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77:論破?

 恐らく、ウラン女王陛下御自身も、自分が患者であるとの自覚があるんだろう。

 だから、朝早くから、ワザワザここにいらしていたんだ。

 それ以前に、これだけ派手に黄疸が出ていちゃ、反論のしようがないだろうしね。


「リキスミアさん、サリナ、シャルル。ボクの診断を参考に人々の診断をお願い。ほとんどの場合、肝臓に病巣を形成するけど、たまに腎臓や肺、脳にいる場合もあるから全身スキャンをしてもらうよ」


 ボクは、そう言うと女王陛下の身体を頭の天辺から順にスキャンしていった。

 彼女の場合は、黄疸が出ていることからも想像がついていたけど、寄生虫は肝臓に大量に居座っていた。


「出ろ!」


 ボクは、糸状虫の時と同様に、女神様からもらったペンダントにお願いして巨大な水槽を出してもらった。

 例によって、取り出し口の無い、外界と中が完全遮断された密閉タイプのヤツね。


 これが生活必需品とは思えないけど、今回のような場合には、融通を利かせてくれる。

 実際に、出してくれているのは御使いシリシスだけど。

 シリシスには、本当に感謝しているよ!


 そして、

「切除&転移!」

 ボクは、女王陛下の体内から病巣部位を摘出して、その巨大水槽の中に物質転移した。


 それから、魔法で切除する時に、自動で止血もされる。

 なので、体内でとんでもない大出血が起こることも基本的には無い。

 まさに、魔法サマサマってところだ。


 続いて、

「再生!」

 欠如した肝臓を再生して終了。

 これで、一先ず状態は改善したはずだ。


「女王陛下。処置は終了しました。体内に巣食う病魔を、女王陛下の体内から、あの水槽に中に転移させましたので」

「そ……そんなことが出来るのか?」

「はい。今回は、この治療法が最善になります。また、今回の病気は、病原体に感染して十年くらいしてから病状が現れることが多いようです。ですので、五年に一回、検査をしていただき、感染が確認されましたら処置をすることで対処可能と思います」

「そうか。では、定期的にお願いする」


 多分、ボクかリキスミアさん、サリナ、シャルルの誰かが担当することになるんだろうとは思うけど……。

 こうなると、診断魔法が使える人を増やした方がイイね。

 あとでフルオリーネ女王陛下に相談しよう。


「分かりました。それと、外出後は必ず手洗いをすることと、野山で取った果実とか山菜、キノコなどを食べる時は、良く洗って、できれば焼くとか煮るとか、十分に熱をかけてから食べることをお勧めします。病魔の卵は加熱処理で死滅しますので」

「分かった。しかし、病魔の卵は取り除けば良いのではないか?」

「それが、余りにも小さくて目に見えないのです。ボクでも肉眼では見ることが出来ません」

「そうなのか?」

「はい。見えないモノを信じていただくことは難しいことと思いますが、よろしくお願い申し上げます」

「しかし、聖女殿の言葉に偽りはあるまい。各国で起こる奇病を次々と治しているお方だ。信じることとしよう」

「ありがとうございます」

「いや、礼を言うのはこっちだ。では、私は城に戻るが、国民のことをヨロシク頼む」


 そう言うと、ウラン女王陛下は、転移魔法でその場から姿を消した。

 勿論、お付きの転移魔法使いの力によるものだけどね。



 ここからは、リキスミアさん、サリナ、シャルルの三人に並んでいる人達の診断を順に行ってもらう。

 そして、感染が疑わしい人をボクの方に回してもらって再診断し、感染が確認されたら処置を施して行く。


 ただ、思っていた以上に感染者が多くてね。

 五人中四人が陽性判定を受けていたよ。


 なので、ボクの方でも、

「切除&転移!」

「再生!」

「切除&転移!」

「再生!」

「切除&転移!」

「再生!」

 と、まあ、ウラン女王陛下の時と同様に、病巣部位の摘出と欠損部位の再生をガンガンやって行ったんだけど、さすが王都だけあって、とにかく患者数が多い!

