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Relaxation「季節外れの帰省」

奴が帰ってくる。(*´∀`*)




-1-




 俺にとっての兄、加賀智弥太郎という存在は、一言で言ってしまえば親戚の叔父さんのようなものだった。多分だが、向こうもそういう感覚でいたと思っている。

 と言っても、別に仲が悪かったわけじゃない。単に肉親由来の距離感の近さがないというだけで、友人から聞く一般的な男兄弟よりは良好な関係だったと思う。

 再婚した母の連れ子で血が繋がっておらず、かつ年が離れているとなれば一から兄弟としての関係を構築するのは難しい。両親の再婚時にはすでに成人近かった事も距離感が遠い理由の一つだろう。大学に入ってからは一人暮らしを始めてしまったし、神奈川の実家で一緒に過ごした時間はほとんどないと言っていい。

 その関係は更に年の離れた姉よりも遠い。結婚して実家を離れてからも頻繁に遊びに来る姉と違い、兄は年末年始と盆に帰って来るかもという程度しか帰って来ないのだ。本人曰く、実家が近いと逆に帰らなくなるのだとか。営業で近くに来た時に突然帰省したりするので、別に実家を避けていたという事もないだろう。

 つまり、俺と兄の関係は、生まれながらの兄弟でないにせよそれなりに良好かつ、ほどほどの距離感を保った親戚と呼ぶのがしっくりくる間柄だったのだ。


 だから、兄が死んだと聞いて驚いた。そこまで疎遠だった相手なのに、悲しいのだ。

 父や姉ほどではない。母と比べてもその感情は小さいものだろう。だけど、確かに俺たちは兄弟だったのだと、そう認識させられた。

 特に周りから見た俺の変化は顕著だったらしく、話しかけても空返事ばかりで、何をしても上の空だったと後から聞かされた。あまり自覚はないのだが、確かにここしばらくは何をやったのか記憶が曖昧だ。ちゃんと覚えているのは、守備練習のイレギュラーバウンドを処理し切れずに顔面直撃してしまった事くらいだ。弱小校とはいえレギュラー張っているのだ。正常な状態ならあんなミスはしない。




「うーす」


 久々に入る教室は、微妙に余所余所しい雰囲気に包まれていた。俺の姿を見る視線を強く感じる。腫れ物に触れるような感じというのはこういう事を言うのか。

 まあ、気持ちは分からないでもない。俺だって、立場が違えばどう対応していいか分からない。何言っても不謹慎なんじゃないかと考えて会話が止まりそうだ。

 夏休みデビューに失敗した感じの痛々しい奴も遠巻きに見られていたりもするが、さすがにアレは例の事故とは別件だろう。……中野くん、なんでそんなロックな髪型に。


「よ、大変だったな」


 そんな中、まったく空気を読まずに話しかけてきたのは同じ野球部のクラスメイトだけだった。二遊間コンビだから意志の疎通ができているとかではなく、元々空気を読まない奴なのだ。ちなみに、試合中のサインも時々読まなかったりする。でも打率はいいのがムカつく。


「大変。……まあ大変だったな。なんか新聞だか雑誌のインタビューにも答えたし」

「マジかよ。街頭インタビューってやつか」


 インタビュー受けたのは告別式に使われた会場だから街頭ではないのだが、ノリで生きているこいつの会話にツッコミを入れても仕方ない事なのでスルーする。

 他にもインタビュー受けていた人は多かったし、超無難な回答したから多分載らないだろう。俺の後に泣きながら故人の事を話していた人がいたが、雑誌に載るのはああいう人なのだ。実際、あの会場での俺の存在はその他大勢もいいところで、直接的な遺族だけでもどれくらいの人数がいたのか把握できないくらいなのだから。

 そんな大量の被害者遺族に加え、被害者の関係者、電車の関係者一同、マスコミや特に関係ないはずの人たち、顔だけは知っている政府関係者もかなりの人数がいた。この事故に関して別に政府の責任とは思わないし、対応に問題があったとも思えないが、世間や一部被害者、ついでに野党はそう見ない。政治の事は良く分からないが、誰が政府のトップだったとしても今回の件をどうにかできたはずはないだろうに、近々今の内閣は総辞職すると言われている。


「ニュース見てたら、ちょっとお前が写っててビビった。めっちゃ真顔で写ってたし」

「ああいう場でどんな顔をすればいいのか分かんねえんだよ」


 俺、写ってたのか。というか、誰と話すわけでも撮影されてると気付いているわけでもないのに、真顔でないほうが不自然じゃないだろうか。

 そもそも右も左も分からない人間が、あんな大規模な共同告別式に出て緊張するなというのは無理があると思う。俺くらいの年なら普通の告別式だってそうそうあるものじゃない。俺の実の父が死んだ時には出席しているはずだが、物心つくかどうかの頃だから覚えてないし。ましてや、共同告別式に参加する可能性なんてほとんどないだろう。


