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異世界からの帰り方 答え合わせ編  作者: たかなしことり
6/12

4日前 歩く

 街道沿いの町フウラに着いて宿を取り、翌朝未明に町を発つ。

 四日ほど前にもここを通った。 

 それほど治安は悪くなさそうだったのに、今回は宿の外に死体が2つ転がっていて、どうなってんだこの町、と思う。


 薄闇の街道を身軽に歩きながら、そういえばサラと知り合う前はこんなだったなぁと思い出す。

 ぐーたらのハーフエルフの朝寝坊にはさんざん困らされてきた。今頃どうしているだろう。

 昼をいくらか過ぎた頃、ヒロキを拾った岩場が見えてくる。

 まさかいるかも、と覗いてみたが、さすがに誰もいなかった。


 すこし休憩してまた歩き出す。

 本来ならこのぐらいの距離感で、一晩ごとに宿をとって峠を越えられるはずなのだ。なんであんなにグズグズと野宿しながらの旅になるんだ、と考える。

 マーシェは頭を振った。

 考えながら歩くと、距離が稼げない。やめておこう。


 夕方にはリアムの町に着いた。

 さっさと宿を取り、食料を調達した。

 一応他の仲間が通っていないか、露店の店主に確認する。

 行きにも寄った店の店主は、マーシェの顔を覚えていた。

「あれ、帰りかい?」

「ま、そんなとこ。」

 宿の安い部屋は他の宿泊者と同室になるのがきついが、抜身の剣を握って寝ているのを見ると、誰も近寄ってこない。


 翌朝夜明け前に宿を発つ。

 さて。エルフに吹っ飛ばされたとして、そろそろ他の連中もこの辺りを通るころなんだけどな。

 山道に差し掛かって、辺りを見回す。

 もう一回アティスを呼んでみようか。

 いや、そんな事をしたら、兄にブチ切れられるに違いない。二日経ってまだ探せないのか、と。

 迷う。

 でもエルフに追い払われた森の動物たちが、そろそろ戻ってくる頃でもある。仕方ない。


 「アティス!無事か!」

 白んでくる空に向かって叫ぶ。


 少し待つ。太陽が昇り始めた。

「レケト村にいる!」

 声が聞こえた。ホッとする。レケトは峠を越えたところにある、ファーツェとリアムの間にある村だ。

「待ってろ!」

 あーよかった。弟は無事だ。

 それなら後は、少々怒られても大したことはない。


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