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35:壁ドン!

「では、原体創製の六人は、少し休憩してください。他の六人ですが……。出ろ!」

 ボクは、物質創製魔法で六百グラムの酸化マグネシウム粉体の入った容器を二つ出した。二グループだから二つに分けたってことね。


「では、これを使って六人には製剤化以降の工程にチャレンジしてもらいます。この間と同じように、製剤化、ビン出しにビン詰め、それから防腐魔法に異物チェックです。では、前回と同じように分かれてください」

「作る薬の見本はありますか?」

「今、出します。出ろ!」


 ボクは、現在、市場に出回っているモノと同じ形態で、お通じの薬を出した。ちょっと大きめのビンに、五百ミリグラム錠が百二十錠入ったヤツだ。

 これを見て、六人共、イメージが掴めたみたい。


 そして、すぐさま割り当てられた工程をチャレンジしてくれた。

 前回、鎮痛剤でやっていたからね。割とスムーズに達成してくれたよ。

 キチンと十本ずつ作ってくれた。



 と言うわけで、全工程の通しにチャレンジだ。

 前回と同様にパイロット製造を行ってもらう。


「では、通し作業をやってもらいます。物質創製班は各自一キログラムずつ、各グループで三キログラムの酸化マグネシウムを作ってください。それを使って、製剤化工程以降の方も作業をお願いします」


 つまり、一人当たり一キログラムで合計六キログラム。

 一ビン当たり六十グラムだから、全体で百本。


 勿論、これでは、まだまだドロセラ王国の一カ月消費量にすら全然満たないけど、今は通し作業でやれることが大事だ。


「えい!」

「やー!」

「とぉ!」


 なんか、へんな掛け声が出てきているけど……。

 でも、一応、今回は三十分程度で何とか作業を達成してくれた。

 お疲れ様!



 するとミサが、

「何かデザート」

 早速、おねだりしてきたよ。


 しかも、これに何故かアクティスが便乗してきた。

「俺の分も頼む。できれば、この間、陛下とかルビダス、ベリルが食べていたマロンパフェがイイな」


 これを聞いてミサが、

「私も、それがイイ!」

 とのこと。

 はいはい、分かりましたよ。



 と言うわけで、

「出ろ!」

 ボクは、選抜された十二名とアクティス、それから、みんながお世話になったリキスミアさんの分の合計十四個のパフェを、女神様から頂いたペンダントを使って出した。


 ボクの分は要らないのかって?

 当分……ムダな糖分は要らないよ。


 …

 …

 …


 みんな、マロンパフェを食べ終わった。

 ……はずだったんだけどね。そうしたら、ミサが、

「お代わり!」

 なんて言うから、他のみんなも、

「私も!」

「私も!」

「俺も!」

 ってなっちゃって……って、アクティス、お前もか。

 別にイイけど。


 ただ、リキスミアさんは遠慮していたのかな。

 彼女だけは、お代わりしてこなかった。


 …

 …

 …


 結局、リキスミアさん以外全員、さらにチョコレートパフェとバナナパフェを追加して全部完食しやがった。

 それだけの容量が何処に消えるんだよ?


 さすがにボクは、そんなにたくさんは食べられないよ。

 食べたら、きっと途中で気持ち悪くなること間違いない。



 でも、これでエネルギー補給も出来たと言うことで、次のメニューに行くよ!

 ええと、メニューって、スウィーツのメニューじゃなくて講義の方のメニューね。


 って『講義』だからね!

 いくらアクティスがいるからって『交尾』じゃないからね!

 なんか、少し頭がおかしくなっているな、ボク……。



 今度は、趣向を変えて紙に構造式を描いてみた。

 しかも、構造式は二つ。

 これらの配合剤を作ってもらう。


「次のお題は、この二つの構造の分子を有効成分にした配合薬です。風邪薬として、市場に出回っているモノです。これらを十グラムずつ作ってみてください」


 ここからキチンと分子をイメージして作れるかな?

