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自殺しようとしたら、異世界救世主に!?  作者: Kouya
第1章 自殺と異世界と出会い
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第11話 不合格からの再試験

「師匠・・・、今なんて?」

「聞こえなかったかい?不合格だ。」

アイラさんのその言葉に、俺達は耳を疑った。


「何で!!鉱石は良いって、たった今師匠が言ったんですよ!」

「そうですよ!それなのに、不合格って。ミアの何がいけなかったんですか!!」

興奮して、つい俺までアイラさんに食って掛かった。それだけ、今回の結果には不満しかなかったのだ。


「・・・はぁ。本来なら、それも考えるのが修行なんだけどねぇ。それじゃあ、納得しないって顔だね。」

そう言うと、アイラさんは煙管(きせる)を取り出し、吹かし始めた。


「ふぅー。・・・今回の試験ではミアの行動を観察するため、こっそりと監督官を付けさせて貰った。」

その言葉に、俺もミアも驚いていた。


「全然、気付きませんでした。」

「当たり前だ。この仕事をしてると色んな人脈が出来る。今回、監督官として雇ったのはシノビと言われる諜報活動が得意な者だ。アンタが気付くわけ無いだろう。」

俺はさらに驚いた。裏世界には『忍』がいると言うのだ、驚かない日本人は居ないだろう。一度会ってみたいものだ。

って、今はそれどころじゃない。ミアの不合格とシノビがどう関係しているのか聞かなければ。


「シノビには、この町を出た時からずっとアンタに付いて貰っていた。その報告によれば、キラービーの毒にやられ、霧で道に迷い、挙句の果てには森で倒れる。そんな失態をしておいて、なぜ合格が出ると思った?」

「それは、鉱石が・・・」

とミアが言いかけた瞬間、ドンッ!とアイラさんは机を叩いた。


「鉱石なんてどうでもいい!!今回の試験は、アンタの危機管理能力を見るのが目的だった!アンタは少なくとも2回は死にかけてるんだよ!そんなんで、良く世界を回るなんて言えたもんだ!」

その言葉にミアは、ハッとしていた。確かに、アイラさんの言っていることも分かる。でも・・・。


「でも、結果的には鉱石を持って生きて帰って来ました。」

「結果論の話をしてるんじゃない。異世界(・・・)から来たアンタには分からんだろうが、そもそもハンターになるなら依頼より命の方が大切になる場合が多い。理由は、より多くの情報を持ち帰ることにより、次に活かせるからだ。ミアは、旅に出る前にハンターギルドに登録するんだろ?それなのに、ハンターの基礎が出来てないんじゃ話にならないよ!」

アイラさんの言うことは、もっともだ。ミアもうつ向いている。このままじゃダメだ。

・・・それなら。


「なら、俺がミアを支えます。」

「・・・えっ?」

「どういう意味だい?」

「俺は、ミアと一緒に旅すると約束しました。だから、ミアの足りない部分を俺が補います。」

そう言い切ると、アイラさんは目を丸く、ミアは顔を真っ赤にしていた。


「・・・アンタの強さも報告は受けている。まだまだ、粗いが経験を積めば確かにミア1人くらい支えられるだろう。だが、それは未来の話であって、今回の合否には何の関係ない。」

「だけど、少なくとも今回は守り切りました。」

「・・・アンタもしつこいねぇ。そんなにこの娘が大切か。」

そう言うと、アイラさんはミアの方を見たので俺も見てみると、茹でダコみたいに赤くなってるだけでなく、尻尾もものすごい勢いで振っていた。

そんな、姿を見ていたら急にこっちまで顔が熱くなってきた。

すると、アイラさんが声高らかに笑いだした。


「アハハハハ、こりゃあ報告以上に相思相愛じゃないか。仕方ない、ミア!レンに免じてもう一度チャンスをやる!」

その言葉に、ミアは我に返り「は、はい!」と元気良く返事した。


「良かったな、ミア!で、次はどこに採掘しに行くんだ?俺は着いて行っても良いよな?」

俺は質問したが、アイラさんは真剣な顔で首を振った。


「いや、今回は採掘じゃない。ミア、今回集めた素材を使って、レンに必要になる装備を作ること!それが、試験の内容だ!」

俺達は、ポカンとしてしまった。さっきまで言っていたこととの関係性が分からなかったからだ。


「そんな!さっきと言ってたことと、どう関係があるんですかか!」

「関係あるさ。味方の装備を整えるのも鍛治師として、必要な危機管理能力だ。それとも、アンタはミアの作った物は使わないって言うんだな?」

「そんなことはない!ミアの作った物なら迷わず使う!」

「そのせいで、アンタが死ぬとしてもかい?」

その言葉に、怒りが沸いてきた。


「何を言っているんだ。そんなことで死ぬわけ・・・」

無いだろと言いかけた時、アイラさんは悲しい目をしていた。


「死ぬんだよ。実際、オレはひとり殺してしまった・・・。」

その言葉に場がシーンっとなった。


「ソイツは、炎を操る魔物と戦うために水属性の防具を求めた。オレは水の羽衣を作り渡した。しかし、その魔物は属性を変え、風と雷を操りだした。そして、魔物が放った雷が羽衣を渡したアイツに直撃して死んだ。」

その話を聞いて息を飲んだ。


「全ての攻撃に対策なんて無理だ。だがなぁ、その時選んだ選択が最善にも、最悪にもなるんだよ。」

そう言うと、アイラさんは再び煙管吹かし始めた。


「ふぅー。で、どうするんだい?やるかどうかを決めるのはオレじゃない。ミア、アンタ自身だ。」

そう言われた、ミアを俺は見た。試験の結果を聞いた時よりも顔を青くしていたが、意を決したように顔を上げ、俺の手を強く握り締めた。


「やります。やらせてください!」

「良く言った!それでこそオレの弟子だ!期限は2週間!その間、採寸以外での装備の相談は一切禁止とする!」

アイラさんは、立ち上がりミアの肩を叩いてそう言った。


「はい!頑張ります!」

「うん!ところで、お前たちはいつまで手を繋いでいるんだ?」

その言葉に、ハッとして、バッとお互いに離れた。


「ごめんなさい。私・・・。」

「いや、こっちこそ・・・。」

「はぁ、この先が思いやられる2人だねぇ。」

そう言って、部屋を出ようとしたアイラさんに気になっていた最後の質問をした。


「アイラさん、何で俺が『異世界』から来たってしってたんですか?俺もミアも言ってませんよね?」

「ん?あぁ、それもシノビの情報だ。アイツら地獄耳だからなぁ。心配しなくても、オレもアイツも誰にも言わねぇーよ。」

そう言って、部屋を出ていった。

やはりそうか。これは、是非ともシノビに会ってみたいものだ。

ミアを守れるよう色々と鍛えるにはシノビの身軽さは使えそうだからな。

そう思いながら、まだ顔の赤いミアに。


「俺、ミアを守れるくらい強くなるから、ミアも試験頑張れよ。」

「・・・うん。私もレンを守れるように頑張る。」

お互いにお互いを守ると約束し、俺達も部屋を出た。

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