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78:姿見効果?

 ここで、

「じゃあ、みんな、順番にお風呂にどうぞ。ボクは最後でイイんで」

 ボクは、モニターのみなさんに、先にお風呂に入ってもらおうと思った。


 ところが、

「そう言うわけには参りません。聖女様からどうぞ」

 とルイージさんから。


 リキスミアさんからも、

「さすがに、聖女様よりも先に入るなんてバチが当たります。しかも、王太子様の御婚約者であらせられるわけですし。ですので、トオル様、お先にお入りください」

 と言われたよ。


 一応、体面的なモノもあるんだろう。

 ここで反論しても仕方が無い。

 ボクからお風呂をいただくことにした。



 ただ、ルイージさんは、騎士兼転移魔法使い兼ボクの侍女だからね。

 それから、リキスミアさんも、今回の出張に王宮から派遣されて来た侍女。


 なので、ボクは二人がかりで身体や髪を洗われたよ。

 一人でゆったりと入らせてもらえなかった。



 その後、お風呂には、ルイージさん、リキスミアさん、サリナ、シャルルの順に入ったようだ。

 一応、身分の高い順ってことで。

 騎士兼転移魔法使い兼侍女、侍女、弟子その1、その2の順番だ。



 取り敢えず、みんな、なんちゃって入浴剤を使ってくれたようだ。

 ただ、日本のお風呂と違って、一人が入ったらお湯をバスタブに張り直すんだよね。

 ちょっとお湯が勿体ない気がするけど、日本と違って、ここではバスタブに張ったお湯を沸かし直すことが出来ないから、この辺は仕方が無いことのようだ。


 でも、なんちゃって入浴剤を使ってもらうにも、温かいお風呂でないと、威力半減って気がする。

 特に、ここピカドン王国は、ドロセラ王国よりも北に位置しているからね。

 ただでさえ寒いんだ。



 でも、一応、全員に、なんちゃって入浴剤の保温効果を強く感じてもらえたようだ。

 しっとり感もあったみたいだけど、やっぱり、ここでは気候が寒い分、保温効果の方が有難かったみたいだし、効果としても際立った気がする。

 今のところ、みんなからの評判は良さそうだ。



 それから、ボクは、お風呂から出たところに姿見を置いた。

 この世界に初めて来た日に、宿で出したのと同じタイプのヤツね。

 ただ、リキスミアさんもサリナもシャルルも、

『何でこんなのを置くの?』

 って感じだったけど、ルイージさんだけは、少し表情が曇っていたよ。

 やっぱり、ビルハルツ王国での一件を覚えていたようだ。


 …

 …

 …


 翌朝。

 朝食も、

「お願い、出ろ!」

 ボクが、女神様からいただいたペンダントにお願いして全員分を出した。


 リキスミアさんもサリナもシャルルも、

「これ美味しいですね」

「これも美味しいです!」

「朝からこんなに沢山、嬉しい!」

 と、バクバク食べていたけど、ルイージさんは、少しセーブしていた感じがした。

 やっぱり、姿見を置いた効果はあったようだ。



 朝食を終えて少ししたところで、シュレンキさんがボク達を迎えに来た。

 現地待ち合わせでも良かったんだけど、ボク達が現地に入った時に患者が一人もいないなんてことがあったら失礼に当たると思ったらしくてね。

 それで、患者がある程度集まったところで、ボク達を呼びに来ることにしていたらしい。


「トオル様。おはようございます」

「おはようございます。ワザワザ、お出迎え済みません」

「いえいえ。こちらがお願いしていることですので」

「では、昨日と同じ寺院でよろしいですか?」

「はい。お願いします」


 シュレンキさんは、ドロセラ王国まで依頼に来た本人だからね。

 当然、転移魔法が使える。


 ただ、万が一にも他国の人間がボクを拉致しないようにってことで、ボクの移動の際には他国の転移魔法使いでの移動は行わない。

 なので、ここは、

「転移!」

 ルイージさんの転移魔法での移動になる。

 ボク達は、一瞬のうちに寺院へと空間移動した。



 役割分担は、昨日と同じ。

 寺院に入ると、早速、リキスミアさん、サリナ、シャルルの三人で診断して、感染していると判断された患者がボクの方に回って来る。


 そして、ボクが、それら患者達の体内から、

「切除&転移!」

「再生!」

「切除&転移!」

「再生!」

「切除&転移!」

「再生!」

 と、病巣部位の摘出と欠損部位の再生をガンガンやって行く。


 この間、シュレンキさんは患者達の誘導管理、ルイージさんはボクの警護兼、患者達への説明を行ってくれた。


 ただ、昨日と比べて、感染者数は変わらなかったけど、重症者数は少なかった。

 どうやら、昨日は症状のある人……、つまり、黄疸が出ている人、腹痛とか発熱のある人、膨満感とか腹部上部の不快感がある人、それから、疲れやすくて体調が今一つの人を優先して連れて来ていたそうだ。


