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異世界からの帰り方 答え合わせ編  作者: たかなしことり
7/12

3日前 合流する


 峠に向かう道をサクサク歩いていると、昼近くになってなんかスープのいい匂いがしてきた。

 人がいる、と思って歩き進めると、前に野宿した場所で、髪の長い人影が、しゃがみこんで火の加減を見ていた。

「おい。」

 声をかけると、サラは振り向いてマーシェを見た。

「やあ、おはよう。」


 「おはようじゃねぇ。もう昼だろう。それは朝飯なのか、昼飯なのか。」

「あー。今起きたとこ。」

「俺もそれ食っていい?」

「いいよ。ずいぶん遅かったね。」

「多分俺が一番遠くに飛ばされた。」

「だろうね。」

 マーシェが差出したカップに、サラは自分のカップの半分を注いだ。

「あのエルフを中心に、多分30レルぐらいは飛ばされた。僕はこの南東。君は西か南西だろう。ならあっちとそっちとむこうに一人ずつって推測が成り立つ。」


 サラが、北向きに三方向を指さした。

「俺も同感。」

「リズベルがファーツェに着いている可能性がある。」

「確認するまでは、送り届けたことにならない。」

「真面目だなぁ。ヒロキはどうするの。」

「あれは探しようがない。」

「あー。」

「さて、出発しよう。」

火の始末をして、歩き出す。


「探せなくはないんだけどね。」

「合流するのが先だ。まだエルフの集団が近くにいるかもしれないんだぞ。」

 サラは黙った。

 アティスの事がすべてに優先する。

 ひっかかるといえば、ヒロキが持って行った兄の毛布だ。

 まあ、捨てるならその方が良い。後生大事に、しかも人から見えるように持っていたら、暗殺者に狙われている兄の巻き添えで、さっくり殺されるだろう。

 今頃死んでいるかもしれない。


 その後はほぼ無言で歩く。

 間もなく峠を越えて、日暮れ前にはレケト村に着いた。

 宿屋はないが、峠を越えて来る商人などのため、アーグシィ神殿に大きめの宿坊があり、お布施の名目でいくらか払えば泊まることができる。

「お、来たな。」

夕闇の宿坊の庭で、ファラが剣を振っていた。

それをアティスが階段に座って眺めている。

「あ、兄さん!」

「そろそろ来るかな、と思ってたんだ。」

「この辺りに飛ばされたのか?」

「この東にある谷底に飛ばされた。上がってくるの大変だった。」


 谷底をよじ登ってきたらしい。

 さすがだ。

 ファラがこの東なら、リズベルが西に飛ばされた可能性がある。

 しかしこの西は、確かホビットの集落があると聞いたことがある。

 温厚な種族だが、急に降ってこられたら揉めるかもしれない。


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