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四日目 ---3---

エルさんをタンスの中から布団へと移動させる。


思えば自分の夢だった商人、その大きな一歩だった馬車が壊れたことはかなり精神的に来ていただろうし、オークの群れに襲われたのも一生モノのトラウマになるレベルだ。


朝は扉もない家で狼の群れに囲まれていて。昨日の夜はまともに眠れていなかったのではなかろうか?


思えば朝は咳をしていた気もする。もっと気遣ってあげればよかった。


布団に寝かせたエルさんを見る。熱っぽい顔色で意識はなく、呼吸に合わせて布団が上下している。


この村で生きていくには食料が足りない。飲み水は魔法スキルで何とかなるものの。


森に食料調達に出かけるにしても寝ていて体調が悪い状態のエルさんを一人で置いていくのも不安だ。


「困ったらスキル習得か」


とりあえずステータス画面を開いてみる。狼戦を終えた俺のレベルは435まで上がっていた。


ステータスポイントは156。スキルポイントは214もある。


「これだけあれば病気を治すようなスキルも手に入るはず」


習得可能スキル検索のところで[病気 治す]で検索。いくつかのスキルがヒット。


「えーとけがや病気全般に効く『治癒スキル』に、身体の傷に特に効くのが『回復スキル』……あっ同じ名前でも『快復スキル』の方は病気に特化しているのか! これにしよう」


似たようなスキルでも色々あって迷ったが快復スキルを習得することに決定。


必要ポイントは5ポイント。スキルレベル1では余り効果がなさそうなのでスキルレベル5まではあげてみようと思う。


「合計155スキルポイントか。割と高いが……上げる!」


『快復スキルLv5』を手に入れた。


「えい……あれ? あ、MPが足りない」


早速発動してみようと思ったら発動しなかった。MPが足りないみたい。


ステータスポイントもかなりあるのでMPに100ポイント、魔力に56ポイント割り振った。


「これなら! 『快復』!」


スキルを発動したらぽぽぽという音と共に赤色の光の玉がいくつか出現し、エルさんの体に入っていった。淡い光がエルさんを包んで、ゆっくりと消えてゆく。


それまでずっと苦しそうだったエルさんの表情がすっと力が抜けてやわらぎ、寝息も静かになった。


「多分、これで大丈夫かな」


明らかに効果があった感じがするので大丈夫だろう。


MPを見たら100消えていた。効果は落ちるが消費MPをおさえた威力調整もできるようなので機会があれば試してみたい。


このまま離れるわけにも行かないのでエルさんが目覚めるまではこの家にいることにした。


出来れば次は狼の死体の臭いに釣られて新しい魔物がやってきたりしそうなので早めに移動したいものだが。こればっかりは仕方ない。


適当に残ったスキルポイントの使い道を考えたりして暇をつぶして過ごした。



「あ……私、寝て……」


「起きたか」


「シンさん。……あれ!? 狼はどうなったんですか!?」


「全部倒したよ。それで帰ってきたらタンスの中でエルさんが気を失ってたから。『快復スキル』で治療して寝かせてたって感じ」


「え、え、ありがとう、ございます? って快復スキル!? シンさん教会の関係者だったんですか」


「どういたしまして。いや別に教会には関わってないけど」


「あ、そうなんですね。快復とか治療系のスキルって持ってるとすぐ教会から勧誘が来るらしいじゃないですか。お給料も高いって聞きますし、シンさん沢山スキルを持っていて羨ましいなあ」


目が覚めたエルさんは元気そうだった。一安心。


現在は昼過ぎ。多分三時くらい。そういえばこの世界にも時計とかあるんだろうか。


「すみません、私のせいで街へ歩き始めるのが遅れましたね。準備しますっ」


「全然いいよ。体調はもう大丈夫そう?」


「はいっおかげさまで!」


返事もほんとに元気そうだ。昨日聞いた話だと一番近い街までは馬車で四時間ほどでつくらしい。歩きだとどれくらいなんだろう。


布団は馬車がないので持っていくことができないと悩んでいたのでアイテムボックスに入れてあげたら驚かれた。


俺は特に準備らしい準備も必要ないので、しばらくソファで座ってエルさんを待っていたのだが。


準備ができたという声がしたので顔を上げてみたら。


「そ、それでは、しゅ、しゅっぱーつ」


エルさんはリュックサックに沢山詰めるだけの荷物を詰め込んでふらふらして歩いていた。多分無事だった商品とか入ってるのだろう。ぎっちぎちのリュックである。何かこんもりしてる。


「俺が持つよ」


「うぅ……すみませんありがとうございます」


「あ、アイテムボックスに入るわ」


「本当便利ですねそのスキル。私たち行商人からしたら夢のスキルですよ」


心底羨ましそうな声を出された。


エルさんの反応を見るにアイテムボックスはそんなに一般的なスキルではないようだった。


「それじゃ、行くか」


「はいっ」


俺たちは廃村を出て歩き出した。街を目指したサバイバルデュオの開始である。

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