二・四話 防具は最大の兵器である?
今回、ルビを多用しています。ご了承お願いします。
「まさか、二日続けて模擬戦をする事になるとは……」
「なに今更グチグチ言っているの、グレン。それより、準備は出来たかしら?」
「出来たはできたけど、本当に実武器を使わないといけないのか? 昔みたいに木剣とかでもいいんじゃないか」
軽いストレッチを終えて持ってきた剣を握りながら、オレは再確認する。
もちろん魔力を流した「魔力剣」状態なので、万が一の時でもリービルが怪我をする事はないけど、オレは普通に危ないからな。
対してリービルの手持ちは短剣と盾。しかしスピード特化というわけではないらしく、異様なのがその盾。
身の丈程の長さをした逆五角形の巨大な盾を持っている。
「剣と盾の長さの割合……逆じゃないか? 発注ミスとかかな」
「私のスタイルはいつもこうなの! それより、グレンこそ盾は身に付けなくていいの?」
「うーん……片手剣スタイルの方が、異世界感あるかなぁ、なんて」
「異世界……? なんの話しているの?」
「気にするな。独り言だ」
まあ、流石に防御ゼロって訳ではない。リービルが持ってきてくれた革鎧を二人とも着込んでいる。
胴体だけでなく手足と頭部用の革装備も装着しているが、王城の騎士試験時に貸し出された革鎧より軽い。
「素材がいいからかな。動きやすいけど、防御面が心配だな」
「鉄鎧は流石に勝手に持ち出せなかったけど、革鎧も私が使ってる立派な道具なんだから、心配はいらないわよ」
「グレン、姉さん、そろそろ始めないとルウナちゃんが戻ってくるんじゃない?」
審判役をお願いしたリーリクから指摘を受けて「そうね」と、リービルが盾を前に持ち短剣を横に構える。
「無駄話もこれくらいで。いくわよ、グレン!」
「やるしかないんだろ……よしっ! いつでも来い。リーリク、合図」
コクリと頷いたリーリクの開始の合図と同時に、構えをそのままでリービルが一気に距離を詰めてきた。
上手く盾で体全体を隠していて動きがわからない。
オレは急いで横サイドに逃げて、盾の後ろに隠れたリービルに向けて突きを放つ。
「甘いっ!」
しかしオレの剣は短剣で弾かれて阻止された。
読まれていたわけだな、なら……。
オレは足を踏ん張り、弾かれた剣を無理やり戻しリービルを追撃する。
だが、それも読まれていたのか、既に盾を正面に移動させていて攻撃を防がれた。
「からの〜!」
するとそのまま盾を横にズラし、短剣を構えたリービルが突きにくる。
オレは咄嗟に後方にジャンプし、間一髪で短剣のリーチ外に回避出来た。
「危なかった……! 昔より動きが早くなったんじゃないか。だけどこれで本気か?」
「まだまだこれからよ、これから。最初はグレンに花を持たせようと思ってね。ほら、よくボーイファーストって言うじゃない?」
「――言わない、言わない……」
わざとなのか……マジなのか……。
リーリクの方をチラ見すると、ため息混じりに「面白くないよ」とギリギリ言っているのが聞こえる。
「久しぶりに会った知り合いがバカになってなくて安心したよ」
「冗談よ……失礼――ねっ!」
少し気が抜けた隙をつかれて、またもやリービルが急接近してきた。
同じように盾を正面にして距離を縮めてくる。
「同じことの繰り返しか?」
また横に逃げると思わせて、今度は正面から迎え撃つか。
そう思った瞬間、接近してくる盾が――消えた。
「はっ! 違――っ!?」
まだリービルと僅かに距離があるにもかかわらず、腹部に襲われた衝撃でオレの体が吹き飛ぶ。
その時分かったが、盾は消えたのでは無く水平に構えられて突進されたらしい。
数度転がった後、オレは急いで構え直すために立ち上がる。直ぐに立て直せた為、リービルも追撃はしてこないみたいだ。
革鎧がなかったら鋭い盾の角で腹に穴が開いていたかも、な……。
「痛っ……器用な攻撃するじゃないかっ……」
「ふふん、伊達に大盾使ってないわよ」
言うと今度は最初から盾を突く構えに持ちながら、あっという間に距離を詰めてきた。
二度もあんな攻撃受けれるかよっ!
