14 ゲスト61と05の思惑
ゲスト61の思惑
パイモンから話を受けて、この計画に加わったがモヤモヤしている。
確かにパイモンの言う話はもっともだが、全てが奴の思惑通りに進むのは面白くない。
何より【数は力】なのだから、無闇に減らしてしまうのは支配に向けた戦力の減退に他ならない。
生き残った【総裁】職にあった者達も同意見だろう。
幸いな事に、ゲアプやマルバスをはじめ何柱かの者が、奴のエクソシスト組織に協力者として組み込まれている。
キーマンとなるヴィネの行動予定情報を前もって入手し、召喚された者を事前に逃して仲間に入れて力を蓄えるのはどうだろう?
どうやら、アスモダイもヴィネも、パイモンの考えを承諾してはいるが、奴がトップでなくとも良い様だ。
奴の失脚計画を練ろう。
いつまでも地方の王などにデカイ顔をさせておく訳にはいかないのだから。
そして、新たなるソサエティを築くのだ。
ゲスト05の思惑
大王ザガン様から、新ソサエティ構築の話を聞いた。
勿論、内密の話だ。
この世界で言う、民主主義や社会主義に近い我々の集団思想は、パイモン様達の様な王制組織とは違う。
ザガン様の様に王制をしつつ、民主的な議会政治を行っているのは、現世では英国が似ているだろう。
支配層を小さくして質の高い富を手にしたい選民思想と、皆で考えて富をより多くに分配しようとする我々の思想は、根本的に相入れないのは分かっている。
だが、後ろ楯となる民衆も無く、圧倒的に数で勝る王制派に対して、屈服するしか生き残る術がないのではないだろうか?
現在は、技能を買われてパイモン様の組織に組み込んでもらっている私だが、現世においては私の代わりになる【人間】など幾らでも居るのだ。
ザガン様のごとき経済力があるわけでも、物理的な破壊力がある訳でもない私は、とても弱い立場にあるのだ。
そもそも、我等が盟主の【先遣隊として現世経験者を】と言うのは理解できる。
だが、なぜ古代ユダヤの王は、72柱もの【悪魔】を召喚したのか?
立場も所属もまちまちな、こんなに多くの者を召喚しなければ、殺し合う必要性も無かっただろうに。
ユダヤの秘伝【カバラ】では、真なる神の名が72文字であると伝えている事に意味が有るのか?
72番目のアンドロマリウスの様な、正義感の高い【精霊】が現れるのを待っていたのか?
ユダヤの六芒星白と黒/光と闇に準えて、6×6×2=72なのだろうか?
それとも、ネオオカルトで説く様に、本来の人間の染色体が72本あると言う話に起因するのか?
ザガン様に頼まれたエクソシストの情報は、【関係者への情報開示】と言う名目で全ての王へ伝達すれば良いだろう。
多少、ザガン様への通達が他より早くても誤差の範囲だ。
王であるパイモン様より、大王であるザガン様達に、先に情報を流しても差し支えないだろう。
ああ、胃が痛い。
「と、この様に、ザガン様とマルバス殿は、お考えの様ですよ。ヴィネ様」
「ありがとうダンタリオン。休みの日に動いてもらって悪かったわね」
「いえいえ。ヴィネ様から頂いた情報のお陰で、時間もお金もできましたから」
ダンタリオンの能力は、極めて便利ではあるが、現在の思考しか読めず、精度が距離に比例するのでターゲットに近付く必要がある。
今回はターゲットの所在が明確だったので、楽ではあったが。
この二柱の情報を得られたのは、ヴィネの未来予知のお陰でもあった。
未来を見通す力を使えば、人気番組や長寿番組、打ち切られる番組が分かり、アイドルは仕事の選別ができる。
また、株式や為替の変動を知れば、投資で収益をあげる事ができるのだ。
結果として増えた時間と収入で塔を建てたりできるのも、ヴィネの能力の成果の一つと言える。
今、マリアナとリオナは、リオナの母が経営するエステサロンでマッサージを受けている。
勿論、従業員は皆が【魔女】だ。
「で、どうなさるおつもりですか?フルカスに命じて消しますか?パイモン様に報告しますか?」
「いや、あの二柱は当面は放置で構わない。先ずは大総裁でもあるグラシア・ラボラスを秘かに配下にし、情報の横流しをしてもらおう」
パイモンもザガンもマルバスも、未来を見通す力を持っていない。
ヴィネの他に、王位で未来視の能力を持つプルソンは、既に処分してある。
現存する王位の者で唯一、未来視のできるヴィネが動かない事を、他の未来視能力所持者が予知しているので、ザガンの行動をパイモンに報告する者も出ないのだ。
「もうすぐリオナ宛に、イギリスでの撮影依頼が来る。小さい仕事だがフルカスを連れて行け。グラシア・ラボラスとの接触がある。向こうもソレを予知している」
「承知いたしました。ヴィネ様」
ヴィネは、魔女や魔導師、悪魔や精霊を見つける事ができるが、ダンタリオンも心を読むことにより、同様の結果を得る事ができる。
プロダクションとしては、アイドルであるリオナが単独行動する際のボディガードとカムフラージュを兼ねてシャールトンを同行させる。
エクソシストとしては、エクソシスト内にもヴィネの配下にダンタリオンとフルカスが付く事を危険視する者が居るので、内部での暴挙から身を守る為としている。
「しかし、マリア様とリアナ様。いいえ、ヴィネ様は、丸っきり違うのですね?」
「共に【ヨハン様を熱愛している】と言う点で共通し、協力しあっているがな。今はマッサージのお陰でマリアは寝込んでいるよ」
リオナは、リアナの返答に【意外だ】と言う顔をした。
「本当にラブラブなんですね?」
「ラブラブだよ。昨日もな・・・・」
エステサロンで配下の魔女に囲まれている、この二柱の【悪魔】の惚気話を邪魔する者も、できる者も居なかった。
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72本の染色体。
ギルガメッシュの伝説では、原初の王ギルガメッシュは、三分の一が神だったらしい。
現在でもトリソミーと呼ばれる染色体異常が存在し、通常は両親からもらった染色体二本一組の所を、三本になっている遺伝子病が存在する。
また、ユダヤ聖書の創世記で、アダムは肋骨を一本抜かれており【YXX ➡ YX+X】、それを元にイブ【X+複製X】が作られたと伝えられている。
ギルガメッシュや初期のアダムは、三対の染色体を持っていたのか?
ユダヤ聖書の創世記で、ノアの洪水の後に、神の息吹き【遺伝子?】を抜かれて短命になっている。
現在の人間遺伝子は23本二組の46本である。
ノアの時に抜かれた染色体を加えて24本二組の48本。
遺伝子が、元々は三組あったとするギルガメッシュや初期のアダムを考えると24本三組の72本となる。
単なるコジツケの数合わせだが、真実は何処に有るのか?