「兄貴が死んだって聞かされてショックは受けてたけど、実感が追いついてないんだよな。今年の年末も普通に帰って来そうでさ」


 元々会うスパンが長いのだ。今年の盆は帰って来なかったから、次は多分年末だろうと思っていた。その次が永遠に来ないと知らされても、実感など湧くはずがない。

 自室に使っていた部屋はそのまま残っているものの、あの家に兄がいる光景はどちらかといえば異質だ。もちろん長年過ごした父にとってみれば違うのだろうが、普段はいないのが当たり前の存在なのである。偶に帰ってきても、その行動は親戚の叔父さんそのものだし。

 遺体と対面していないというのも大きいだろう。未だ未発見の遺体は多いらしいし、そもそもどこからどこまでがその人なのか分からないような悲惨な遺体もあったという。真っ当な姿の遺体と対面できた家族は半数もいないというのだから、家だけが例外というわけでもない。


「そういえば、弥太郎さんに借りてたエロ本とかエロゲーどうする? 返したほうがいいかな」


 なんでそんなの借りてんだよ。兄貴も何貸してるんだよ。


「そんなもん返されても困るだろ。貰っておけよ。というか、お前と接点あったの初耳なんだけど」

「いや、お前がいない時に部屋にいたらバッタリとな。あの家に置いてあるのは基本いらないモノだから、好きなのをって」

「間違ってもウチに返しに来るなよ。フリとかじゃねーからな」


 誰が受け取っても悲惨な事になる。そんな遺品はさすがに本人だって不本意だろう。

 ……そう考えると、兄の借りてる部屋に乗り込んで行ってパソコンのデータを抹消してあげたほうがいいのだろうか。頼まれた事はないが、隠したいモノとかあるよな。そういうものに触れて一番ダメージなさそうなのって俺だし。でも、パソコンの事なんて良く知らないしな。




 そんな変な爆弾を投下され、学校での一日が始まった。

 といっても休み明けの初日から授業はない。全校集会やら課題の回収やら連絡やらで、そのまま終了だ。集会では事故の事について触れていたが、それでスケジュールが変わるはずもない。

 確率的にはおかしな事でもないかもしれないが、ウチの学校関係者にも被害者は多くいたらしい。不幸中の幸いか生徒に死者はいないものの、近隣にいて怪我した奴や関係者が亡くなったという者も多いそうだ。ウチのクラスでも近くで目撃したという生徒はいるという話だ。俺に気を使ってか、誰だかは分からないままだけど。


「お前、部活はどうするんだ?」


 放課後になって二遊間の相方が聞いてきた。


「そもそもやるのか? 村上も休んでるみたいだし」


 村上というのは野球部の顧問だ。夏休み中に部の連絡網が回ってきて、例の事故に祖父が巻きこまれて亡くなったという話は先行して聞いている。全校集会でも姿はなかった。


「連絡じゃ一応自主練って事になってたが、グラウンドは使っていいんだとさ。あとトレーニングルームも開いてるらしい」

「トレーニングルームはウチの部じゃないんだが……まあ、今日は帰るわ。姉夫婦が来るかもしれないから、できれば家にいろって言われてるし」


 ちなみにトレーニングルームというのはボディビルダー愛好会が占有している空き部室の事だ。部でもなんでもない上に、無断占拠なのだが、自腹で集めたらしいトレーニング機器を運動部に開放する事で存在を黙認されている。

 野球部でもウエイトトレーニングに利用する奴は多い。目の前の奴などは、肝心のボディビルダーたちを抜いて学内ベンチプレスランキングのトップである。


「というか、村上からしばらく出るなって言われてる。守備中にボーッとしてた件で」

「まだうっすらアザ残ってるしな。まあ、今の処ショートの代わりはいないから、休んでもレギュラー落ちはないんじゃね?」


 ウチの野球部ははっきりいって強くない。人数はそこそこいるが、ほとんどは体育の授業の延長のようなものだ。たとえ二年夏からレギュラー張ってる戦力だろうが、無理をしろとは言われない。

 かといって、部活休んで放課後何をすればいいのかは分からないのだが。



 多少周りから変な視線や反応を受けたりしても、日常は変わる事なく進んでいく。俺はいつもの風景からちょっとはみ出た位置で、それを眺めていた。

 部活に出ず、そのまま帰宅するのはちょっと現実味が感じられなかった。




 そうして、特に何か用事があるわけでもない俺はまっすぐ帰宅した。学校帰りで明るいウチに帰宅するなどいつ以来だろうか。あまりに久しぶりで違和感があった。


「…………」


 ……いや、なんか変だ。時間の問題だけじゃなく、何かおかしい。玄関のドアを開けた時から奇妙な違和感が纏わり付いている。

 そうだ。勘違いなんかじゃない。中から人の気配を感じる。


「……車なかったよな?」


 両親は兄の借りていた部屋に行って荷物の整理をしているはずだ。姉夫婦が来たのかとも思ったが、玄関の靴は特に変わっていない。誰か来たのなら、靴が増えているはずだろう。

