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学校へ行くようになった。正しい変化だ。
そしていつからか、自分は『普通』を意識するようになった。
この仕草は普通か、普通に話せているか、異常だと思われていないだろうか。
しかし、それもあまり意味は無かった。
自分のこの白い見た目は、既に他と違ったからだ。
自分は、普通にはなれないのだろうか。
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学校へ通い始めて約一年が経つ。変化があったとするならそれは、誰か宛てに、毎週のように手紙が来るようになったこと。
親は最初、その手紙を見て、どうしてか顔をしかめた。それから、その差出人を見るたび、そうやって顔を変える。
しかし、やがて目を通すこともなくなっていた。何処かに処分しているようだ。いくら聞いてみても探してみても、どうしてか手紙の内容を、その差出人さえ教えてくれない。
変わったことはまだあった。
自分の身体の異変。これは、正しくない。
鍛えていて、体つきが変わったようなわけじゃない。以前と比べても大して成長はしていない。細い腕のままだ。
その異変はある場面で起きる。何か、手で物を扱うとき、ものによってはへこんだり、曲がったりしてしまう。
無為に力をいれることは出来なくなった。
いつから「普通」に対し執着し始めたのか。それをあまり意識しなくなり、いつしか自分自身も慣れてしまっていたのか。なぜ、普通に対しこうも拘っていたのか。
やはり、忘れ去ることは出来なかった。
それは自分が異常であることだ。人間の個性じゃない、その範疇を超えたモノであることだ。
普通であることに縋ったが、意味はなかった。
何かに、引き戻される。
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また、いくつか月日を経る。歳は既に九つで、少ないながらも友達ができた。「それ」については勿論、言わない。
知られてしまったら、絶対に戻れないと分かっている。
もう今の環境で十分満足していた。普通じゃなくたっていいと。
だから、このまま。このまま変わらないで欲しいと願った。