表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/22

03 ゲスト45の動機

後から聞いた話では40年ほど前に、イタリアの田舎町でビル建設をしていたところ、古い墓が見つかったそうだ。


顕現する前の事なので、どこまでが本当かは保証できない。


その墓の移設の際に魔導書らしき物が発見されたので、バチカン送りとなり、厳重に封印されたらしい。


それが、我等が盟主の苦心の結晶で俗に言う【ゲーティア】だ。

666柱の眷族を現世に召喚するソレは、確かに封印されたのだが、処分はされなかった。


結果として、道を踏み外した修道士により複写され、数年後に666冊の写本が作られた事が発覚する。


写本と言っても、各々の写本には原本のページが一枚づつ用いられているので、ある種のクローンとも言えた。


写本を作った修道士と、手元に残っていた594冊の写本が焼却処分されたが、残りは宗教の裏社会に流れた後だったと言う話だ。


魔導書ゲーティア


一般にはソロモン王が残したとされる書物を指すが、まぁ、厳密な名称が残されていないので引用しよう。


先に述べたが今回の本の内容は、悪魔を現実世界に召喚する為の物だ。


そして、その中の一冊により現世へと顕現した悪魔の一柱が、私だ。


私の名前?


言う筈が無いだろう。


名前を知られれば、異界へと戻されてしまうのだから。


その本を入手した現世の魔導師もどきが、悪魔を召喚しようと試みた結果として産まれたのがマリアナ・エドラントと言う女の肉体だ。


なにせコノ現世では、ある呪いによって、我々の肉体は存在できない。

一部の能力者や儀式により、現世の人間などに一時的に憑依はできるが、消耗が著しいので意味がなかった。


そこで、我等が盟主などが用いたのが【転生】と言う手法。

我々の肉体構造を可能な限り現世の物質で再構成し、記憶と精神と魂を植え込む。


勿論、リスクはある。


それに現世で転生後に正体が発覚すれば、狩られるだろう。

何しろ、意識が肉体を支配する【顕現】は、直ぐには起きないし、短時間から徐々に伸びていく。

完全支配の【覚醒】迄には、最低でも十年は掛かるだろう。




私の場合も六歳の時に、両親・・いや、召喚術者がヘマをして発覚して術者は惨殺。私は火あぶりにされるところだった。


意識を現世での精神【マリアナ】にして、必死に否定させたが効果は薄かった。


だが、【悪魔憑き】を聞き付けてやって来た悪魔払師エクソシストに同行していた子供が、抱き付いて助けようとしたので、教会預かりとなって命拾いしたのだ。


張り付けにされた私に抱き付いて助けようとしたヨハン様に嬉しかったし、胸の鼓動が高鳴り、酔った様な状態になったのを覚えている。

勿論、マリアナの感覚なのだが、体験した事の無い感覚に興味を覚えたのも確かだ。


しばらく様子を見る。


そう決めて、顕現の割合を押さえ、ヨハン様に気に入られるマリアナを作り上げた。

他にも人間の雄は居たが、マリアナにヨハン様の時のドキドキが起きない。


教会自体は、独身を貫き、清い身体を求めていたが、ヨハン様の所属する悪魔払師の組織は、能力の遺伝を重視して、その限りではなかった。


初めてのキスは、頭が真っ白になった。


触れられた場所が敏感になり、全身の毛穴が開く感じがした。


結婚後の交わりは、想像を絶したものだった。

行為の最中、一時的にマリアナと交代したがアレはたまらない。

人間の肉体とは、欲望と罪悪の塊だったのだ。


権力や知的な喜びなど消し飛ぶほどに。


その後も監視は付いているが、結婚や悪魔払いに同行するのに許可が降りたのが解せない。


恐らくは、精神的に拘束して、魔導書を感知できる私の能力を利用しようとしているのだろうが、私もソレを利用させてもらい、この淫靡な快楽を満喫しようと思った。


私は、既に六歳の時に死んでいる筈だったのだから。


メイド服?


私にシスターの衣が使えると思うか?

特に銀製品のネックレスは、負担が大きい。


一般人と区別して神父に付き従うのに、万国共通のコスチュームとして他に思い浮かばなかったらしい。

共に白黒ツートンで一体感もあるのが、せめてもの救いだ。


マリアナの表の意識と、裏の私を区別させる為に、愛称は【マリア】にし、裏の私は【リアナ】と呼ばせている。


ヨハン様の前で話をしているのは、ほとんどが【マリア】だ。

精神は別だが、感覚と感情は同期しているので不満はない。



今日も、教会からの悪魔憑き情報を得て、二人で世界中を駆け巡るが魔導書に当たるのは一割位だ。

だが、魔導書に当たった時の解決率は、教会トップと言えるだろう。


逃げられたケースが無いわけではないが、私個人としては別に殲滅の必要を感じていない。


数を減らすメリットは感じているが。



で?なぜ、悪魔が現世にやって来たり、支配を考えているか?


ソレは貧弱な人間が知って、どうこう成るものでもないので、知らぬが華と言うものだ。



まぁ、そう言った経緯もあって、私【リアナ】は、エクソシストの手伝いをしている。


ヨハン・ガードナー19歳。

妻、マリアナ・ガードナー18歳。/旧姓エドラント


絶賛子作り中の新婚ホヤホヤだ!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