 ……まさか空き巣だろうか。確かにこの時間帯は誰もいない事は多いが……いや、リビングから漏れている音はテレビの音声だ。強盗がテレビを点けるか? 家の中が荒らされている様子もないし……。


 可能性をいくつか考慮しても、この状況で誰がいるのか分からない。冷静に対処するなら、このまま家を離れて警察にでも連絡すべきだろう。しかし、勘違いだったらという不安が拭えない。めっちゃ怖いが、確かめずにはいられなかった。

 一応、思いつく限りの対処はしておく。即座に110番に連絡できるようにスマホに番号を打ち込んでおき、いつでも逃げられるように靴は履いたまま、玄関のドアをちょっとだけ開けてストッパー代わりに父親の靴を挟んで、押すだけで外に出るように。これなら、万が一の時はダッシュで逃げられるはずだ。

 いや、やっぱ自信ないが、それでも確かめないというわけには……。

 ……よ、よし、行くぞ。


 こっそりとリビングのドアから中を覗き込むと、確かに誰かがいて、テレビを見ているようだった。多分、男。強盗ではないだろうが、ますます誰かが分からない。何故、そんなに寛いでいるんだ。誰だよ、お前。

 やはり、ここは逃げるべきか……と考えて身を翻そうとしたその瞬間だった。


「よう、おかえり」


 リビングの中から話しかけられた。気付かれている。

 焦りと困惑。しかし、その声には聞き覚えがある。いくら一緒に暮らしていないからといっても、忘れるはずがない。

 有り得ない事と自覚しつつも、確かめずにはいられなかった。恐る恐る、リビングの中へと入る。


「……あ、兄貴?」


 そこには、死んだはずの兄の姿があった。




-2-




「おう、ただいま。一応言っておくが幽霊でも他人の空似でもないぞ」


 状況を理解できず、困惑する俺に話しかけてきたのは確かに死んだはずの兄、加賀智弥太郎だった。

 しかも、自分が死んだと認識されている事を知っている雰囲気である。あと、なんだか一回りでかいような……太った?


「い、一体どういう事なんだ。なんで……」

「なんで死人がここにいるのかって?」


 言葉が出てこないから、無言で頷いた。


「簡単に言えば死んでなかったって事なんだが、非常に……極めて非常識な事情があるから、とりあえず落ち着け」

「お、おお……」


 無茶を言うな。まだ空き巣だったほうが冷静になれるわ。こっちはつい数日前に共同告別式に出席したばっかりなんだぞ。


「納得や理解できるかは別として、ちゃんと説明するから一旦着替えてこい」

「お、おう」


 すでにこの時点で理解不能ではあるが、とりあえず強盗ではなさそうなので、スマホを取り出して番号入力画面を解除する。


「あれ、親父か誰かか? すぐ帰ってくるようなら一緒に説明したほうが楽なんだが」

「いや、警察」

「え、ちょっと待って!?」


 どうやら警察に連絡しようとしているとか勘違いしたらしい兄が狼狽えている。……なんか色々違和感を感じるんだが、こういう反応は本人……だよな。

 説明してくれるという話だったので、ビビりまくっている内心を落ち着けつつ、自分の部屋に戻って着替えた。途中、兄の自室のドアが少し開いていたので中を覗き込むと、少し荷物を漁った跡がある。……あの服、やけに見覚えがあると思ったが、ひょっとしてここから持ち出した? 靴もなかったし、どういう経緯でここにいたんだ?


 困惑しつつも半ば自動的に着替えを済ませてリビングに戻ると、やたらいい匂いがした。肉か何かを焼いているのだと思うが、腹減っていたのだろうか。


「何やってんだ?」

「ああ、ちょうどいいからここで食っておこうかなって思ってさ。ステーキソース貰うぞ」

「いや、実家なんだから気にする事はないと思うけど」

「一人暮らしすると気にするようになるんだよ」


 そういうものだろうか。あんまり覚えてないが、俺がこの家に来た時の心境のようなものかもしれない。


「料理しながらでも説明して欲しいんだけど」

「まあ、待て。適当に焼いたら勿体ないだろ。無駄にしたら泣けるってレベルじゃない」


 というか、冷蔵庫にステーキ肉なんて入ってただろうか。そんなもんが入ってたら朝にでも気付くと思うんだけど。そういえば、ソースは貰うって言ってけど、肉に関しては何も言ってないな。


