2:異世界帰還?
『大人のための動く等身大美少女フィギュア……』と同じで、ここでも同じビッグバンから誕生した宇宙での物理法則は同じになることにしております。ご了承ください。
姉妹作『中二男子が堕天使に召喚されて異世界にTS転移して破壊活動したけど、その後、女神様の手で別の異世界に転生したら聖女と呼ばれるようになりました(治癒魔法発動中!)』では、女神達は一つの宇宙に一人ではなく、幾つかの宇宙を兼任している設定になっております。
その設定と併せようと、10/13に若干修正しましたが、今一つな気がして10/14に再修正しました。少々迷走しております。
「宇宙の多重発生説は御存知ですね?」
女神様にこう聞かれて、ボクは、
「まあ、一応」
と答えた。
たしか、ビッグバン宇宙が誕生する時、膨張が均質ではなかったため、場所によって膨張に歪みが生じて、そこで宇宙が分岐する現象が起きるってヤツだったと思う。
最初に生まれた宇宙がマザーユニバース。
マザーユニバースから飛び出すように生まれた宇宙がチャイルドユニバース。
チャイルドユニバースからも、同じようにチャイルドユニバースが誕生して、更にそこからまたチャイルドユニバースの誕生と、一瞬のうちに連鎖的に沢山の宇宙が誕生したって説を何かの本で読んだことがある。
もし、それが本当なら、それらの宇宙全部が生き残っているわけじゃないだろうけど、少なくとも多数の平行宇宙……パラレルワールドが存在しているってことだけは確かなんだろうな。
考えようによっては異世界ってとこか。
「実は、この沢山の宇宙を統べるため、マザーユニバースを創世した神は、自らの分体を多数作り出し、それらをチャイルドユニバースに配置しました。そして、私も含め、それら分体達は、各宇宙に自らの世界を作り上げました」
「その中には、魔法とか魔術とかが存在する世界はあるんでしょうか?」
「あります」
「火の魔法とか、水の魔法とか、風の魔法とか?」
「そうです。それで、有馬さんには、一応、魔法がある世界に戻っていただきます」
マジ!?
やった、魔法がある別世界、いや、異世界だ!
普通に考えたら、地球人が異世界に転生してチートな力を使って大活躍するってパターンだよね、これは!
だったらボクでも女の子にモテるかな?
でも、戻るって言っていたけど?
それって、どういう意味だろう?
戻るってことは、前世でその異世界にいたってこと?
「元々、アナタはネペンテスの住人で、丁度200年前に亡くなりました」
当たりか。
ってことは、地球でボクは異世界転生者だったってことだな。
何の活躍も出来なかったけど。
全然、能力なんて持っていなかったし。
転生者が能力を持っているって設定は無かったのだろうか?
「どうやら魔法に興味があるようですね。ネペンテスにも、一応、魔法は存在します。しかし、ネペンテスの全住人が魔法を使えるわけではありません。一部の人間だけです。それから、体力回復の魔法はありますが、治癒魔法はありません。例えば病人に治癒魔法を使ってしまうと免疫獲得のチャンスを潰しかねません。怪我も簡単に治ってしまうとムチャをする人間が沢山出てしまいます。それで、治癒魔法はネペンテスの住人には与えませんでした」
結構、制限があるんだな。
想像していたのとは随分違う気がする。
「そうなんですか。魔法って、万能なイメージがありましたけど、ボクが思っているほど万能じゃないってことでしょうか?」
「魔法が万能な宇宙も存在しますが、少なくともネペンテスの世界では、魔法は万能ではありません。それでアナタには、ネペンテスに新たな治療薬の概念をもたらすために地球に転生していただき、生理活性化合物の知識を持って帰ってきていただいたわけです」
そう言うことか。
一応、地球に生まれた目的はあったわけだね。
「では、地球でのボクの人生はムダではなかったと言うことですね?」
「そうです。実は、ネペンテスの世界には、薬師が動植物から調合する薬、地球で言う民間療法薬レベルのものしか存在しません。それで、繰り返しになりますが、薬の概念を一歩先に進めてもらうために地球に転生していただきました。あと、先に言っておきますが、アナタは冒険者として転生するわけではありませんし、魔物退治をするわけではありません」
うーん。ボクの持つ転生者のイメージとは全然違うなぁ。
それに、地球には何だか技術習得のために研究出向していたみたいだな。
「他にもボクみたいな転生者っているんですか?」
「います。アナタが理解し易いところで言えば、アインシュタインですね。異世界間転生制度によって、より高度な文明を持つ別宇宙の星に転生し、知識を持って地球に異世界帰還しています」
「では、相対性理論は、別の世界で学んできた内容だったんですね!?」
「はい。それから、今でも地球には異世界帰還者がいますよ。誰かは教えられませんが。ちなみにネペンテスの異世界帰還者はアナタだけです」
じゃあ、もしかしてボクが、この世界でアインシュタインみたいなドエライことをする第一号ってこと?
