表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/15

一日目 ---1---


目が覚めたら、森の中にいた。


もう一度言おう。目が覚めたら何故か森にいた。


「どこだよここ」


昨晩の記憶を思い返してみるが、特に変わったことは無かったはずだ。普通に仕事して、家に帰ってお酒を飲んで寝た。はず。


お酒に酔いすぎて記憶が飛んでる? そうだとしても流石に森へ徘徊してそのまま寝てしまうなんてことはしないはず……多分。


それに、確かに実家はド田舎だがこんなに大きくて立派や木が立ち並ぶ森には来たことがない。


一応ポケットを漁ってみたけれどスマホは入ってなかった。


「適当に歩くしかないよなあ。こっち行ってみるか」


とりあえず真っ直ぐ歩いてみることにした。どこかしらにはつくでしょ。そんな軽い気持ち。


割と平坦な道なので思ったよりは歩きやすい。たまに高い草むらを歩く時にヘビが出るかもと駆け足になる程度。


そう言えば少し違和感がある。


虫が居ないのだ。


こういう草むらと言えば大なり小なり虫がいるものだ、ここには全然いない。もう5月。春だから普通なら色んな虫とか居るはずなんだけどな。


風に揺れる草たちを目で追いかけながら、少しづつ積もっていく違和感の回答を探したが答えは見つからなかった。


またしばらく歩いていると、おかしな生き物に出会った。


「え、なにあれ」


緑色。何かぶよぶよしたものが跳ねて移動している。


「スライム……?」


目にしたものに1番近い表現がこれだった。


そう、RPGとかゲームに出てくるスライムにそいつはそっくりだった。生きているようで何か意志を持って移動している感じがした。


「嘘やん。ここ、異世界?」


高鳴る心臓を右手で抑えつつ現状を整理する。


夢、ではないだろう。意識があまりにはっきりしているし、五感を鮮明に感じとれる。頭も割としっかり働いている。


元より夢とか余りみない方だし、既に15分くらい歩いている。


「よ、弱そうだな。流石最弱の代名詞。石ころとか投げたら倒せそう」


周りに落ちてる石ころを探してみる。スライムは特にこちらに気づいていないように感じた。


草をかき分けて手頃な石ころがみつかったので投げてみる。


そんなにコントロールが良い訳では無いのだがたまたま命中した。


予想通りスライムは石ころの一撃で弾けて死んだ。


【レベルアップ!! レベル1→2】


突然ゲームっぽいメロディが流れて脳内にシステムメッセージが流れた。


脳内に流れたと言うのが表現しにくいけどほんとに頭の中に勝手に文章が流れてくる感じ。体験したことがない独特な感覚だった。


「れ、レベル? ほんとにここ異世界かよ」


異世界味が増してきた。


上がったレベル、と言うかステータスとかはどこで見るんだろうか。見たいんだけど。


そう考えた瞬間、ブォンと言う独特の効果音と共に水色の画面が目の前に現れた。


【シン】

【レベル2】next:1

【所持金:0G】

【ステータスポイント:1】

【MP:10】

【生命力:5】

【力:5】

【物理耐性:5】

【魔力:5】

【魔法耐性:5】

【状態異常耐性:5】

【賢さ:5】

【素早さ:5】

【器用さ:5】

【スキルポイント:1】

【パッシブスキル:無限の神の加護、成長の神の核】

【技能スキル:なし】

【魔法スキル:なし】


「ステータス画面出た! ゲームじゃん」


名前は本名。海崎進から下の名前だけ使われているようだ。ちなみに閉じたいと思ったら自動で閉じた。便利。現代ではギリギリ不可能なラインの現象に興奮する。


ステータスポイントと書いてある横に割り振ると言うボタンがあって、押したら自由にどれかに割り振ることが出来そうだった。


「どうしよ。とりあえず素早さ?」


適当に素早さに振ってみる。


……。 とくに何かが変わった様な感じはしないな。


スキル欄にある2つの能力はなんだろうと思って押してみたら詳細が表示された。



【無限の神の加護:レベルの上限が無くなる】


【成長の神の核:レベルアップに必要な経験値が1で固定される】



…………強くね? これ。簡単に恐ろしい速度でレベルに上げれそう。しかも上限が無いと来た。


チートを手に入れてしまった。異世界で。チート生活。


実感は湧かないけど。


スキルポイントというのも割り振ってみよう。