「ひょっとして持参?」

「ああ、火使えないから死蔵してたんだ。九十九世界から帰って来た直後だから、大体一週間前?」

「九十九? この二週間、兄貴はそこにいたって事か?」

「そこら辺も後で説明する。ちょっと黙ってなさい」

「はあ……」


 なんかやけに真剣に焼いているが、一体どんな生活してたんだろうか。それとも、その肉が超高級品だとか? 匂いだけで美味そうなのは確かなんだが。なんか腹減ってきた。

 そんな感じで待つ事数分。皿にステーキ肉を乗せた兄がリビングに戻ってきた。付け合せもない肉だけのステーキだ。皿が普通だからステーキハウスのような高級感もない。


「生で食わないで良かった。油やべえ」

「どこの肉? 牛肉ってのは分かるけど、松坂牛とか」

「知らん。和牛なのと超高級なのは確かだ」


 なんだそれ。買ったなら知ってるだろうし、ないとは思うが拾ったなら和牛かどうかなんて分かるはずない。包装見ればどこ産かくらいは書いてある気がするんだけど。……見当たらないな。まさか肉をそのまま持ってきたわけじゃないだろうに。


「すげえ……ナイフいらねえんじゃねえか、これ。いや、むしろ歯すらいらないような」


 ナイフで切った肉を口に放り込んだ途端、至福の表情を浮かべる兄。見てるだけで分かる。俺が見た事もないような高級肉だ、これ。


「あ、兄貴、俺にもちょっと……」

「…………」


 あまりに美味そうなので強請ったら、めっちゃ不機嫌な表情になったぞ。


「ま、まあ一切れくらいならやろう。……後悔するなよ?」

「後悔? 実は不味いとか」

「食えば分かる。あと、死ぬほど美味い」


 不可解な評は気になるが、ここまできて食べないという選択肢はなかった。執拗にできるだけ小さく切ろうとする兄を窘めつつ、キッチンから持ってきた自分の箸で肉を摘む。

 ……やべえ、この時点でやべえ。なんだこれ。未知の感触なんだけど。


「はっ……?」


 口に入れたら、次の瞬間にはもうなくなっていた。後に残るのは美味いという味覚の暴力だけだ。


「ちょ、ちょっ……もう一切れ、いや半分くらい!?」

「駄目だ。これは俺が体を張って手に入れたものだからな。ケチと言いたければ言うがいい。ふははっ!」


 く、くそっ!! 後悔するってこういう事か。知ってしまったら耐えられない。

 俺の苦悩を知って尚、兄の手は止まらない。ああ、そんなにでかいのを……。


「すげえな、超高級ステーキ肉。良く歯ごたえがなきゃ食ってる気がしないとか言い出す奴いるけど、そんな次元じゃねえ」

「……それは良かったな」


 あっという間にステーキ肉は兄の腹の中に消えてしまった。

 これまで質より量ってポリシーで飯食ってたけど、これを量で誤魔化す事はできない。正直、今残ってる口の中の感触だけで飯食えそう。




「じゃあ、話始めるか。あ、麦茶貰っていいか?」

「だから実家だって。……俺の分も」


 冷蔵庫を物色して作り置きしていた麦茶を注ぐ兄。……そういえば、なんで生きてるのかとかそういう話をするはずだったよな。なんで肉食ってるんだ。




-3-




「さて、一応帰ってくる前までに散々脳内シミュレーションしたから説明する事自体は楽なんだが、正直説明しても納得はできないと思うからその前提で聴け」

「あ、ああ。なんかそんな事言ってたよな。一体何があればあんな事故から生還できるのか思いつかないけど」


 告別式のついでに現場まで足を運んで、事故があった場所は目視している。当然、事故そのままではないし、復旧は進んでいたが、その影響範囲だけでも恐怖を覚えるほどだ。

 走っていた電車が高架ごと崩壊したなど、やばいってレベルじゃない。こうしてピンピンしているのはどう考えてもおかしい。


「あ、ひょっとして電車に乗ってなかったとか」

「いや、乗ってた。会社の後輩と出先から帰るところだったんだが、正直その時の記憶は地震みたいに揺れたってくらいしか覚えてない」


 そこら辺は警察から聞いた話そのままだ。足取りを追った結果事故に遭ったのだろうという判断だ。どうやらそれは間違っていないらしい。

 しかし、電車に乗ったのならその時点でもう俺の頭では生き残る術が浮かばない。不正アップロードされた事故の瞬間の動画も見たが、中に乗っていた人が無事に済むとは思えない。

 いや、確かに助かった人はいる。いるが、未だ意識不明の重体って話だ。詳細は知らないが、後遺症だって大変だろう。……一方、目の前の兄は無傷に見える。少なくともステーキ肉食えるくらいには健常だ。


