表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/137

13話【共有者】

『真瀬敬命が職業《共有者》を獲得しました』



 アナウンスが響き、僕は自分のステータスを見る。

 職業ボーナスが、全ての能力についていた。


 職業をタッチしてみると、職業についての説明が表示される。




【共有者】パーティー全員の職業ボーナスと、共有者の獲得した基礎ツリーで上げた能力値をパーティー全員で共有化する。スキルによる恩恵を他者に分け与え続けたものの職業。




 とあった。ということは……。


「坊主は職業もえらいチートだな……俺のステもえらいことになったぞ。魔力、技力法力がめちゃくちゃ上がってる」


「私もですね。筋力と技力のボーナスは武藤くんの職業戦士によるもの、敏捷と運は真瀬君、法力と技力は有坂さんの回復師のものですね。上がり幅が大きい。お陰でMPも潤沢です」


「私も、ボーナスが追加されてます」


 皆が口々に言う。

「みんなの役に立つ職業で良かったです。職業ツリーを見て欲しいんですが」


 僕の職業ツリーは皆と比べると、割と特殊でレベルアップで覚えられるスキルはない。その代わり、5レベル毎に共有ストレージの容量が+10される。


 1レベル毎の恩恵は、全員の各職業と僕の基礎ツリーで上げたものにボーナス+1。最大の50レベルまで上げれば+50にもなる。

 技力は3人が各職業でボーナスを持つので+150となる。


 個体レベルでの能力値の上がり幅は1~3、職業レベルで上がるのはボーナスがつく職業における能力値で1~5だというのがわかっている。


 全員が全員のボーナス+αを得られる【共有者】はとても大きなアドバンテージになる。

 それに共有ストレージが大きくなるのも嬉しい。


「真瀬くんらしい職業だね」

 ふわりと有坂さんが笑って言う。


「そうかな……? でもみんなの役に立ててよかったよ」


 僕の職業が生えたことで、方針としてはレベルアップ毎に回復師を2レベル、共有者を1レベル上げ、魔術師と戦士のレベルは交互に上げて行くことになった。



 ガチャで出る経験点の碑石は基本的に宗次郎くんたちへ、ポーション類のいくつかも宗次郎くんたちの共有ストレージに入れてもらった。


 今回のガチャは新しいスキルはなく、武器も特に更新はなしでストレージ送り。アイテムも残りはマジックスクロールとポーション類で終わりだった。


 ツリーへのポイント振りも終わった僕らは、一度2階入り口へと引き返すことにした。新規パーティーたちが心配で攻略後に戻ろうと話した通りに。


 だけどボス部屋の入り口の扉を開けようとした武藤さんが「開かねぇ……!」と呟く。

 斬撃を当ててもびくともせず、壁も壊せなかった。原国さんの魔法でもそれらは壊れることはなかった。


 道中も検証したが、壊せたのは1階隠し部屋の壁だけで、スキル攻撃で壁や扉は壊せないらしい。


「一方通行、ということですか」

 ぽつりと原国さんが苦虫を噛み潰したような表情で呟く。

 その言葉の後に続きがありそうだったけれど、原国さんはそれ以上は何も言わなかった。


「戻れねえなら進むしかねえ。3階で苦戦してる奴らを助けに行くと思えばいいさ」

 武藤さんがからりと言って、みんなを導く。みんなどこかほっとして力が抜けた。


 武藤さんのお陰で、僕らに不都合で嫌な何かが起きても、悲壮感が長引かない。

 僕がすごいなと思って眺めていると「どした?」と聞かれたので「武藤さんみたいなお兄さんが欲しかったなーって思って」と素直に答えた。


「俺も坊主みたいな弟欲しかったなあ」

 と笑って、背中をぽんと叩いてくれた。その言葉も感触も嬉しい。


 夢が覚めたら、有坂さん以外のみんなとはお別れなのかもしれないと思うと、少し寂しかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