 分子模型が出たりしないか、ちょっと不安はあるけど……。


 案の定、

「ヤバイ。失敗した」

 ミサが分子模型を二つ出してくれた。

 不安……と言うか期待を裏切らないでくれたよ。


 でも、

「集中集中!」

 これくらいでミサは折れずに再チャレンジしてくれた。



 そして、数十分後、

「できた!」

 見事に二つの有効成分の粉体創製に成功してくれた。


 ミサに続いてロンドも成功。

 さらにほかの四人も、なんとか二つの有効成分の粉体創製を達成することが出来た。



 続いて、パイロット製造に入ってもらう。

「では、この二つの成分を各グループで三百グラムずつ作ってください。それから、製品見本は、これになります。出ろ!」

 ボクは、市場に出回っているのと同じ風邪薬を一ビン出した。これを参考に、全工程を達成してもらう。


 今回も、

「えい!」

「やあ!」

「とう!」

 と訳の分からない掛け声がこだましていたけど、一応、通し作業に成功してくれた。前途は、とても明るそうだ。



 ここまでで、一先ず今日の講習を終了した。

 その後、隣の部屋に移動して、ボクは受講者達と一緒に夕食を取ることになった。

 勿論、アクティスとリキスミアさんも一緒ね。


 嬉しいことに、夕食はスウィーツ大会にはならなかった。

 そりゃあ、受講者達もアクティスも、講習の途中でパフェを三杯も食べたからね。

 普通にコースメニューを食べさせてもらえた。



 明日も厳しい講習があるからね。なので、この十二人には、今日は……と言うか、一週間お城に泊まってもらうことになった。

 完全に合宿免許だ!


 ミサもロンドも、

「「やったぁ!」」

 やたらと喜んでいたよ。


「「お城に泊まるなんて夢みたい!」」

 まあ、平民に生まれたら、城に泊まるなんて普通は有り得ないもんね。

 その気持ちも分からないでは無いよ。


 他の十人も、

「嬉しい!」

「夢なら覚めないで!」

 ガチで喜んでいた。



 ただ、他にも何故か喜んでいるヤツが一人いた。

 誰ってアクティスだよ。


「トオルも泊まるんだろ?」

「ボクも?」

「この間みたいにさ」


 アクティスのヤツ、今日もHしたいって、おねだりしてきそうだな。

 でもさあ。今日、ご褒美をあげるべきなのは、アクティスではなくてリキスミアさんだと思うんだけど?

 うん。それがイイ!

 今夜は、できればリキスミアさんと同じ布団で寝たい!


 なんて思ったんだけどね。

 でも、リキスミアさんは、

「では、今日は一旦、帰らせていただきます」

 家で娘が待っていたらしいんだ。

 仕方が無いね。



 と言うわけで、ボクはアクティスに猛アプローチを受けたわけだけど、今日はミサとかロンドもいるしね。

 変なことは出来ないよ。


 なので、

「済みませんが、受講者達と交流を深めたいので」

 と言って、ボクはアクティスとの同室を断った。

 アクティスは、いじけちゃったけどね。



 二日目は、男性の薬二種のパイロット製造まで達成できた。言わなくても分かると思うけど、ED治療薬と早漏治療薬ね。

 どっちも不斉点があるやつだったけど、みんな、立体化学を間違えずにキチンと製造できていたよ。素晴らしい!



 三日目は、下痢止めと湿疹かぶれのクリーム剤。

 そして、四日目は鎮痛剤を全世界で一カ月に必要とする量の百分の一スケールでの製造を、五日目はお通じの薬を全世界で一カ月に必要とする量の千分の一スケールでの製造を、それぞれやってもらった。



 一応、どちらの薬も目標とした量を一日で製造できた。

 これなら十分戦力になり得ると思う。ボクとしては、本当に嬉しい限りだ。

 でも何故かアクティスは、日に日に機嫌が悪くなって行ったけどね。



 と言うわけで、これで一週間に渡る合宿講習は無事終了した。

 全員、チームを組んでの製造が前提だけど、一先ず免許皆伝と言って良いだろう。


「みんな、お疲れ様でした。今後、正式に薬の製造メンバーになっていただきたいと思います。今後のスケジュールは、追って連絡します。で、イイよね、アクティス」


 ところが、アクティスは、

「ああ……」

 なんか不機嫌だった。



 一先ず、これで受講者側は解散となり、各自、帰宅していただいた。

 ボクも帰ろうと思ったんだけど、そうしたらアクティスが、

「今日も泊まって行けよ」

 壁ドンして、そう言ってきた。

 ちょっと怖い。


 でも、何で機嫌が悪かったか、全部分かったよ。

 この講習の間、ボクは一回もアクティスと同室になっていなかったからだ。

 彼は欲求不満が行き過ぎて欲求肥満になっていたんだよ!

 今夜は、逃げられないなぁ……。

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