「金属の棒が体を貫通してたとかそういう話は聞いたから、普通だったら死んで当然の状態だったはずだ」

「なんで生きてんの?」


 そもそもその説明だったはずだが、そんな状態で無事なはずはないのだ。生きててよかったとは思うが、なんでという気持ちは拭えない。


「気付いたら石でできた部屋にいて、その時点で傷はなかった。上手く説明できないが、コンクリートを使わない石積みで造られた倉庫って感じの場所だ」

「……どうやってそこに?」

「詳しくは知らんが、瞬間移動かなんかだろうな。テレポート的な」


 また随分と適当な説明だ。


「そういや、お前ラノベとかって読むほう?」


 かと思ったら、急に話題がブレた。


「いや、全然。漫画もほとんど読まないし……話くらいは聞くけど」

「まあ、俺もそう詳しくはないんだが、最近の流行りで異世界転生モノってのがあってな」

「ああ、なんか聞いた事あるな。アニメとかもやってるんだっけ?」


 今日パンクな夏休みデビューを飾った中野くんが、前に話してたような気がする。


「そういう話の序盤で主人公……もしくはその関係者も含めての場合もあるが、ある日事故とかで死んで異世界に飛ばされるってパターンが多いらしい」

「はあ……まさか、兄貴もその展開って話じゃないよな?」


 その話の流れ的にそう言い出しそうな気がした。死んだと思ったら別のところにいたわけだし。その時点ですでに説明のつかない超常現象だ。何かの導入部と言われれば納得してしまうだろう。


「異世界に行ったわけじゃないが、状況は近い。神様もいたし」

「か、神様?」


 突飛な話が更に胡散臭くなった。


「最初に言っただろ、理解できないって。俺自身、人に説明して納得させられる気は最初からしてない。……まあ、簡単に言えば、そういう超存在に助けてもらって生き延びたわけだ。で、なんやなんやあって、ようやく一時的に戻ってきたわけだ」

「なんやかんやって……」


 そこを端折っていいんだろうか。めちゃくちゃ重要なんじゃ。


「とにかく、今の俺はその神様の使徒……手下みたいなもんに転職して活動している。職業分類的には神主とか巫女さんみたいな神職だな」


 いや、あの人たち、別に神様に直接会った事はないんじゃないだろうか。

 というか兄貴、めっちゃ宗教アレルギーだったはずなのに、なんで神様の手下なんてやってるんだよ。いくら直接関係ないとはいえ、さすがに覚えてるぞ。


「ちょっと待って。……さっき一時的にって言ったよな。まさか、すぐにその……どこだか良く分かんねえ場所に戻るとか」

「こっちにいるのは一日の予定だな。別に何日でも良かったんだが、家族への説明だけなら十分だろ。最悪、お前が説明するって手もあるし」

「やだよ。間違いなく正気疑われるわ」


 こうして話していても未だ実感に乏しいのだ。人伝てに聞かされて納得できるはずがない。


「……ずっとってわけにはいかないのか」


 生きていた事が分かっても、それじゃ死んだのと変わらない。いや、全然違うのかもしれないけど、親父や姉貴が辛いままだ。


「とりあえず生きてますってのが伝えられれば長期の海外出張に行ってるのと大差ない……んじゃねーかな」


 いや、全然違うだろ。今どき、海外へ出張してたってまったく連絡がつかないなんて事はまずない。


「……正直に言えば、恒久的に戻ってくるのは可能だと思う」

「だったら……」

「でも、それはナシだ」


 希望があるような話の流れは、兄本人の言によって否定された。わざわざ両腕でバツを作るくらいの否定っぷりである。


「見れば分かると思うが、俺自身に事故の影響はない。健常そのものというか……無駄にパワーアップしているわけだが、生活するのに不自由はないだろう」


 ……そういえば、なんでそんなにマッチョになってるんだろうか。最初は太ったのかと思ったが、明らかに体のラインが違う。ウチの高校にいるボディビルダーもどきたちみたいな太さだ。


「だが、あんな事故があって、一人だけ戻ってまともな生活が送れるはずないだろ。確実にマスコミの餌食だ」

「あ……」


 そうか。……確かにそうだ。共同告別式で会ったマスコミだって、ただの遺族関係者の俺ですらウザいと思ったくらいだ。本人……それも謎の生還を遂げた人に食いつかないはずがない。

 匿ったところで誤魔化せるとも思えない。事故の被害者の内、遺体が確認できていない人は調査が続いているはずだ。調査が打ち切りになっても、外を歩いていたらバレるだろう。


「それに、唯一の生還者がピンピンしているのを見て、他の被害者の遺族や関係者はどう思う? ロクな結果になるはずがない。お前らだって巻き添えだ。断言してもいいが、今の生活は維持できない」

