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16:こんなになるとは転生前には思っていなかったよ!

今回は説明だらけで済みません。

 ボクの店は町の外れにある。

 その裏に流通センターが作られた。ボクの薬を世界規模で販売するためだ。建築関連魔法を使う人をドロセラ国のあちこちから集めて、数日で作り上げてしまったからね。マジで凄いや。

 しかも、ボクの薬を大量にストックできるように流通センター内には巨大倉庫が併設されていた。


 仕切ってくれるのはアリア達。つまり、シュライバーさんの店の人。

 人数は十人程度だけど、ある程度仕事が定常化してくると、これでも人員的には余裕が出てくるとのことだ。


 ここには、世界各国から輸入代行業を行う者として大店の商人達が集まる。

 勿論、全員が転移魔法を使う部下を連れている。ボクの薬を自分の国に運ぶためだ。

 シュライバーさんの店で、彼らの応対を全て行ってくれる。ボクは、薬を作ってシュライバーさん達に卸すことだけを考えれば良い。

 精神的には凄く楽だ。



 実は、世界的に薬を販売するにあたって問題が生じた。

 近隣の国では売られているし、その噂を聞きつけて大陸を越えて来る人も少なくない。なので、基本的にはボクの薬を手に入れたいって、どの国でも思ってくれた。


 だけど、ボクが薬を売れば、その売り上げはボクのところに入る。そして、そこからボクはドロセラ王国内で税金を払う。

 つまり、世界中からドロセラ王国だけに税金が流れる仕組みになる。これでは、他国は面白くない。


 ここに来て、この世界では初めて関税の仕組みを作ることになった。

 女王陛下もアクティスも、まとめるのに色々大変だっただろうな。この協議だけで一ヶ月以上も費やしたんだ。


 最終的にはアクティスが折衷案を考え出して周りを納得させてくれたみたいだけどね。

 まあ、この件に関してだけは、ボクはアクティスのことを尊敬しているよ。



 ボクは、各店舗での販売価格を、最初にボクの店で売っていた価格で統一して欲しいと願い出た。高くて一般の人が買えないようでは困るからだ。

 今の価格だって、貧困層にとっては高いかもしれない。なので、絶対に値上げはしたくなかったんだ。

 値上げするくらいなら、ボクの利益を削るつもりだったし。


 また、各店舗に卸す価格は最終販売価格の75%にして欲しかった。これは、アダンの町でボクの薬を売っている美魔女達との協定に合わせたかったためだ。

 それで、最終的にボクは販売価格の半値でシュライバーさんの店に卸すことになった。



 商人達は、シュライバーさんの店から薬を買い付けて、転移魔法で自分の国に薬を持ち帰るわけだけど、その際にシュライバーさんの店には最終販売価格の55%を支払うこととした。

