶっちゃけ論外だ。明里さんの幼馴染ということはこれまで明里さん狙いで言い寄ってくる野郎と幾度も対峙しているはずだからである。となれば去年からメンバーだった子も除外される。

最後に残ったのは2人。

水瀬陽茉梨さんと笘篠美月さんだ。

2択になってしまった。


……ハーレム主人公気取りね。烏滸がましい。


萌奈の声が頭の中で響いたがあれは幻聴だったに違いない。


さて、ここで俺はどちらを選ぶべきか。いやそもそもどちらも選ぶか。それを昨晩の俺はベッドの上でのたうち回りながらずっと考えていた。


2人の女性を同時に狙って仲良くなるのは中々ハードルが高いためやはり1人を狙うことに帰結したはいいものの、結局どちらと仲良くなるか問題は残ったままだ。


だが強いていうのなら……。


「笘篠美月さんかなぁ」

「はぁ!? 」


まじかよ! と源は瞠目する。


「俺からすれば美月さんも明里さんも同じくらい高い壁なんだが!? 外堀で笘篠さんいけるんだったらもう直接明里さんいけよ」

「好きな人だったら勝手が違うんだよ」

「俺にはよくわからん。で、なんで笘篠さんなんだよ?」

「協力者の情報によれば笘篠さん、バイトしてるらしいんだよな。同じバ先になれたら希望がみえる」

「いやいや、そうは言っても笘篠さんってまぁまぁバズったインフルエンサーだぞ!?」

「なんだ、いっつもそんな具合悪いのか彼女。そんな情報は聞いてねぇぞ」

「ちげぇよ。いいか」


ここだけの話とばかりに、源が耳打ちしてくる。


笘篠さんはどうやらショート動画サイトでそこそこの人気があるらしいのだ。

先週、明里さんとのダンス動画をアップロードしたところ見事にバズり、俺にはよくわからないが75kとすごい数字を叩き出したらしい。


「ムゴくね。自尊心とか大丈夫か笘篠さん」

「普段笘篠さんは顔隠して高難易度なダンスするのを動画にしてっからな。バズっても明里さんが可愛かったねで終わるんじゃないか? しらんけど」

「まぁ、もし笘篠さんが可愛さアピ系のインフルエンサーだったら明里さんは出さないか」

「たしかに」


俺たちは頷きあい、ついでとばかりにちらりと明里さんの顔を見た。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