33:スウィーツ大会!
治療に関する話は36話からスタートする予定です。
アクティスだけは、普通に夕食を食べるよね?
ボクは、用意されていた料理の方が食べたいからさ。スウィーツじゃないのがボク一人ってのは避けたいんだよ。
ただ、ボクの期待は、さくっと裏切られた。
「それなら俺も食べてみたいな。さっき、選抜されて来た娘達に出していたヤツだろ?」
「えっ? どんなヤツ?」
こう聞いたのはルビダス。
彼女は、新たなスウィーツがあるとでも思ったのか、完全に身体ごと乗り出してきそうな勢いだったよ。
「メロンを半分に切ってさ」
「ああ。究極のメロンパフェね!」
「知っているのか?」
「以前、ご馳走になったから」
未知のスウィーツじゃなくて、ルビダスはちょっと残念そうだったけど、食べる気はマンマンって気がする。
そして、とうとう女王陛下までもが、
「それ食べてみたいわ」
と一言。
もう、一番の権力者がそう言っちゃったら決まりだね。
しかも、ルビダスもベリルも、
「「賛成!」」
思い切り乗り気だし。
仕方が無いなぁ。
「じゃあ、出します。五人分ですね」
と言うわけで、ボクは究極のメロンパフェを五つ出そうとしたんだけど、そうしたらフルオリーネ女王陛下が、
「六人じゃなくて?」
とのツッコミを。
「いえ、ボクの分は不要ですので」
「あら、付き合い悪いわねぇ」
ええと……。女王陛下にそう言われたら付き合わざるを得ないじゃん!
久しぶりの、ボクのコースメニューが……。
もう、諦めよう。
「分かりました。では、六つですね」
「そう来なくちゃ」
「では、行きます。出ろ!」
ボクは女神様にいただいたペンダントを握り締めて、そう唱えた。すると、次の瞬間、テーブルの上には豪快に並んだ六つの究極メロンパフェ。
これをみんなで食べ始めた。
で、早速アクティスが、
「美味いんだが、さすがに甘くてキツイな。これ一つだけで腹いっぱいだ」
とのご感想。それが普通だと思うよ。
ボクも、これ一つでお腹いっぱいだもん。
それから、スティビアちゃんは、
「ごちそうさま!」
上のクリーム&アイスクリームを完食して、メロン部分を一齧りしたところで終了。
まあ、彼女の身体のキャパを考えたら、それでも随分食べた方だろう。
一方のルビダスとベリルは、
「「御代わりあります? ケーキか何かで!」」
既に完食。
しかも、想定の範囲内のご要望をされていたよ。
「じゃあ、ミルフィーユでイイ?」
「「うん」」
すると、
「スティビアも食べたい!」
幼女も反応してきたよ。
まあ、当然だろうね。
周りが欲しいって言ったら、幼女が自分も欲しいって言い出すのは十分有り得る話だ。
たとえ、満腹状態だったとしてもね。
多分、これも一口齧って終わりだと思うけど。
ただ、
「私の分もお願いね」
もう一人いたよ。女王陛下も既に完食され、御代わりを御所望されていた。
と言うわけで、
「出ろ!」
ボクは再び女神様にいただいたペンダントを握り締め、ミルフィーユを四つ出したんだけど……そうしたら、
「俺もちょっと食べてみたい」
アクティスも食べるんかい!
もう腹いっぱいだって言っていたくせに。
珍しくアクティスから食べたいオーラが出ているよ。
多分、ボクが出したミルフィーユを見て興味が湧いたんだろう。
仕方が無いなぁ。
「出ろ!」
と言うわけで、アクティスの分も出してあげた。
もはや、完全にスウィーツ大会になってしまったよ。
本来食べるはずだったコースメニューは全廃棄状態。夕食を用意しておいてくださった厨房のみなさん、ゴメンなさい。
…
…
…
その後、ボクはお風呂をいただいた。
ただ、温泉とか銭湯みたいに、みんなで入るんじゃなくて、一人で入浴ね。
侍女が三人付いてくれて、彼女達がボクの身体を洗ってくれたり髪を洗ってくれたりしてくれたよ。
至れり尽くせりなところはあるけど、一人でゆっくりってわけには行かないね。
そうそう。ルビダスだけど、あの薬用シャンプーと薬用リンスをキチンと使ってくれているらしい。
それから、入浴後には、ベタメタゾン吉草酸エステルとゲンタマイシン硫酸塩の配合剤ローションでの治療も継続中とのこと。
頭皮の状態が早く良くなるとイイね!