 つまり、最終販売価格の5%がシュライバーさんの店の利益になるわけだけど、流通量がハンパじゃないので、これでもとんでもない利益になる。


 そして、各国の商人達は、シュライバーさんの店に支払った金額の2割、つまり末端販売価格の11%を自分の国に収める。

 これが、この世界での共通ルールになった。


 また、各国に持ち帰られた薬は、一応、各国の役人が違法なものが入っていないかチェックする。

 これは、概観を見ただけじゃ分からないけど、鑑定魔法を使える人を置いて確認するらしい。


 そして、輸入代行した大店商人から各販売店舗には最終販売価格の75%で販売された。

 つまり、大店商人達は結果として最終販売価格の9%を利益として得る。


 ただ、これでも流通量を考えれば結構な利益になる。

 一先ず、この形で落ち着いてくれた。



 ボクの店から他国の片田舎まで、四日もあれば商品が届くようになっているらしい。

 しかも、これでも若干余裕を持っているとのことだ。


 鑑定チェックとかをすっ飛ばして、ただ急いで運ぶことだけを考えたら、多分、二日で世界中のどこにでも商品が届くんじゃないかな。

 さすが転移魔法を使うだけのことはあるね。

 地球よりも流通が圧倒的に早いよ。


 でも、それ故だろうね。

 一般の流通……と言うか交通網は中世のままだ。



 国の要人達は、大抵、転移魔法を使える人を同行させるので、何処にでも一瞬で到着できる。なので、要人達は交通に全く不便を感じていない。

 彼女達が不便を感じない以上、交通手段は進歩しない。


 女神様の端末で検索したところ、人類誕生は、地球よりもこっちの方が先みたいなんだけど、魔法に依存できる分、交通も科学も発達しなかったってことなんだろうね。



 それから、これを機に国内流通分もシュライバーさんのところで対応してくれることになった。

 勿論、アダン町の美魔女達の分も同様だ。


 この場合も、ボクは販売価格の5割でシュライバーさんのところに卸した。

 国内流通分も国外流通分も一緒くたにした。


 ただ、シュライバーさんのところから国内各店舗に卸す金額は流通価格の75%。つまり、国内流通分のほうがシュライバーさんのところでは儲けが大きいことになる。


 店舗価格を統一したかったわけだから、こうなっても仕方ないね。

 表ルート以外は関税がかからないから、ドロセラ王国だけ安価で購入できると、ドロセラ王国で大量に買って他国で転売するヤツが出てくるからね。



 あと、ボクは、これを機会に、お通じの薬を値下げした。

 より多くの人に使ってもらえるようにと思ってね。


 それと、お通じの薬は最大服薬量を一日4錠に切り替えた。

 昼に飲み忘れる人も結構多いみたいで、いっそのこと朝晩2錠ずつの形に変更してもらえないかって要望があったんだよ。

 錠剤が少し大きくなっちゃったけどね。

 ボク個人としては、3錠ずつ飲めばイイのにって思ったけど……。


 結果的に末端販売価格は1錠あたり銅貨1枚になった。だいたい、今の日本の感覚で言えば1錠が10円と思ってくれ。

 銅貨10枚で小銀貨1枚、小銀貨10枚で銀貨1枚、銀貨10枚で小金貨1枚、小金貨10枚で金貨1枚になる。


 銅貨の下には鉄貨って言うのがあって、鉄貨10枚で銅貨1枚。つまり、鉄貨1枚がだいたい1円だと思えばイイ。

 全部十進法だから分かりやすいね。


 1ビン120錠入り。ちょっと大きなビンになるけどね。

 使う人は大抵の場合、一日当たり計4錠服用するだろう。恐らく、30日で使い切る。



 実は、この世界も地球と同じで、一日が約24時間で、一年が360日程度。しかも30日前後を一ヶ月とし、一年は12ヶ月だった。

 それで、30日で使い切る量を1ビンにしたんだ。一ヶ月1ビンなら分かりやすいかなって思ってさ。


 末端販売価格の半値でシュライバーさんのところに売るわけだから、ボクは、この薬を2錠あたり銅貨1枚で売っていることになる。

 なので、ボクの利益は1ビンあたり小銀貨6枚。

 全世界の人口が約5千万人で、今のところ、だいたい10人に1人がお通じの薬を買ってくれているっぽい。


 比率で言うと、これでもアダンの町ほどは売れていないんだけどね。

 だけど、このお通じの薬だけで、ボクの売り上げは一ヶ月で小銀貨三千万枚、つまり金貨三万枚になるんだ。



 男性の薬は、ED治療薬も長く持たせる薬も販売価格は1錠あたり銀貨1枚にした。野郎共の薬だから高めでもイイよね?