「…………」


 そうだ。確かにそうだ。そんなの、ちょっと考えただけで分かる事だ。

 兄と疎遠な俺でさえ腑抜けになっていたくらいだ。もっと親しい間柄ならどうなるかなんて分かり切っている。そんな人間が数え切れないほどいるのだ。


「あ、あのさ……他の被害者も実は生きてたりとか」

「ない……って言い切れるわけじゃないが、まずないだろうな。俺っていう例がある以上絶対じゃないが、神様からは俺しか助けてないって聞いたし、それならこれまでに話くらいは出てるはずだ。死体が残ってる時点で俺のケースとは別モンだろう……。あれ、俺の遺体とかなかったよな?」

「見つかってないけど……」


 そうか。兄貴の遺体が見つからなかったのは移動したからなのか。それなら、見つかっている時点で同じ現象じゃない。つまり、絶望的だ。

 いや、本当なら兄だって生きているはずはなかったのだから、高望みに過ぎるって話なんだろうが……そんな事、他の遺族に通用する理屈じゃない。

 ……ああ、そうだ。だから、戻れないって事なのか。……無理だ。確かに戻れるはずない。被害者遺族のほぼすべてが敵になりかねない。生活自体が成り立たないだろう。きっと逃げるのだって無理だ。


「神様っていうなら、どうにかできたり……」

「…………」

「兄貴?」

「……いや、会ってないとやっぱりそういう話が出てくるんだなーと思ってな。答えはノーだ。できないって言われたし、もし生き返らせられるとしてもあんな大人数の被害者が生き返って何事もなくなんて無理に決まってる」


 そりゃそうだ。無理があるのなんて分かってる。それなら、それこそ時間を巻き戻しでもしない限り。それでも、人間でない存在が関わっているならどうにかできないかって思っただけだ。


「俺も似たような事言ったんだよ。だけど、それが叶うなら、これまで災害や事故で死んだ人たちはどうなるって話になるんだよな。いくら未曾有の大事故だからって、死者の数で言うならたかだか数百から数千人だ。交通事故の年間死者と大差ない。もっというなら、戦争で何人死んでるんだって話だ」

「知らない……けど、言いたい事は分かる」


 俺だって無理があるのは分かる。どうにかなるような規模じゃないし、どうにかしたらまずいし、やる気ならすでにやってるって事だ。


「大体、神様っていうから唯一神的な全知全能を期待したくなるが、ウチの神様ってガチャの神様だし」

「……ガチャ?」

「ガチャ」

「……スマホとかの?」

「ああ、良く知らないとその反応になるんだろうが、そっちで正解。ソシャゲとかでユニットとかアイテムを手に入れたりするアレ」

「そんな限定的な」

「他にもたくさんいるって聞いてるが、俺が会ったのはガチャと動画実況の神……候補だけだ。今の俺は、その神様の手下としてガチャを回すお仕事をしているわけだな。さっきの肉もガチャから出た」


 ……意味不明だった話が、更に訳わからない事になってきた。そりゃ兄貴も理解できないって前提置きたくなる。なんだ動画実況の神様って。

 神様っていうからには俺でも名前知ってるような存在かと思ったのに。


「時間があるから説明してもいいが、神様の使徒やってるって以上の話を聞くと意味不明過ぎて頭おかしくなるぞ。妄言ってレベルじゃない」

「今更疑う気はないけど、なんかその話を信じさせるような方法はないのか?」

「一応、説明する手段はいくつか用意してるが、根本的に無茶苦茶だから、何見せても信じるのは無理があると思うぞ。ここでなんかすごい事しても、それでこれまでの話の信憑性が上がるわけじゃない」

「言われてみればそうだな」


 すごい事っていうなら、兄貴がここに存在している事自体がすでにすごい事だ。だからといって、神様がどうたらの話が立証できるわけじゃない。




-4-




「たとえばだな……ちょっと腕相撲でもしてみるか」

「は? ああ、なんかやけに腕太くなってるみたいだけど……」

「モノは試しってところだ。ちょっと俺も気になるし、現役の野球部員なら比較できるだろ」


 テーブルに置いてあったものをずらし、その上で腕相撲の体勢をとる。しかし、兄はただ肘を乗せただけで力を入れる様子はない。手を握ってもそのままだ。


「開始の合図は?」

「適当に始めていいぞ。多分、動かないから」


 何言ってるんだって感じだが、言われた通り手を掴み、力を込めた。……込めたはずだった。


「な、なんだこりゃ……」

「な?」


 そう言う兄は涼しい顔だ。力を込めている様子はない。反対側の手でどこかを掴んでもいないし、体重をかけてもいない。ただ肘を置いて手を組んでいるだけだ。なのに、ビクともしない。