 ひと段落着いた時には、既に、午後九時を回っていたよ。


 でも、まだ王都の人を、全員チェックできたわけではない。

 明日も、ここで診断&処置を繰り返す日になりそうだ。


 …

 …

 …


 その日は、シュレンキさんに連れられて、王都の宿に泊まった。

 ボクとルイージさん、リキスミアさん、サリナ、シャルルの五人同室だったけどね。

 でも、スウィートルームなので、スペース的には五人でも超余裕だった。

 宿泊費は当然、ピカドン王国持ちね。


 シュレンキさんは、一緒に泊まらずに自宅に戻った。

 明日の朝、迎えに来てくれるとのことだ。



 部屋に入ってすぐに、サリナとシャルルは、

「早く、食べに行きましょう!」

 と言い出した。

 食欲旺盛な年ってこともあるとは思うけど、それ以上に、ピカドン王国の食べ物……と言うか、祖国以外の食べ物に興味があるみたいだ。

 それで、この宿の食堂に食べに行くことを希望していた。


 ボクも、せっかくならピカドン王国の食べ物を食べてみたい。

 なので、

「そうだね。では、みんなで行きましょう」

 ってボクが言ったんだけど……。


 そうしたら、これをリキスミアさんとルイージさんが、

「ダメです!」

「右に同じ!」

 と完全否定してきた。



「どうしてですか?」

 こう聞いたのはサリナ。


「今回の病気は何でしたか?」

 これに、質問で返したのはリキスミアさん。


「寄生虫感染症です」

「感染経路は?」

「経口感染」

「それで、その寄生虫の卵が付着していたモノは?」

「野菜や果物です」

「そうです。しかも、それは小さくて人間の目には見えないものです。今後、寄生虫感染症への対策に、ピカドン王国も取り組んで行くでしょうけど、今日現在は、それが出来ているかどうかは怪しいでしょう。なので、今回は、トオル様の魔法で食べ物を出していただくべきです。それなら100%安全ですからね!」


 一応、リキスミアさんの意見は正論な気がする。

 万難を排する考え方であれば、そうすべきだろう。

 治療スタッフとして来た者達が、その病気に感染したなんて、あって欲しくない。

 そんなことが起きたら、ドロセラ王国とピカドン王国の両方の名に傷が付く。



 とは言っても、果物も野菜も良く洗えば大丈夫だし、加熱処理すれば問題ない。

 それ以前に、ボクのチャットボット機能を使えば、出てきた料理が大丈夫かどうかを鑑定することが可能だしね。

 なので、食堂で食べても問題無いんだけど?


 でも、

「分かりました。では、トオル様が出すと言われる伝説の食べ物を所望します!」

 サリナがリキスミアさんに論破された!

 と言うか、ボクが出す食べ物に釣られたよ。

 なんか、目がキラキラ輝いているんですけど!


 そう言えば、この二人には、試験を行った日にデザートも何も食べさせていなかったような気がする。

 途中でリキスミアさんに丸投げして逃げたんだっけ。

 可哀そうなことをしたな。


 一方のシャルルも、

「そうですね。それなら仕方ありません」

 サリナ同様に、リキスミアさん達の意見に賛同……いや、寝返ったよ!

 結局、ピカドン王国の食べ物はお預けだ。



 でも、まあ、仕方が無いか。

 二人がここで寝返ったのは、あの時、ボクが二人に食べ物を出すのを失念していたからに違いない。


 それに、一部ではボクの出すスウィーツが伝説になっているみたいだしね。

 ボクの居室を警護してくれている兵士達も喜んでくれていたし。

 だから、余計に食べてみたいって思うんだろう。



「じゃあ、トオル様。私はチョコレートケーキをお願いします」

 いきなり、こう言ったのはリキスミアさん。

 ただ、最初からデザートかい!

 主食は食べないの?


 そして、

「では、私はチョコレートパフェからかな?」

 こう言って来たのはルイージさん。

 やっぱりデザートから行くんかい!


