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89:この世界の女性達じゃ恋バナなんて有り得ないよね?

 丸二日かかったけど、翌日の夕方には組み立て終了!

 やっぱり、今回の化石が、今までで一番大きかったよ。


 今回のヤツも海に生息していたと考えられる巨大生物だったけど、特徴的なのは、首長竜や滄竜の化石と違って歯が無いこと。

 ベリルも、このことが気にかかっていたようだ。


「トオル様。この化石って歯がありませんよね?」

「そうだね」

「もしかして、歯だけ化石化しなかったとかってあるのでしょうか?」

「多分、歯が無かったんだと思うよ」

「そんなことって、あるんですか?」

「クジラって知ってる?」

「海に住む大きな生物ですね?」

「そう。クジラには、歯がある種類とない種類があってね。ヒゲが生えているクジラっているでしょ?」

「います」

「ヒゲクジラには歯が無いんだ」

「そうなんですか?」

「うん。あのヒゲで、オキアミとか小魚を濾しとって食べるんだけど……」

「でも、歯が無いってことは、丸飲みですか?」

「そうなるね。一方のヒゲが生えていないクジラには歯があるよ。エサも、オキアミとか小魚みたいに丸飲みできるモノじゃなくて、もっと大きいモノになると思う」


 つまり、この化石は、今で言うヒゲクジラみたいな生物だったってことだ。

 ちなみに、チャットボット機能からの回答では、この化石も首長竜や滄竜の化石と同じで一億年前のモノとのこと。


 地球上では、たしか歯の無いヒゲクジラの最古の化石は2750万年前のモノだったと思うから、この世界では、ヒゲクジラに似た生物の誕生が、地球よりも早かったってことになるのかな?

 ただ、この生物が哺乳類なのか爬虫類なのかは分からないけど。



 続いてボク達は、頭部だけの巨大魚の化石の組み立て作業に入った。

 これも、チャットボット機能の指揮下で順調に作業が進み、結構イイ時間になっちゃったけど組み立てが完了した。


 まるでメガロドンの化石みたいだね。

 ボク達の身長よりも口の方が大きいよ。


 さすがにベリルも、

「人間なんて余裕で丸飲みですね」

 って言っていた。

 ボクもそう思うよ。



 本当は、夕食を御馳走しようと思ったんだけど、もう夜遅い。

 フルオリーネ女王陛下やアクティスが心配するといけないので、ベリルはルイージさんの転移魔法でお城へと戻って行った。


 でも、アリアは、今、一人暮らしだからね。

「なんか食べさせて」

 むしろ、アリアの方から要求してきたよ。



「じゃあ、何が食べたい?」

「今日は麺類かな。そうそう、焼きそばが食べたい。ただ、今まで私が食べたことの無いヤツで、美味しいの」


 結構、面倒な注文だな、それ。

 だったら、

「出ろ!」

 ボクは、女神様にいただいたペンダントにお願いして、刀削麺で作った焼きそばを二人前出した。

 しかも、野菜たっぷりの上に、最後に溶き卵をからめたヤツだ。


 実は、こう言ったヤツを、ボクは大学院時代に大学近くの中華料理店で食べたことがあってね。

 結構、刀削麺の焼きそばって美味しいんだよ!

 むしろ、焼きそばにする方がお勧めかな?


 ボクが、食べるのが遅いからってのもあるけど、刀削麺を普通にラーメンとして食べると、結構麺が伸びるんだよ。


 でも、焼きそばなら伸びないからね。汁を吸うわけじゃないし。

 だから、焼きそばで食べるのをボクは個人的に勧める。

 あと、熱々の状態で最後に溶き卵をからめるのは結構イケるよ!


 アリアも、喜んで食べていたよ。

「これ、美味しい! で、他には?」

 しかも、三分もかからずに完食して、お代わりを要求してきた。



「じゃあ、何かリクエストは?」

「これとは別タイプの焼きそばで」

「今まで食べたことあるヤツでもイイ?」

「うん」

「分かった。出ろ!」


 ボクは、あんかけ焼きそばにオムソバ、それから塩焼そばを出した。

 各一人前ずつね。

 多分、全部アリアの胃袋ブラックホールの中に消えて行くんだろうけど……。



 夕食を終えると、ボクとアリアは銭湯施設の方へと移動した。

 結構な作業だったから、それ相当に汗もかいたし。


 当然、湯船の中には入浴剤が入っている。

 それから、シャワーはお湯が出るようになっている。

 蛇口に水魔法が付与されていて、しかも、温度調節も可能だ。


 ここでボク達は、ゆっくりと汗を流した。

 ちなみに実況中継は無しね!


