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19 悪魔の戦術

タイムマシンで未来の情報を入手し、賭け事で巨万の富を手に入れるSF映画がある。


眠れる預言者として有名なケネス・アンガーにも、本人に記憶が残らないのを良いことに、義兄が賭博の結果を予言させていたと言う話もある。


未来予知ができるのであれば、現代なら株式投資で小銭から大金を生み出す事も夢ではない。


まさに錬金術と言える。



現代は医療が発達し、癌くらいでないと死なないとまで言われている。

しかし、脳硬塞や心筋梗塞で死ぬ者は後をたたないし、交通事故に巻き込まれる機会も増えている。


客観的には確率論の世界だが、これを左右できる者が居たら話は変わる。


偶然に邪魔な存在が死ねば、事態は大きく変わる。


政界のトップや会社の社長などが急死すれば、政治の動きや会社の動きは急変し、それに金の力や大株主の発言は推進剤として機能する。


「ヴィネ様。現在、政界も経済界も、順調に勢力を拡大中です。財界も後継者を取り込み、現役には順次病死してもらっています」

「ありがとうダンタリオン」


高級ランジェリーショップのVIPルームでは、有名アイドルと、教会に出入りしているメイドが、オーダーメイド下着の試着をしている。


昨今は、超小型の盗聴器を衣服に忍ばす者まで現れたので、会合は全裸にまで成る必要性が出てきている。


その為に利用しているのが、配下の魔女達だけで構成できるエステサロンやランジェリーショップとなる訳だ。


「この方法で主要国は勿論、発展途上国や軍事政権の国家にも、経済的物流的支援を切っ掛けに牛耳りを進めております」

「まさか敵対する相手の支援者が、自分の支援者とグルだとは知らずに?」

「それが戦略というものですから」


武器の密輸や暗殺に適した悪魔も居る。

地震によって農地が崩壊し、経済基盤を失って失脚する権力者も居るが、地震などの天変地異を起こす悪魔も居る。


事故が続くなど、あまりに有り得ない事態が起きていても、社会常識的には偶然の結果として処理しなくてはならない。


ダンタリオンが直接動くのではなく、彼女が抹殺対象者の心を読み、手頃な人間や配下になった悪魔に指示を出している。


または、フルカスが見えない攻撃で死に至らしめている場合もある。

駅のホームや階段で、後ろから押すだけで片付くのだから。


「で、フルカス。悪魔側こっちの勢力分布は?」

「はっ。枢機卿に従う者にも威圧を掛けており、一部は枢機卿に従う振りをするだけになっております。アスモダイ様とザガン様と条件付き協定を結んだ事は、先日に御報告した通りです。あちらも下位の者を取り込み、勢力を伸ばしている様ですが、その住み分けはダンタリオン様に連絡済みです」


試着室内で全裸の二人に背を向けた男性が、はばかる事もなく報告を済ませる。


「ヨハン様と枢機卿の建て前上、私が動けないので、お前達には苦労をかけるな」

「いえいえ、上の方がしっかりしておられるお陰で、我々は無用な潰しあいを避けられております。来る時代の下準備として最善の方法と存じます」

「うまく利用されている枢機卿が可哀相ではありませんか?」


二人の言葉にリアナは、うっすらと笑いを浮かべる。


「奴は権力の先として法皇を目指した。それは間違いとは言わないが、宗教のトップは俗世間に関わり過ぎてはならないだろう?そう言った意味では神父であるヨハン様にも、俗世間の話をするのは芳しくない」

「「おっしゃる通りでございますね」」


リアナの言葉に、二人も納得する。


「ところで、マリアナ様。この度はおめでとうございます」

「何の話ですか、ダンタリオン様?確かに占星術でもマリアナ様に吉兆がでていましたが?」

「ほぅ?吉兆があったと言うなら、予知も当たっているのだな?」


三人三様の反応だった。


「どうやら、デキたらしい」

「御懐妊よ」

「それはマサに吉兆!」


【悪魔】や【精霊】などと呼ばれているが、彼等とて不老不死と言う訳ではない。

何故ならば【王子】と呼ばれる立場があるのであれば【子】が存在し、子が有るならば世代交代【死】が存在する。


ただし、その長さは人間との比ではないだろうが。


「これは、関係者を集めて祝杯をあげなくては」

「酒を飲んではならない妊婦を前に【祝杯】か?」

「そうよフルカス。マリアナ様は悪魔認定されているのだから、教会に組み込まれている者の動きを察知される訳にもいかないでしょう?」


フルカスは失敗したと頭を掻いた。


「それより、枢機卿と私のファンクラブを経由で贈り物を送るのは?」

「それはいいわ。ヨハン様とゆっくり子供の名前を考えられるわ」


ダンタリオンの案にマリアナも賛同した。


「その案は素晴らしいですが、ベビーカーが複数来たりしませんか?」

「そう言う時は、小さなネットサイトを立ち上げて、紙オムツの様な消耗品とベビーカーの様な非消耗品の一覧を作り、位階の上の者から選択させ贈答権利を取得させるのよ」

「関係者にだけwebアドレスを連絡するのですな?分かりました。ダンタリオン様は御多忙でしょうから、他の者に準備させましょう」


フルカスは騎士ではあるが、ヴィネの側近である為に権力を持っている。


「匿名性とIDを設定する事を忘れずにね!」

「了解です」


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