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自殺しようとしたら、異世界救世主に!?  作者: Kouya
第1章 自殺と異世界と出会い
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第17話 勝敗からの結果

 マリア姉さんの初撃をガードした俺は、警戒しつつ軽く体の状態を確認した。いくらガードし、受け身を取っていたとはいえ、それなりの衝撃はあった。中途半端な攻撃は通用しないどころか、逆に自分不利にすることもある。そのため優れた格闘家は素早く自分の状態を確認し、最適な攻撃の準備をするそうだ。

 俺は体が大丈夫そうだと確信すると、今度はこっちから仕掛けてみた。


「はぁぁぁ!!」

俺はボクシングのように連続で拳を付き出す。だか、こちらの攻撃は全て躱されるか、防がれている。

実は、これは想定内のことだった。何故なら、これまでも同じように躱されて来た。

というより、躱して貰っていたのである。

それは、1週間かけて仕掛けた俺の作戦だった。


◇ ◇ ◇


 レン君の攻めに対して、私は徐々に後ろに下がっていく。これまで何度も同じような状況になったことがあるが、彼はまるで学習していないような感じだった。

これ以上は彼が恥をかくだけだと思い、ミアには悪いけどトドメをさそうした次の瞬間、ドンッと背中に何かがぶつかった。見ると敷地を仕切るための柵にぶつかっていた。

「今だ!!」そう叫んだレン君の方を見ると正拳突きを繰り出そうとしていた。


◇ ◇ ◇

 

 マリア姉さんが柵にぶつかり、足を止めた瞬間。

「今だ!!」とマリア姉さん目掛けて正拳突きを繰り出した。

これが俺の考えていた作戦だった。同じことを繰り返すことにより、相手の油断を誘ったのだ。命掛けの戦いでは使えない修行と試合という状況でのみ有効な手であった。


 正拳突きが決まるそう確信した次の瞬間マリア姉さんが消え、拳は柵を破壊していた。


「ふぅ、危なかったわぁ。もう少しでお嫁に行けない体になると思ったわよ。」

振り返るとそのにはマリア姉さんが立っていた。


「どうして!」

「正拳突きが当たる瞬間に【アクセル】を掛けて避けたのよ。正直かなり危なかったわよ。すっかり油断したわ。」

まさか、マリア姉さんが【強化魔法】を使えるなんて思いもしなかった。修行中には1度も見せたことがないはず。ただでさえ、身体能力の高いマリア姉さんが強化されたら、手も足も出なくなる。


「もう反則だろ、それ。」

「何だったら、レン君を使っていいわよ。アメリアから教わってるんでしょ?」

そういうと、マリア姉さんは余裕の笑みを浮かべていた。

カチンッと来たので、「それじゃあ遠慮なく」と、俺は魔力を全身に纏った。


「【アクセス】!【パワー】!【リフレックス】!」

アメリアさんから教わったのは、素早さを上げる【アクセス】、攻撃の力を上げる【パワー】、反射神経を強化【リフレックス】の3つだけである。

そもそも、アメリアさんは攻撃魔法での戦闘がメインのため【強化魔法】は使うことはない。そのため、この3つしか教わることが出来なかった。

それでも1度にこれだけ付与するば、これで大分差が縮まるだろう。


「それじゃあ、行きます!」

踏み込もうとした瞬間、「止め!それまで!」とアイラさんに止められた。

しかし、勢いは止まらず、そのまま盛大に転けてしまった。

正直、マリア姉さんの初撃より痛い。


「イテテ、ちょっとアイラさん!何で止めるんですか!」

と言うと、アイラさんは近づいてきて、思いっきり頭を叩かれた。

「何でじゃないだろ!あのまま戦い続けていたら庭がむちゃくちゃになるだろうが!柵まで壊して!ちゃんと後で自分で直すんだよ!」と怒られた。

自分で試合するように言っておいて良く言うよと思ったが、口には出さなかった。


「それで、使ってみてどうだったんだい?」

「えっ?あぁ、そうですねぇ・・・。」

アイラさんにそう言われるまで、これの試合がミアの試験を兼ねていることをすっかり忘れていた。


「正直、良い感じですね。ただ、もう少し固い素材にしないとダメですね。」

俺は、凹んだヴァンブレイスと、ヒビの入ったグローブの鉄の板を見ながら言った。


「そうか。で、結果はどっちなんだい?」

とアイラさんに聞かれ、心配そうにこちらを見つめるミアを見ながら。

「素材は、アイラさんが指定した物を使っているので、強度は仕方なかったとして、装備は俺に必要な物だと分かりました。なので、ちゃんとした物を作り直すことを条件に合格で良いと思います。」

「・・・そうかい。」

そう言うと、アイラさんはミアの方へ向いた。

「ミア・ケネディ!」

「は、はい!」

「アンタは、このアイラ・フローガの名において、免許皆伝したことをここに宣言する!今日からアンタは一人前の鍛冶師だ!」

そう言うと、アイラさんはまるで母親のような顔で「おめでとう」とミアを祝福した。

それと共に、みんなもミアの周りに集まり祝福し、ミアは泣きながら喜んでいた。


「ミア、本当におめでとう」

俺は、少し離れたところでそう言い、今日着けたミアの装備は俺の一生の宝物になった。

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