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19:沢山人が集まる中でボクは何を話してイイか分からない!

 ルテア町から戻って半年が過ぎた。

 流通センターも年末年始休暇に入る。

 シュライバーさんの商店も、この期間は休みになる。

 当然、せっかくの機会だしボクも休ませてもらうよ。みんなが休みなのに一人だけ働くってのも悔しいしね。



 ボクの店は、普段は一階を倉庫代わりにしているけど、今日は一階に置かれた薬を全部アイテムボックスの中にしまった。

 二階は、ちょっと散らかっていてね。誰にも見せられない状態なんだ。

 それで、一階部分を何も無い状態にして、そこにテーブルとか椅子を置いて年越しパーティーの会場にしたんだよ。


 誰とパーティーかって?

 アリアとミサと、あとは流通センターで働く同年代の娘達、マルシェとロンドとソナタの計五人とやるんだよ。

 勿論、普通のパーティーだからね。Hなパーティーじゃないよ!


 マルシェとロンドとソナタは、他国から派遣されていた。ボクの薬を確保して、転移魔法使いに渡すのが彼女達の役目になる。

 自国からの発注分のうち、倉庫にあるモノは彼女達がキープする。そして、在庫切れのモノはアリア達を通してボクに連絡して作らせる。

 それが彼女達の仕事ってこと。



 マルシェは中央大陸のウトリキュウラリア王国から派遣されてきた。

 出身は、王都のリビダらしい。

 流通センター立ち上げの時からいる。


 ロンドは東の大陸の最東端に位置する小国ゲンリセアから二ヶ月前に来た。

 ゲンリセアは、地理的にはイビセラ国の立入禁止区域キバナ地区の遥か北に位置する。


 ソナタは西の大陸の住人だけど、ドロセラ王国とは反対側の東側に位置する国、アルドロバンダから来ていた。

 彼女は赴任してきて三ヶ月くらい。



 会費は無料でイイってことにした。

 アリア達は払うって言ってくれたけど、ボクは女神様からもらったペンダントで食料品も飲料も色々出せるからね。

 しかも、料理は完成品で出せるし、飲料もジュースだろうが炭酸だろうがお酒だろうが何でも出せる。

 もの凄く有難いペンダントだよね。


 なので、会費をもらってもボクが得するだけ。

 それで会費は無料にして、代わりに何か食べるものでも飲めるものでもイイから、一つ持ってきてもらうことにした。



 アリアもミサも、ガツンガツン食べている。色気より食い気って感じだね。

 そもそも男性を完全に排除しているしね、この二人は。


 でも、二人とも、よく食べるけど全然太らないんだよなぁ。マジで綺麗なままなんだよね。絶対に直通だね。吸収されていないよ、うん。



 ロンドとマルシェとソナタは、ボクの家に個人的に遊びに来るのは初めてなんだ。

 仕事の関係でボクに薬作りを依頼しに、アリアと一緒に来たことはあったけどね。


 なので、三人とも最初は遠慮しているっぽかったし、おとなしくしていた。

 でも、お酒が入るとドンドン会話が弾んできた。


 そして、

「トオルって男を買ったりしないの?」

 ってマルシェのヤツが聞いてきた。

 こいつ、いきなりだな。


 この世界では男性がムチャクチャ少ない。なので、大抵の国では女性が順番待ちして男性を買うような状態だ。

 ちなみにマルシェは、アリアやミサとは違って男性が好きな種族らしい。


 するとミサが、

「トオルが買うわけないじゃない。そんなことしたらアクティス王子が激怒するよ!」

 と答えてくれた。

 ただ、その名前を出して欲しくなかったな。


「アクティス王子?」

「ほら、たまに流通センターに来る男がいるじゃない?」

「あのイケメン?」

「そう。あれがこの国の王太子殿下なんだけど」

「珍しいね、王太子って。王太女じゃないってことでしょ?」

「そうなのよね。それで、その王太子殿下の婚約者が、実はトオルだからね」

「えぇー!」

「既にイケメンの童貞を貰ってるし、この女は」

「うわー!」


 結局、そんな話になって行くのか。

 もう、その手の話はやめて欲しいな。


 ボクが望む展開じゃないって察してくれたのかな?