 今日は、そう言った症状の無い人が殆どになる。

 なので、重症者数が少なくても当然だろう。

 でも、病巣はシッカリと出来ていたから、治療は必要だったけどね。



 この日で、やっと王都民の、約四分の一の検査と治療を終了した。

 ただ、王都の検査&治療の後には、王都周辺の街での検査&治療を行うことになる。

 なので、多分、今回の出張は一週間どころか二週間かけても終わらないだろう。


 それと、病巣部位を転移した巨大水槽が、もういっぱいになっていてね。

 今回も例の如く、

「シリシス、お願い!」

 ボクはペンダントトップを握り締めてシリシスにお願いした。


 すると、

「だから、それは通信機じゃないんだってば」

 とシリシスの声。


「分かっているけど、こうでもしないと、こっちから話が出来ないからさ」

「それで、今回も、この摘出物を外核まで送り届ければイイんだね?」

「はい」

「じゃあ、また、その身体を借りるよ」


 そう言うと、シリシスは、ボクの身体の中に入り込んだ。

 これでシリシスに身体を乗っ取られるのは何回目だろう?

 別にイイけど。

 次の瞬間、ボクの背中には一対の巨大な白い翼が現れた。



 毎度の如くの展開だけど、ボクの身体が宙に浮いた。

 そして、ボクの身体が地上の一点を指さすと、そこに大きな穴が空いた。

 しかも外核まで通じる深い穴だ。


 さらにボクの身体が、巨大水槽を指さすと、その巨大水槽が宙に浮いた。

 そして、ボクが再び穴の方を指さすと、その大きな穴の中へと巨大水槽が吸い込まれるように飛び込んで行った。

 これで、寄生虫に侵された病巣部位は、寄生虫ごと高温高圧の世界へと廃棄された。

 あの過酷な条件の中で、寄生虫共が生き永らえるとは到底思えない。


 その直後、その穴が塞がり、ボクの背中からも翼が消えた。

 ただ、毎度の如く、これを見た人々からは、

「聖女様!」

「御使い様!」

「女神様!」

 と、いつものパターンで人外認定強化を受けることになったんだけどね。

 もう、どうでもイイけど!


 …

 …

 …


 今日も宿に戻ると、

「今日はホールケーキの大人食いなんてモノをやってみたいですね!」

 とリキスミアさん。


「じゃあ、私はイチゴショートにガトーショコラ、ミルクレープにモンブランにシュークリームにエクレヤに……」

 とサリナ。

 いったい、何個食べる気だろう?


 そして、

「私は、伝説の中の伝説でマンゴーパフェってのを食べてみたいです。それから、昨日食べたのとは違う味付けのラーメンがあるってリキスミアさんから聞いたんですけど、それをお願いします」

 とシャルル。

 昨日は醤油ラーメンだったから、じゃあ、今日は味噌ラーメンでイイね!