 俺、ベンチプレスで部内二位なんだけど。ボディビルもどきの連中とやったってこんな事にはならないぞ。こんな腕力、容易に鍛えられるわけがない。


「ずっと棍棒振り回してたせいでもあるが、ようするに半分人間辞めたような身体能力になってるわけだ。……正直ここまでとは思ってなかったけど」


 と言うと、腕が簡単に押し倒された。力を入れたままだったのに抵抗すらできない。……ゆっくりと倒してくれたから大丈夫だったが、そのままなら腕痛めたかもしれない。

 アームレスリングの選手だって、そんな体勢でビクともしないってのは有り得ない。全然力入れてねえじゃねえか。


「地味だけど良く分かった。まともじゃねえ。……運動は兄貴に負けないと思ってたのに」

「二週間前までなら普通に負けてただろうな。普通に運動不足気味な営業マンだったわけだし。ちなみに、技術はないから、野球やったら負けるぞ」

「それで負けたらさすがに立ち直れないだろ」


 もちろん勝負もしない。こんな事を言っているが、万が一負けたりしたら洒落にならない。筋力だけならともかく、この言い分だと神経系も強化されてそうだし。


「やべえ、地味にショックなんだけど」

「まあ、ゴリラに負けたようなもんだと思っておけばいいんじゃないか?」

「そりゃ腕相撲でゴリラに勝てるとは思ってないけどさ」


 こっちが人間って時点で太刀打ちできない。素の筋力に差があり過ぎる。……今の兄貴はそういう存在って事なのか。たった二週間で?

 ……ああ、有り得ないからこれが証明になるって事か。確かに有り得ない。世界トップクラスのトレーニング施設で指導を受けて、完全管理の上でならひょっとしたらって思わなくもないが、その前提の時点で有り得ない事だ。


「これが普通に理解できそうな証明だ。見ても理解できないものは他にもある」

「すでに有り得ないレベルなんだけど……え? なんだそれ」


 目がおかしくなったのかと思った。兄の横に、ゲームのウインドウのようなものが開いて……閉じて、また開いて……って、遊んでるのか。


「このウインドウを使うと、ガチャで手に入れたカードを使って色々できる。さっきの肉もこういうカードだったわけだ」


 ウインドウの中に手を伸ばすと、そこに表示されていたカードをそのまま取り出した。つまり、ただの立体映像とかそういう話ではなくなってくるわけで……。


「確かに理解できない」


 そりゃ概要だけ説明するのも已む無しって感じだ。


「そういえば全然関係ない話になるんだが、お前VHSを再生できるデッキ持ってたりしない?」

「V……なんだっけそれ。カセットみたいなDVDだっけ? ベータとかいう」

「俺とお前の間でも世代間の知識差を感じてショックなんだが……それ。あんまり姿見られたくないから、そういうのなしで用意できる心当たりないか?」


 人に見られちゃ問題ありそうってのは分からないでもないけど、その条件だと結構厳しいだろ。友達に確認するのでさえ問題がある。


「リサイクルショップで見かけた事あるかもしれないけど……なんか見たいものがあるとか」

「ああ、< 夢の再現デスマッチシリーズ 力道山 VS ウサイン・ボルト >っていうビデオなんだが、これVHSなんだよな」


 何それ、超見てえ。


「なんかのパロディとかじゃなく?」

「そうかも知れんが、神様のガチャから出てきたもんだからひょっとしたらって事もある。パッケージは本人にしか見えないし」


 そう言って兄貴が見せてきたカードにはタイトルそのままのパッケージが描かれていた。良く分からないが、ステーキみたいに本物にできるなら、これもテープになると。

 写ってるのが本人かどうかなんて分からないが、パッケージの時点で異様に興味を惹かれる。頭悪過ぎる。


「置いてってもらえば、なんとか調達するけど」

「それだと俺が見れないだろうが!」

「そんなもん、俺だって見てえんだよっ!!」


 ひょっとしたら企画物か何かで、そっくりさんを使って撮影された可能性もあるという話なのでネットを使って確認してみるが、そんなものは引っかからない。ますます興味が惹かれる謎具合だ。


「これはついでだからいいや。ガチャでビデオデッキ当たるまで我慢するか」

「俺は?」

「……物質化したら持ち出せないから、諦めるしかないな。次に戻ってくる機会があったら感想を聞かせてやろう」

「くそ……なんて生殺しだ。嫌がらせか」


 おそらく簡単に理解できないルールがあるって事なんだろうが、諦めろというのか。それなら最初から見せないで欲しかった。


「って、また戻って来れるのか?」

「簡単に行き来できないが、制限かけられてるわけでもないしな。人目を盗んでここに戻ってくるくらいはできそうだ。平行世界に行けるくらいだから、そういうカードもありそうだし」