 ED治療薬は多くて二日に1回、長く持たせる薬は多くて一日に1回の服薬になる。

 男性の人口は総人口の0.5%だから、25万人程度。

 どうやら、流通量から考えると、彼らの四分の一が、これらの薬の上限量を使っている計算になった。


 つまり、これら二つに薬がボクに与える利益は、一ヶ月で金貨一万四千枚。

 他にも色々な薬があるからね。

 生々しい話だけど、全ての薬を合わせると一ヶ月でボクのところには金貨十五万枚以上も入ってくる。

 金貨1枚が10万円程度だから、1ヶ月で百五十億円以上、一年間で千八百億円以上の稼ぎになる計算だ。



 ちなみにドロセラ王国の税金は、日本とは違って所得に関わらす一律3割。

 他の国だと、重税を課して国民からお金を搾り取ろうってところも、それなりにあるみたいだけど……。


 あと、法人税の概念も無い。

 なので、ボクのところには毎月百億円以上もの大金が入ってくることになる。


 それに、誰かを雇っているわけじゃないし、原材料費も無い。殆ど売上イコールボクの収入に近い状態。

 正直、こんなにお金があっても使い切れない。



 たしかに、この世界の総人口が、今の日本の半分弱って考えると、日本に製薬会社が二社しかなくて、その二社で利益を半分ずつ取っているって状態に近いもんね。

 そりゃあ、とんでもない収入になるわけだ。


 もっとも今の日本で二つの製薬会社だけで売り上げを二分していたら、ボクよりも遥かに売り上げを出せると思うけどね。

 医科向けの薬なら、もっと高いからさ。



 それにしても、転生前には、こんなに稼げるなんて考えていなかったよ。

 ただ、この莫大な利益の使い道を、ボクは、二年後に知ることになるんだけどね。



 食料品や生活必需品は、女神様がくれたペンダントから出すことができる。なので、生きるだけなら、ボクは殆どお金を使う必要が無い。

 正直、管理し切れないんで、一先ずボクは、お金を全部アイテムボックスの中にしまうことにした。


 ボクは、自分がお金をいくら持っているか考えないようにしたんだ。

 これで満足したら、薬作りを止めてしまいそうだからね。


 ボクの隣では、

「給料が大幅アップした~!」

 ってアリアが喜んでいるよ。


 それを横目にミサが、

「私のところ、景気が今一つでね。もう、トオルのところに転職したいんだけど、雇ってもらえない?」

 って言っている。


「希望してもらえるのは嬉しいんだけどね。ボク一人で間に合っているからさ」

「じゃあ、トオルのお嫁さんでもイイよって、ダメか。あの王子に怒られる。じゃあ、アリアのところで働けない?」

「一応、営業所長に聞いてみるね」


 ミサとしても、銀貨一枚でも多く稼ぎたいって気持ちがあるんだろうね。

 でも、ミサだったら、本当はボクのお嫁さんにしてもイイんだけどなぁ。


 …

 …

 …


 その数日後、ミサはアリアのところに転職できたらしい。

 でも、ボクの薬に関係する仕事は与えられなかったけどね。

 どうやら、シュライバーさんのところで一定期間以上働いて、シュライバーさんの信用を得た人じゃないと、ボクの薬の件は任せて貰えないらしい。

 なので、入社してすぐの人に任せることはしないって。


 本当は、ボクの店でも売り上げの記録とかをつける人が一人いてくれると助かるんだけどさ、これだけのお金があるって知ったらマズイことやりそうだよね?

 もっとも、シュライバーさんのところで働いている人達は、ボクのところにいくら支払っているか分かっているけどね。アリアも含めて。

 秘密にしてくれているけど。


 それに、あれだけの量を製造しているわけだから、相当、不自然に思っているはずだけどね。

 でも、それを突っ込んじゃイケナイってことも理解してくれているみたい。

 まあ、魔法で加工しているって思ってくれているんだろうな。

 アクティスをAktisと書きますと、アクチニウムの語源、ギリシア語の放射線を意味する言葉になります。

 ACTISと書きますと、Airport Customs Taxation and Information Systemの略になります。これは、入国旅行者等に対する適正・迅速な通関を確保し、関税の収納事務などの効率化・簡素化を図るために導入された、徴税機能、統計資料作成機能と航空会社から送付される旅客情報を蓄積する機能を持つシステムの意味になります。

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