ただ、そのことをルビダスから聞いた女王陛下とベリルも、
「「頂戴!」」
って言ってきたよ。
勿論、薬用シャンプーと薬用リンスの方ね。
まだ、配合剤ローションを使うほどヒドイ状態ではないっぽいからね。
なので、ボクは二人にも薬用シャンプーと薬用リンスを物質創製魔法で出してあげた。なんか、完全に貢物を送ってばかりだな。
入浴後、ボクはアクティスの部屋に通された。
完全にお膳立てされた感じだ。どうやら、ボクはアクティスと一緒に一夜を過ごすことになるらしい。
ボクがいない間に頑張ったご褒美か?
と言うわけで、ナニが起こるかは、みなさんのご想像にお任せするよ。
では、おやすみなさい。
…
…
…
翌朝、ボクが目を覚ますと、既にアクティスは身支度を済ませてスタンバっていた。朝に強いんだな、コイツ。
「おはよう、王子」
「ああ、おはよう。あと三十分くらいで朝食だぞ」
「えっ? もう、そんな時間?」
寝過ごしたか?
別に昨夜は、そんなに疲れるようなことはしていない……と思うんだけど……。
ただ、アクティスとの距離が近くなったような気がする。物理的な意味じゃなくて精神的な意味でね。
ボクは急いでベッドから飛び起きた。すると、そこには数人の侍女の方々が来ていて、既に準備万端の御様子だったよ。
そして、ボクは彼女達の手で着替えさせてもらい、髪をとかしてもらい、顔を洗ってもらい……って全部やってもらった。
その後、アクティスと一緒に部屋を出たわけだけど……ここにいるイコール、ボクは自分一人で身支度をするってことは無くなるってことだね。
基本的に着せ替え人形になるってことだ。
連れて行かれたのは、昨夜の夕食と同じ場所だった。
既に、フルオリーネ女王陛下は朝食を取られていた。
「先にいただいているわよ」
「はい。おはようございます」
「おはよう」
まだルビダスもベリルもスティビアも来ていないっぽい。
どうやら、三人共、あと一時間くらいはベッドの中から出てくることは無いらしい。
でも、ルビダスってもう二十四歳だよね?
ベリルは二十二歳。
この世界の男女比が正常なら、二人共、とっくにどこかに嫁いでいる年齢だよね。
男女比が異常なこの世界だから、未だ独身で遊んでいられるわけだけど。
って言うか、完全にニート状態だよね?
別にイイけど!
朝食をいただいた後、ボクは女王陛下とアクティスに改めて挨拶し、アクティス付きの転移魔法使い……エリカさんの手で流通センターまで送り届けてもらった。
流通センターに入ると、ボクはアリアの姿を見つけた。
「おはよう」
「トオル、おはよう」
今日は、アリアに用があったんだ。
早速、ボクはアイテムボックスから昨日寝落ちする前に作った薬……フリバンセリンを取り出して、それをアリアに見せた。
「これなんだけど」
「なに、これ?」
「前に言ってたじゃん。男性がHするための薬はあるのに、女性版は無いのって」
「ああ、あれね」
「会社の人から聞かれたって言ってたけど」
「それ言ってたのってシュライバーさんの姪なんだよね」
「えっ?」
「彼女もシュライバーさんと同じで昼は仕事バリバリのキャリアウーマンなんだけどね。ただ、あっちの方は、全然気が乗らないらしくてね」
仕事には精力的な人だけど、Hな方の精力はイマイチってことか。
まあ、人それぞれだけど。
「そうだったんだ。一応、こっちに戻ってくる前に構造式を覚えて来たんだ。昨日、試しに、ちょっと作ってみてさ」
「へー。じゃあ、これも売り出すの?」
「需要があればね」
「あるんじゃない?」
「ただ、副作用とかもあるからね。使うなら仕事に影響が出ないように、休みの日の前に試してみたらって思ったんだけど」
「分かった。一先ず私の方で預かっておくよ。明日か明後日にはシュライバーさんに会えると思うから」
「じゃあ、よろしく!」
「引き受けた!」
と言うわけで、ボクはフリバンセリンをアリアに渡して流通センターを後にした。仕事の邪魔をしちゃ悪いからね。
そして、ボクは、ボクの店から侯爵家の御屋敷まで、特殊ゲートを通って戻ったわけだけど……、しばらく暇だな。
今日は何をしよう?
次回は、9/12に投稿予定です。