「へ、平行世界?」

「誰もいない無人の東京に行った。さっき肉食う前に言ったが、九十九世界って名前の。なんかそういう滅亡したっぽい日本もあるって事なんだろう」

「良く分かんねえけど」

「分かる必要はないし、説明しても理解させられる気がしない。神様だって良く分かってないみたいだし」


 あかん。さすがに許容オーバーだ。話が非現実的過ぎて想像もつかない。これまでの話を事実と仮定して、なんでたった二週間でそんな事になってるんだよ。


「……あのさ、良く分かんねえのは仕方ないにしても、そういうのって言っちゃまずいとかそういうのはないわけ?」

「ないらしいな。神様たちも別に隠してるわけじゃないみたいだ。尤も、言って誰が信じるんだって話でもあるんだが」

「そりゃご尤も」


 なんか疲れたな。色々あった事が全部引っ繰り返された気分だ。


「この後、姉貴や両親にも会っていくわけだろ? ……説明面倒くさいってレベルじゃなくね?」

「そこら辺は仕方ないから割り切るしかないな。実際こうやって生きてるわけだし」

「……俺、友達ん家に泊まりに行ってもいいかな」

「ばっか!! お前、そこは説明を手伝うってところだろ!」


 そんな事を言われても。


「よし、じゃあ小遣いやろう。財布丸ごとやる」


 兄貴はそう言うと、例のウインドウを開き、一枚のカードを取り出した。


「《 マテリアライズ 》」

「……は?」


 兄貴が何かしたのか、突然カードが光り、別の形へと変化した。ひょっとしてこれが肉を出したっていう……。


「電車乗るまで俺が持ってた財布だ。ボロボロだが、中身は一応二万円ちょっと入ってる。これで妥協しろ」

「不謹慎だけど、なんか形見分けみたいな……」


 差し出された財布は本気でボロボロだ。この状態で使っていたとは思えないので、例の事故の影響なのだと思う。中身を見れば確かに縁の欠けた紙幣が入っていた。

 こんな状態でも確か銀行に持っていけば替えてくれるって聞いた事がある。


「実は、神様から金の延べ棒も渡されたんだが……親父、換金の当てはあるかな」

「いや、知らねえけど」


 なんでそんな面倒くさそうなものを……。




-5-




 その後、家族が帰ってくる度に大騒ぎになった。当然だが誰も兄貴の話を理解などできるはずもなく、最終的にはとりあえず生きている事が分かったというだけで納得して諦める事になった。

 表沙汰にはできない話ではあるものの、兄貴が生きていた事自体は喜ばしい事なのだ。その前提がある以上、致命的な問題は起きないのは当然とも言えた。

 親父たちからすれば、あるいは実はこれが夢で、それでも構わないから兄貴との一時を過ごしたいという話だったのかもしれない。正直、散々話した俺もどこか夢なんじゃないかと思っているくらいだから別におかしな話でもないだろう。


 深夜になって、いつもなら寝る時間になっても終わらない夢のような時間は続く。

 最終的に親父と二人で夜通し飲み明かしたらしいが、その時に何を話していたかは聞いていない。多分他愛もない事だろうし、朝会った親父に隠し切れない涙の跡を見てしまったから。

 兄貴が帰るのは昼過ぎになるという話だったので、俺は別れの場には立ち会っていない。後から聞いた話だと、服を残して煙のように消えてしまったらしい。なるほど、だから自室で服を物色してたわけだ。




 しばらく経って、俺は一本のソシャゲを始めた。

 特にコレというのがあって始めたわけじゃないが、やっている友人が多いものを言われるがままに始めた感じだ。正直ゲームとしての面白さは良く分からないが、俺にとってそこはあまり関係がないところだ。ゲームをやりたくて始めたわけではないのだから。

 そのゲームを始めたタイミングで兄貴の財布にあった金をすべて電子マネーに換金し、ガチャを回した。結果は良く分からないが、友人に言わせるとアタリらしい。別に使い道を決められていたわけじゃないし、何に使っても良かったのだろうが、なんとなくこうするのが良いのではないかと考えていた。



 多分意味などないのだろうが、これで少しでもガチャの神様からご利益があればいいなと、そう思ったのだ。





次回は第五層攻略前後のガチャ結果とウエポンピックアップ。(*´∀`*)

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― 新着の感想 ―
[良い点] ガチャの神にお布施するとか弟くんが良いこすぎる。
[良い点] 面白いです 無限からきたのですが一話あたりが長めで読み応えあっていいですね チワワ愛でたいです [気になる点] 更新予定はありますか [一言] 応援してます~
[一言] 面白かったのでこれからも更新をよろしくお願い致します。
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