第2話……時の話
時を操るとか楽しいのかな?と
全てとは?
俺は嫌な予感がしながらも尋ねるとレフィアは
「だって私一人で神の仕事の半分こなすのよ!なら私の手伝いをしてくれるあんたは私のやらない場所をやるのが筋でしょ?」
無茶苦茶である。
「それで……地上のこと全てですか。」
俺は普通に頭が痛くなってきた。なんだよ地上の全てって……
…………わくわくして来たな。
「あんたなんでそんなに楽しそうな顔してるの!?……変態なの?」
誰が変態だ。失礼な
俺は
「やることがある方が楽しいだろ?」
と言ったが、何言ってるのこいつ的な目で見られてしまった。どうやら女神は仕事が好きでは無いらしい
「それで?俺は王様にでもなればいいのか?」
と尋ねると、女神は首を振って答える
「ほら……王族の血筋って思ってるより重要なの…えっと貴方には……ギルドマスターをやって欲しいのです!……」
ギルドマスター?と俺は首を傾げた。一ギルド……つまりは組織のトップになったからと言って地上全てを管理できるとは思えなかったからなのだが
「─────この世界のシステムについて話さないとね……」
「えっとね……ロードフィア王国っていうのが人間の国で……あ、この資料を見ながら説明した方が早いよね……えっと……これ!」
俺はそれを受け取るのを確認すると女神は再び話を再会しようとするが
「ああもういい。とりあえず全て目を通したし地理関係、あとは国の形態も把握した。なるほど、俺がなぜギルドマスターをやらなきゃ行けないのかは把握した」
「え?いや……え?早くない?!今見せたばっかだよ?!」
「俺は時を操れる能力者だからな。いまさっき時を止めて内容を全て確認しただけだが?」
──────静寂の後
「つまり私にエッチな事をしたんですね?!この変態!最低!」
……なぜそうなった。まあ気持ちはかなりわかる。実際目の前で時を操れる奴がいたら俺だってこんな反応をする
だが……
「今更時を止めてそんなことする気にならんよ。そもそも俺はこの力を実に100万年分ほど使ってきたわけでな……確かに初めて能力を使った時は興奮して色々やったさ」
懐かしい思い出が頭をよぎる。たくさん若いことをしたなぁ……ま、そんな下心なんざ10年ぐらいで消し飛んだがね。
「知ってるか?……止まった時の中で1人だけ動けるというのがどれだけ虚しいことか。」
「え?いや……だって自分だけの世界なわけでしょ?それなら自由だしなんでも出来るじゃないの?」
確かに自由だ。しかし止まった時の中にある人間はマネキンと何ら変わりがないのだ
──────いくら何をしようとも反応のない命の暖かさすらない物体しか存在しない世界なんて楽しいわけがないのだから
最初は興奮したさ……まだ思春期だったからな。でもなんだろうな……あまりにも壮大な賢者タイムのようなものを味わい続けるのはただただ虚しいものだ
そのうち俺はこの止まった時の中で自らを鍛えることにし始めた。俺は元々好きな事しかしないタイプだ。けれど流石にやる事が無さすぎてな……まあその結果飛んでくる弾丸程度ノールックで切り落とせる位の武術は手に入れたし
戦術の極意や歴史書はほぼ全て熟読出来た。
「……な、なるほど……でしたらもうわかっているかもしれませんが一応確認で……」
「この国の名前はロードフィア王国。王政であり、王家の名はロードフィア王家。今は24代目の王が統治している。また『冒険者協会』、『魔術協会』、『聖堂協会』が国を支えている。そしてその3つを統率するのが……『ギルドマスター』。そして今人類の敵として存在しているのは『魔族』と『魔族に寝返った転生者達』と『魔物』と。」
まとめるとこんな感じか。
つまり俺にギルドマスターになれと言っていた意味としては、この国を支えて、さらに他国との外交官の役割をになって欲しい……と。
「…先程の情報の中に、前任のギルドマスターが自殺したと書いてあったがあれは一体?」
その言葉に合わせて先程までわちゃわちゃしていた女神の顔が一気に曇る。どうやら触れない方がいい話題だったようだ
「あ……あはは……あのね……その人私の元親友なの……………前にも言ったけど前の神が疾走した結果私に全ての仕事が降りかかったんだけどね……アタシってば無能のレフィアって昔からほかの女神にバカにされててさ……そんな私のことを心配して仕事を引き受けてくれたの……」
どんどんと暗くなっていく顔を俺は冷淡に見る。
「……けどさ……あれは神の仕事量だったから『人間』の彼の精神は耐えきれなくて…………」
「──────だから私は……結局誰も救えない無能な女神なの…………」
「……ふむ。ならば問題は無い」
俺はそんな悲しい話を聞かされても別に悲しいとは思わない。
そんなものは何百何千何万と聞いてきた。
だから彼女のやるせなさもよくわかる。……自分がもっとしっかりしていれば死ぬ人がいなかったのに……と言う後悔の念。
「顔を上げてくれ……君は少なくとも人を見る目がある。それは誇っていい。……何故ならば俺を選んだのだからな。」
そう、確かに人には背負いきれ無いだろう仕事量を処理出来るのは俺しかいないのだから
「……かっこつけやがってこの変態やろう……」
だから変態では無いと言っているのだが?
──────そのあと俺は自分の精神を神レベルに引き上げてもらい、さらに肉体も同様に強化してもらった。
こうすることでより強力になった俺の時を止める力『刻ノ神』と空間を操る力『混沌ノ神』の制御がより精密に壮大に使用することが出来る。
「……それでは……この世界を一緒に……正して行きましょう!」
目を開けると俺は椅子に座っていた。おそらくここは……
「おお!君が新しいギルドマスターか!早速で悪いが演説をしてもらうことになっていてな、今すぐ来てくれ!」
……といきなりガタイのいい、明らかに先程まで俺のいた世界の奴とは異なる姿の奴が俺の腕を引っ張る
…………演説?……何だろうか、嫌な予感がする……これは多分、あれだ。
トラブルに巻き込まれるパターンだ
残り2話は明日投稿致します。とりあえず毎日2話ほど書く予定です