それだけはナイ……と言うか有り得ない気がするけど……。
「では、転生するに当たり必要な能力を授けましょう。先ず構造式をイメージ出来れば魔法で該当する物質・薬物等を作り出せるようにします。地球に行っていただいた理由を考えますと、これだけは必須と判断しております。それから、病気の人と接する機会が増えるでしょう。ですので、特別に病気にかからない魔法をかけておきます」
「病気にならない身体は有難いですね」
「他に能力のリクエストはありますか?」
うーん。冒険とかしないんだったら、攻撃的な魔法とか持っていても余り意味が無さそうだな。
でも、面倒ごとに巻き込まれた時には、色々な魔法が使える方が良いかもね。
それから、地球で生きていた時と同じ苦しみをしたくないってところも考えるべきか。
英語が苦手だったし。
非常識なヤツとか言われていたし。
居るだけで異性が寄ってくるような容姿も欲しいし。
決まりだな。
「では、ネペンテスの世界に存在する全ての魔法が使えるようになりたいです。あと、転生する星の全ての言語を読み書きできる能力と、一般常識が最初から理解できていますようお願いします。元々、常識の無い人間なもので……。それから、作り出した物質を入れるのに相応しい容器を出す能力もお願いします。あと理想の容姿も」
「容姿に言語能力に全魔法ですか。だいたい、転生者が要求する内容そのものですね。ただ、未来が分かってしまうのは困りますので預言魔法だけは与えられません。他の魔法は全て与えましょう。それから、理想の容姿と言語能力、一般常識への理解も了承しました」
やった。
これで高身長・脚長・細マッチョ・イケメンに生まれ変われる!
しかも巨根がイイな。
どうせなら、そんな男になりたいじゃん!
「あと、薬を作ると言っても錠剤化とか液剤化とかは、どうすれば良いでしょう?」
「そこは、自動で有効成分に見合った製剤化が施せる力も与えることと致しましょう。他には?」
「ボクのネペンテスでの前世ってどんな人生だったのでしょうか?」
「一応、その記憶も与えましょう。他に必要なモノは?」
「今は特にありませんが、いくつかネペンテスについて質問があるのですが」
「質問ですか? 長くなりそうですし、転生後に質問事項が新たに発生することもあるでしょう。では、この特殊端末を提供します。これで、必要に応じてネペンテスのことを色々検索してください」
そう言うと、ボクの目の前に、宙に浮かぶ薄型のモニターが現れた。
ただ、光で作られた映像なのだろうか?
手を伸ばしてみたけど、触れることができなかった。
「この端末のモニターには質量がありません。必要な時にアナタの目の前に現れます。頭の中で検索ワードを思い浮かべてくれれば自動検索できます」
便利だな。
いくら異世界帰還者って言っても、ボク自身は地球からの転生者って感覚でしか無いし、勝手が違う異世界に行くのと何ら変わりは無いからね。
この機能はマジで有難い。
「これは、地球で言うチャットボットのようなものです。一問一答式ですが、これで分からないことを質問すれば回答を出してくれます。不要な時には自動で端末は消えます」
「有難うございます」
「それから、沢山の薬を必要とされる時もあるでしょう。あらかじめ薬を作り置きしてストックできるようにアイテムボックスも与えましょう」
「それは助かります」
「アイテムボックスは、薬以外の物を入れても問題ありません。ご自由にお使いください。あと、年齢は16歳にしておきます。他に必要なモノは?」
まだ、他にも要求を聞いてくれるってことか。
随分と気前がイイな。
なら、衣食住のうちの衣と食を確実に確保したいな。
「家財道具とか服とか生活用品、あと食料とか飲料とかを出せるものがあると有難いのですが」
「では、このペンダントをお渡しします。ペンダントトップを握って念じれば、生活に必要なものを何でも出せるようにしましょう。他にはありますでしょうか?」
「今は思いつきません」
「分かりました。それから、邪魔になる人間には、強硬手段をとっても構わないこととします」
最悪、邪魔になる人間は殺しても良いってこと?
いくら異世界転生者でも、そこまでの権限ってあるの?
「えっ? それって?」
「それでは、転生していただきます」
もしかして、殺人許可をもらったんじゃないかと思って女神様に聞こうと思ったけど、口から言葉が出る前に、再び目の前が真っ暗になった。
そして、気が付くとボクは、舗装されていない、地面剥き出しの路上に座っていた。
ここって、どこだぁ!
トオルは自分の身体に起きた変化に、まだ気づいておりません。
女神様から頂いた『チャットボットのようなもの』は、女神様の都合で回答を頂けない場合もあります。