 三人共、ここぞとばかりに食べる気マンマンだけど、ルイージさんだけは、

「ストロベリーサンデーのスモールサイズで。あと、野菜サラダとスモールピザを一枚お願いします」

 かなり遠慮していたよ。

 姿見効果が継続しているみたいだね。


 ただ、他の三人は、そんなルイージさんを見ながら、

『何で、そんなに小食?』

 って顔をしていたけどね。



 ただ、四人共、ボクの背中に翼が生えたことについてのツッコミはしてこなかった。

 多分、

『今さら何を?』

 って感じなんだろうとは思うけど。



 夕食の後は、完全に昨夜と同じパターンだった。

 お風呂の順番は、ボク、ルイージさん、リキスミアさん、サリナ、シャルルの順。

 ただ、ボクの場合は、ルイージさんとリキスミアさんに二人がかりで身体や髪を洗われて、ゆったり出来ずの状態だったけどね。


 それから、今日も全員が、なんちゃって入浴剤を使った。

 お陰で、身体が芯から温まったって感じだったよ。


 …

 …

 …


 八日目までが王都、そして九日目は、隣町ポイズンの寺院に集められた患者達をチェックしていった。

 ただ、王都程の人数がいなかったんでね。この街は、何とか二日で終了。


 それから、なんちゃって入浴剤は、一週間分しか出していなかったけど、四人からのウケが良かったんで追加で毎日、出すことにした。

 結構、みんな喜んでくれていたよ。



 そして、十一日目は、王都とポイズンに隣接する町ニトロンの寺院に行き、患者達の診断&治療を行った。

 十二日目以降も、同様に王都周辺の町の患者達の検査&治療を継続。



 そして、十七日目のことだった。

「トオルさん。ちょっと、これって!」

 こう声を上げたのはサリナだった。


「どうかしたの?」

「ちょっと診ていただけますか?」


 どうしたのかと思って、ボクは、サリナが診ていた患者を魔法診断した。

 今までの患者のほとんどでは、寄生虫は肝臓のみに病巣を形成していた。

 でも、肝臓以外に腎臓、もしくは肺にも病巣が形成されていた患者も、それぞれ百人に一人くらいの割合でいた。

 まあ、これは想定の範囲内だ。



 今回の患者も、一応、想定はしていたけど、出来れば、このパターンの患者だけは、いて欲しくなかった。

 この患者は、肝臓と腎臓に病巣が形成されていたけど、もう一つ、脳にも病巣があったんだよ。

 さすがに場所が脳みそだからね。

 ボクでも、治療するのは、かなり緊張する。

 多分、今のボクには驚きの表情が浮かび上がっていただろう。

 ボクは、深呼吸して心を落ち着かせた。


「この患者さんは、ボクの方で治療するから、サリナは他の患者さん達の診察を続けて」

「分かりました」


 そして、ボクは、その患者に、

「病原体に感染しておりますので、除去します」

 と言ったんだけど、やっぱり患者は、ボクが一瞬見せた驚きの顔をキチンと見ていたようだった

 余計に怖がらせてしまったみたいだよ。

 これは、ボクの反省点だ。

 シッカリしないと!


「聖女様。私は、本当に大丈夫なんでしょうか?」

「大丈夫です。ウラン女王陛下自らが、この病の治療患者第一号としてボクの治療を受けてくれていますでしょう?」

「そうですけど……」

「ただ、ちょっと他の患者さんよりも身体に負荷がかかりそうなところに病巣がありますので、一旦、眠っていただきます」

「眠るんですか?」

「はい。ボクの魔法で眠らせられますので。病魔の除去は、眠っているうちに終わります。では、そこに横になってください」

「わ……分かりました」


 その患者が、床の上に横になった。

 ちょっと身体に負荷がかかるけど、ボクは、その患者の体内に睡眠導入剤を発生させた。

 これで、この患者は一瞬で寝落ちした。


 先ず、

「切除&転移!」

「再生!」

 肝臓と腎臓の病巣を順に摘出し、欠損した部分を再生魔法で再生した。

 ここまでは、今までと同じ作業だ。


 問題は、ここからだ。

 脳の方の病巣を、改めて細かく診断した。

 一応、幸いなことに生命維持や記憶に関する所はセーフのようだ。

 これなら、切除したから大事なことを忘れたとか、切除したために治療中に心臓が停止したなんてことだけは無さそうだ。


 でも、切除したら手か足か分からないけど、どこかしら動かなくなったりする可能性はゼロじゃないんじゃないかな?

 当然、再生魔法で再生するけど、その後、キチンと機能することを確実に保証できるものなのだろうか?


 ボクも、正直言うとビビっていてね。

 それで、チャットボット機能に相談した。


『Q:この患者から脳の病巣を切除し、それによって生じた欠損部位を再生魔法で再生した場合に、機能障害は起こる?』

『A:起こらない』


『Q:この患者を治療しても問題ない?』

『A:問題ない』



 有難い回答が出た。

 まだ怖いけど、機能障害が起こらないなら、ここはビビらずにヤるべきだ。


「切除&転移!」

「再生!」


 ボクは、その患者の脳にある病巣部位を切除、摘出し、欠損部位を再生魔法で再生した。

 あとは、チャットボット機能の回答通り、問題が無いことを祈るだけだ。



 そして、

「物質転移!」

 ボクは、その患者の体内から睡眠導入剤を除去した。

 少ししたら目を覚ますだろう。


 ただ、ボクに回ってくる患者は、この人だけではない。

「次、この方をお願いします」

「この方もお願いします!」

 リキスミアさん、サリナ、シャルルの三人が各々順々に患者達を診察し、次々と新たな感染者がボクの方に回されてくる。

 この患者達からも、病巣を急いで摘出しなければならない。


「切除&転移!」

「再生!」

「切除&転移!」

「再生!」

「切除&転移!」

「再生!」


 ボクは、まるで流れ作業のように、次々と寄生虫感染者の病巣部位を摘出していった。

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