 …

 …

 …


 銭湯施設を出ると、ボクはアリアを連れて会長室へと戻った。

 ここには、先日、みんなが泊まったから布団もたくさんあるし……と言うか余っているし、今夜は、ここに二人で泊まるつもりだ。



 会長室に入ると、そこにはバイエッタさんの姿があった。

 バイエッタさんは、マイトナー侯爵家に仕える転移魔法使いね。


「トオル様。遅かったので心配しました」

「ゴメンなさい。多目的ホールで化石の組み立てをやっていたもので」

「そうでしたか。それで、ご夕食は?」

「アリアと食べました。それと、今日は、アリアと一緒に会長室に泊まります」

「分かりました。では、その旨を侯爵様にはお伝えしておきます」

「ワザワザありがとうございます」

「では、ごゆっくりなさってください。失礼します」


 そう言うと、バイエッタさんは会長室を出て行った。

 いくら貴族に使えるレベルの優れた転移魔法使いでも、この会長室……と言うか建物には転移魔法での出入りができないように結界が張られているからね。

 なので、この建物から出てから転移魔法で移動することになる。



 今日はアリアと二人でお泊り会。

 先日、アリアがボクの家に泊まった時は、二日酔い薬の実験と称してアリアは……他にもマルシェとかミサとかもいたけど……バカ飲みしていたからね。

 ボク以外は全員、頭がぶっ飛んじゃっていて、何かを語り合うなんて出来なかった。


 でも、今日は酔っていないからね。

 なので、イイ年した女性二人の話と言えば、恋バナ……だったらイイんだけどね。

 実際には、そんな訳は無いんだけどさ。ボク達の場合。


「トオルが前にいた世界でも化石ってあったんでしょ?」

「うん」

「今回の滄竜? みたいな化石もあったの?」

「あったよ。首長竜も、巨大魚……って言うか、巨大なサメの化石もね。ただ、ヒゲクジラみたいなのの化石は、一億年前の層からは出ていないんじゃないかな?」

「そうなんだ」

「古くても、歯が無いヒゲクジラだと2750万年前だったって記憶している?」

「ふーん。それでも気が遠くなるくらい昔のモノだけどね」

「そうだね」

「あと、陸で生きていた生物の化石は?」

「当然、あるよ」

「この世界でも出るかな? 一億年前とかに生きていた陸の生物の化石」

「ちょっと待ってて」



 ボクは、チャットボット機能を立ち上げた。

 結局、頼るところはコレなんだよね。

 もう、ずっと使いっぱなしだよ。

 そして、質問開始!


『Q:イットリア山の麓で発掘された滄竜や首長竜の化石と同年代の陸生成物の化石が発掘できる場所で、一番ここから近いところは?』

『A:ファリャ村』


 なんか、随分懐かしい地名が出て来たよ。

 ボクが、この世界に来たばかりの時に、ボクがファリャ村出身って設定を女神様が作っておいてくれたんだ。


 初めてアリアに出会った時も、何処から来たのかって聞かれて、ファリャ村から来たって答えたんだっけ。



 ただ、ファリャ村だと隣国のディオネア王国内に入ってしまう。

 ディオネア王国の端っこの村だけど。

 やっぱり他国じゃなくて、この国の中でイイところを見つけたいよね?


『Q:ドロセラ王国内で、陸生成物の化石が発掘できる一番近い場所は?』

『A:コクーン村』


 たしかコクーン村はファリャ村と隣接している村だ。

 ファリャ村の、すぐ北に位置しているんだけど、トルリシティからだと、たしかに直線距離ではファリャ村の方が近い。


 例えるなら、トルリシティが世田谷区だとすると、ファリャ村が渋谷区で、コクーン村が新宿区かなぁ。

 そして、世田谷区-杉並区-中野区-新宿区がドロセラ王国で、渋谷区-港区-千代田区-中央区がディオネア王国に属するって、そんな感じ。


 ちなみに、イットリア山は西多摩郡になるのかな?