 すると、サリナは、

「私はリキスミアさんと同じで」


 そして、シャルルは、

「じゃあ、私はルイージさんと同じで」


 結局、四人共、主食からではなく別腹を満たす方からスタートすることになった。

 ボクは主食から行くけどね。



 と言うわけで、

「お願い。出ろ!」

 ボクは、チョコレートケーキとチョコレートパフェを二つずつ出して、四人に配った。


 それから、

「こっちもお願い。出ろ!」

 ボクの分は、ラーメン。

 これが糸状虫感染の治療だったら、絶対に麺類は食べたくないけど、なんか、今日は不思議と麺類の気分だったんだ。


 これを見てサリナが、

「それって何ですか?」

 とボクに聞いて来た。


「これは、ラーメンって言って、こことは別の世界……異世界の食べ物なんだ」

「異世界ですか?」

「そう。ボクが薬の勉強をしに行った先にあった食べ物でね……」

「トオル様が勉強しに行った先ってことは、天界ですね!」

「いや、行ったのは地球で……」

「じゃあ、私も、その天界の食べ物も食べてみたいです!」


 完全に、サリナはボクが留学した世界を天界だと信じ切っていた。

 周りから聖女だの女神だのと言われているから、勝手にそんなイメージを作ってしまったんだろう。

 この誤解を解くのは、相当難しそうだ。



 一先ず、誤解の件は置いといて、取り急ぎ、

「お願い。出ろ!」

 ボクは、女神様からいただいたペンダントにお願いして、サリナの分のラーメンを出してあげた。


 すると、

「私もラーメン一丁。あと、マロンパフェもお願い」

 とリキスミアさんが、そして、

「私もラーメン。大盛で。あと、究極のメロンパフェもお願い」

 とルイージさんが言って来た。


 別に出すのは構わないけどさ。

 でも、ラーメンとデザートだけって……。

 太るよ、それ。


 特にルイージさんは、ビルハルツ王国での前科があるんだからさ。

 住血吸虫の治療の時に、ルビダスと一緒にスウィーツを食べまくり過ぎて、フルオリーネ女王陛下から、

『太った?』

 って言われたじゃん?

 もう覚えていないのかな?

 でも、多分だけど、覚えていても誘惑には勝てないってことなんだろう。



 リキスミアさんとルイージさんの言葉を聞いて、サリナが、

「じゃあ、私も究極のメロンパフェで!」

 そして、シャルルが、

「では、私もラーメン一つとマロンパフェをお願いします」

 とボクに言って来たよ。


 多分、四人共、この出張で激太りするな。

 後で、体型変化に気付くように姿見でも出しておこう。


 …

 …

 …


 夕食後。

 ルイージさんが荷物の中から『なんちゃって入浴剤』を取り出した。

 出張中に使ってみてくれるんだ。


 すると、これを見て、

「それって、何ですか?」

 とサリナがルイージさんに聞いた。


「あっ、これ? これは、トオル様からいただいた試供品で、温泉の元なんだって」

「温泉の元?」

「これをお風呂に入れると、お風呂が温泉に早変わりするんだって。使用感を確認してもらいたいって言われて」

「そうですか。でも、本当に温泉の元なんてのがあったら嬉しいですね」

「じゃあ、トオル様」

「はい?」

「サリナとシャルルとリキスミアの分も出してあげては如何でしょう?」

「そうですね。ただ、一週間使用した感想と、どんな香りがついていたら嬉しいかとか、いくらくらいなら買ってもイイッて思えるかを教えてもらいたいんですけど」


 すると、サリナが、

「アンケートですね。お安い御用です!」

 と答えてくれた。


 シャルルも、

「私も使ってみたいです。本当に家のお風呂で温泉に入った気分になれるのでしたら安上がりじゃないですか」

 との回答。

 興味を持ってくれているようだ。


 そして、リキスミアさんも、

「そんな面白そうなものがあるのに、なんでお声掛けしてくれなかったんですか? 是非、試してみたいです!」

 モニター参加を強く希望されたよ。



 これは有難い。

 ここに来て、モニターが一気に三人も増えるなんて。

 早速、ボクは、

「出ろ!」

 物質創製魔法で、なんちゃって入浴剤を21個出して、三人に七個ずつ手渡した。

 みんなからの意見に期待しているよ!

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