 ロンドが話題を変えてくれた。


「ゲンリセアにいた時に、イビセラ国のルテアで、町の三分の一の人が感染した病気の話を聞きましたけど?」

「あれね。立入禁止地区のキバナに入って生水飲んで感染した人がいたんだ。そこから広がったんだよ」

「あの時の薬もトオルさんが作ったんですよね?」

「一応……」

「色んな病気を治せて凄いなって」


 ロンドがボクに送る眼差しが非常に熱い。

 かなり尊敬してくれているっぽい。アリアとかミサとは大違いだよ。


 多分、ロンドは、マジでこの話を聞きたいって思っていたっぽいね。

 ボクも、理系ヲタな話の方が好きだよ。



「でも、ボクに治せない病気は沢山あるよ」

「そうなんですかぁ?」

「カクタス王国に原因不明の奇病で瀕死状態の人がいるって連れて行かれたことがあってね、あの時は手遅れで……」


 そう言えば、あの時の患者も生水を飲んでいたんだよね。

 アメーバー性髄膜脳炎でさ。ボクが患者の前に連れて行かれた時には、既にお亡くなりになっていたよ。

 まあ、生きているうちに到着できても、多分、治せなかっただろうね。



 他にも幾つかの国に出張を依頼されて、ロンドにその話をしたんだけどさ。

 ロンドは喜んでボクの話を聞いてくれていたけど、他の四人は面白くなさそう。そりゃあ病気の話だもんね。

 やっぱり空気が沈んできた。

 こう言う席だもんね。もっと明るい話の方がイイよね、うん。

 話題を変えよう。


 でも、こう言う時にどんな話題を振れば良いのかがボクには分からない。

 それが分かる人間だったら、ボクは苦労しなかったよ。

 少なくとも前世で女性経験無しのまま死ぬことはなかっただろうね、きっと。



 すると、またマルシェが、

「イケメン王子ってさ、見た感じ、ナニが大きそうだよね?」

 ってボクに振ってきた。

 本当に男の話が好きだねえ、この人。


 もし、ボクがこの世界に男として生まれてきていたら、常連客になってくれたんじゃないかなって思う。


 でも、これって答えてイイのかな?

 たしかにアイツのは大きいよ。見たことあるもん。しかも最大値で。



 ボクが回答に詰まっていると……って言うか答えるつもりはなかったんだけどさ。答えないでいたらマルシェが、

「もしかして小さいの?」

 って言ってきやがった。

 さすがにアクティスの名誉を守らないと。


 そう思ってボクは、

「最大時で、太さこれくらい、長さはこれくらいだったよ」

 って言いながら両手でアクティスのナニのサイズを表現していた。

 これを見ながらアリアもミサも目が点になっていたよ。

 ロンドもソナタも全身が固まっていた。


 アリアとミサは男性否定派だし、ロンドとソナタは男性否定派じゃないけど男性経験はないっぽい。

 それで固まっていた感じだ。


 ただ、マルシェだけは、

「デカッ! すっごく羨ましい! ねえ、一回貸して!」

 だってさ。


 でも、これでボクがアクティスのサイズを知っている……つまり、男女の関係だって信憑性を持たせちゃったね。今更だけど……。

 本当は、そう言う仲じゃないんだけどなぁ。


 ボクは中味が男だから、今までは、別にアクティスが他の誰かとヤッちゃっても関係ないって思っていた。

 でも、何故かこの時、ボクは面白くなかった。

 それで気が付くと、ボクは、

「ダメッ!」

 って結構大きな声で言っていたよ。


 その後、マルシェは、

「ゴメン! 冗談だってば。マジで怒らないで」

 って軽いノリの口調で謝っていたけどね。

 でも、本当に悪いと思っているのかな、この女は……。



 性的な意味では、男性には興味がなかったはずなのにね。一応、アクティスの婚約者だからかな?

 もしかして独占欲?

 まさかね。

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