 でも、これは、飽くまでもイメージ的な話ね。

 実際の距離は全然違うからね!



 あと、余談だけど、コクーン村の真北に鉱山の街オッフェンが位置している。

 オッフェンは、ボクがワルハラ帝国に拉致された日に、マイトナー侯爵が出掛けていたところだ。

 つまり、この辺一帯が、マイトナー侯爵の領地になる。



 いずれにしても、一億年くらい前に生存していた陸生成物の化石の宝庫が、コクーン村からファリャ村にかけて広がっているってことなんだろう……って勝手に推測する。

 あとは、どっちの村の方が化石発掘に有利かってことなんだけど……。


『Q:コクーン村とファリャ村では、どっちの方が、化石が多い?』

『A:コクーン村』


『Q:コクーン村とファリャ村では、どっちの方が、巨大生物の化石が多い?』

『A:コクーン村』


 取り敢えず、コクーン村の方が条件としては良さそうだ。

 これなら、アリアもベリルも喜びそうだね。

 次に、お城に行った時にベリルに会えたら話してあげよう。



「シリシスからの回答だと、コクーン村辺りだって」

「たしか、そこってトオルの自称故郷のファリャ村のすぐ近くよね?」

「まあ……そんなこともあったね。あと、ファリャ村からも一億年前の陸生成物の化石が発掘できるらしいよ」

「そうなんだ。でも、ドロセラ王国内で発掘できる方が、面倒が少ないかな?」

「多分ね。他国で発掘するとなると、化石の所有権の話とかも出て来るし、色々と面倒が発生しそうだよ」

「だったら、行くのはコクーン村かな」

「そうだね。あと、ファリャ村よりもコクーン村の方が化石自体も多いみたいだし、巨大生物の化石もコクーン村の方が多いって」

「本当?」

「たださあ。アリアは、化石発掘の職業を鞍替えしたりしないよね?」


 実は、ちょっとボクは、そのことを気にしている。

 妙に化石に興味を持っているからさ。


 アリアにトオル製薬を辞められると、結構痛手なんだよね。

 ボクの秘書がいなくなっちゃうし、薬学教室の講師が一人減るし。



「職業って、化石掘ったって全然儲けにならないでしょ?」

「そうなの?」

「だって、掘ったところで誰かが買ってくれるわけでもないでしょ?」


 この世界では、まだ化石が認知されていないから価値が分かっていないってことか。

 地球では、ティラノサウルスの化石で、最も完全な状態のモノの一つと言われるヤツが33億円で落札されたなんてのがあったらしいけどね。


「でも、もし化石をボクが買うって言ったら?」

「それでも、化石発掘を職業には出来ないかな。私はベリル王女みたいな探査魔法もないし、ルイージさん達みたいな物質転送魔法もないし、トオルみたいな収納魔法も使えないからね。化石には興味があるけど、全然稼げないのが見えているわよ。だったら、ここでトオルと一緒に働く方がイイわ」

「じゃあ、このままいてくれるんだね」

「当然でしょ。まあ、趣味で化石発掘はしてみたいけどね。小さな貝の化石とかでもイイから」


 たしかに、その方がアリアにとっては堅実だろうね。

 ボクとしても安心したよ。



「あとさあ、トオル」

「何?」

「もっと古い化石とかってあるのかな?」

「ボクの出向先ではあったよ」

「どんな生物?」

「それこそ、常識では考えられないようなのもいたみたいだね。こんな感じの……」


 ボクは、近くにあった紙に、アノマロカリスとかオパビニア、ハルキゲニア、ウィワクシアと言ったバージェス生物群の絵を描いた。

 これを見てアリアは、

「ナニそれ?」

 って言いながらも、非常に興味津々って顔をしていたよ。

 やっぱり、今の世の中で考えたら非常識的な姿だし、見るからに面白そうだもんね!

何をもってヒゲクジラのような生物とするかは難しいなと、後から感じました。

オルドビス期の生物エーギロカシスも、ヒゲクジラやジンベイザメのような濾過食性生物だったとされておりますので。

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