スキルポイントの横にある割り振りのボタンを押すと画面が開かれた。


獲得可能スキルポイント一覧が開かれていて、1ポイントで獲得出来るスキルが沢山並んでいる。


検索機能もあって。生活魔法スキル、攻撃スキル、補助スキル等々。項目に分けられて沢山のスキル名が並んでいる。


試しに目に付いたスキルを押してみる。


【ファイアボール:必要スキルポイント5:火の玉を発生させて標的を攻撃することができる。消費MP3】


「おー! 魔法だ! 凄い」


現在獲得出来るスキルは白色の文字で表示されて、出来ないものは薄い黒色の文字で表示されているようだった。


数え切れないほどのスキルがある様で、この画面を見るだけでも一日が終わりそうなほどだ。


「今欲しいスキルはなんだろう……」


歩きながら考えることにした。


現状をざっくりまとめると、森で迷子で人の気配はしない。今日中に人里に降りれる保証もないし森サバイバルを視野に入れなければいけない。


人間が生きるために必要なのは、水・火・食料・家だと言う。


特に水は必須だしできる限り早く欲しい。


そもそもこの世界に俺以外の人間は居るのだろうか。


今のところは出会ってないけれど、この森にはスライム以外の強い魔物も居るかもしれない。


どうなるにしてもレベルはあげて行った方が良さそうだなと思った。



それからしばらく歩きながら色々考えていて、道中でスライムを三匹ほど見つけて倒したらレベルは5になった。


最初のように石を投げて倒そうとしたが当たらず、普通に近づいて蹴って倒した。ズボンに少し緑色の跡が残ってしまったがレベルが上がったので良しとする。て言うかスライムマジで弱い。


そしてスキルポイントを割り振って2つのスキルを手に入れた。


【飲料水生成魔法Lv1:MPを消費して飲料水を生成することが出来る:次のレベルまでスキルポイント4】


【投擲Lv1:手を使って物を投げる時より早く正確に投げることができるようになる:次のレベルまでスキルポイント2】


ちなみに飲料水魔法の獲得は2ポイント、投擲スキルは1ポイントで手に入った。


スキルは手に入れたらレベルというのが付いて、スキルポイントを更に使うことでどんどん強化して行くことが出来るみたいだ。次のレベルに必要なスキルポイントは恐らく獲得した時の倍になるんだと思う。


後、投擲スキルを獲得した時に投石スキルとか投槍スキルが解放されたと表示された。何か特定のスキルを持っていないと獲得できないスキルもあるようだ。


早速生活魔法欄にあった飲料水生成魔法を使用してみる。スキルの使用はステータスのスキルボタンを押すか、頭の中で使用したいスキルを浮かべれば使える便利な仕様だった。


小さな魔法陣が空中に浮かんで、そこから水を飲む機械のように上向きにちょろちょろと水が出てくる。魔法陣の向きとか水の勢いとかは自由に変えられるようだ。服が濡れないように注意しながら水を飲んだ。


「ん……ぷはあ! 美味い。普通に美味しい」


歩き通しで乾いていた喉に水は最高だった。


ステータスを確認してみたらMPが6減っていた。なるほど。割と満足するまで飲んだけどそれくらいで済むのか。


これでとりあえず水は確保出来た。MPが回復する条件が分からないけど寝たら回復とか時間回復だろう恐らく。


次は投擲スキル。魔物が出た時に石を投げて倒すために獲得した。スライムも石を投げて倒したい。蹴りで倒すとズボンが汚れるんだよね。


ステータスポイントは力と器用さに割り振った。投石をより強く正確に命中させる為だ


「遠距離攻撃魔法とか獲得してMP増やしていく道もあったけど。とりあえずこれでいいや」


改めてステータスを確認してみる。


【シン】

【レベル5】next:1

【所持金:0G】

【ステータスポイント:0】

【MP:10】

【生命力:5】

【力:6】

【物理耐性:5】

【魔力:5】

【魔法耐性:5】

【状態異常耐性:5】

【賢さ:5】

【素早さ:6】

【器用さ:7】

【スキルポイント:1】

【パッシブスキル:無限の神の加護、成長の神の核】

【技能スキル:投擲Lv1】

【魔法スキル:飲料水生成Lv1】


よし。この調子でレベルを上げながら人がいる場所を目指して歩こう。


そう決めて歩き出した。なんだか少し楽しくなってきていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