急いでオレは右側に転がる形で回避し、リービルとすれ違う。
すぐに顔を上げると視界の端で、水平に構えられた盾が横薙ぎに迫ってきている。
それを剣で弾き、今度はオレが上段から剣を振り下ろす。
でも魔力剣とはいえ本気では振りづらい……。
そんな躊躇が仇となったのか、リービルの短剣で防がれてしまった。
「戦い中に考え事なんて、随分余裕ねっ!」
険しい表情でがら空きになった胴体にリービルが蹴りを入れてくる。
だがオレも蹴り飛ばされる瞬間に、負けじと胸部辺りに突きをくらわせた。
それに苦痛の顔をさせたリービルが退き、お互い距離を置いたので、オレは息と体制を立て直す。
「……胸を突くなんて、エッチ」
「うるさい、怪力娘め」
蹴りが入った腹部が痛い……。相変わらず容赦が無いな。
今度はこっちから攻めるか。
オレは剣を下に構えて走り接近する。
それを嬉しそうに笑みを浮かべた思うと、再び盾の中へ隠れたリービル。
もちろんそれは想定内だ。
走ったまま剣の剣身を後方に持っていき、柄の先端部分である柄頭を前に突き出す。
そのまま変化しないリービルの盾に向けて柄頭を力一杯叩きつけると、リービルが三歩くらい後退してよろめく。
「ぐぐっ、急に積極的だねぇ……! なら、これはどう!?」
言うと同時に、リービルが盾を前後で傾ける。
「なっ――」
それによって滑るように、当てていた柄頭がズレて前方にバランスを崩し地に膝をついてしまった。
「チャンスっ」
ぴょこぴょこっと獣耳を犬みたいに動かし生き生きとこれまた器用にリービルが盾を動かして、盾の横薙ぎが直ぐ目の前まで迫っていた。
何とか反応に間に合い剣を前に持っていき、鉄の打つかる重い音を立てて盾を防ぐ。
「たっ……盾の使い方じゃないだろっ、これ!?」
「よく防御できたわね……!」
獣人パワーでジリジリとリービルが盾を押し付けてくる。両手を添えた剣で防いでいるが、正直力負けしている。
すると盾の影から忘れかけていた短剣が飛び出してきた。
「危ないっ――」
瞬時に顔をズラしてなんとか紙一重で頬を掠る程度で済んが、マジで殺す気か……?
だがその際に体勢を崩したのかリービルの力が弱まった。その隙を逃さず、オレはガードしている剣を一度手前に引く。
「えっ――きゃっ!?」
盾で前に押していたリービルがよろめき、完全にバランスを崩した瞬間、今度はオレがリービルを押し返して体勢を立て直す。
「隙ありいぃ!」
よろよろとなっている間に剣を大きく、早く振りリービルの短剣と盾に叩きつけ、弾き飛ばすことに成功した。
武器が無くなったことに動揺したのか目を丸くさせているその瞬間、オレは剣を頭上に掲げてリービルを斬りつける。
今度はさっきのように迷いはせず、魔力剣だから傷つきはしないと確信して振るう。きっとリービルからしたら、棒で思いっきり叩かれたようなものだろう。
「かっ――」
確かな手応えを感じて振りかぶった状態の中、リービルが後方に倒れていくのが見える。
「――っ……まだ、まっだ!」
――しかし、倒れ込む寸前でまさかの踏み止まると、握り締めた拳で殴り掛かってきた。
「そんなのありかよっ」
飛んで後方に避けたが、またパンチかよ……。
パンチ攻撃に最近縁があるな。
オレが着地するや否や、大盾が無くなった事によって、今まで見た中で最も早いスピードで急接近してくる。
急いで剣を構えると目前でリービルが地面を蹴り上げて、勢いのまま土がオレに向かって大量に飛んでくる。
「うっ、くっ?! 卑怯だ――」
反射的に視界を閉じて悪態を吐くが、それを言い切る事は出来なかった。
目を閉じたと同時に、首にとてつもない強い衝撃が走った。目を無理やり開けてみると、オレの首にリービルの放った飛び蹴りが掛けられていた。
その後首にズシっと重みがかかったと思うと、リービルは放った足を軸に体を捻らせ、今度はオレを地面に向けて蹴りつける。
先程の蹴りで頭がグラングランとするオレに抵抗することは出来ず、そのままオレの体は地面に沈められていく。
「なっ――ナイ、ス……キッ……ク……」
そんな感想しか思い付かず、リービルの「あっごめ――」の言葉の途中で、オレの気は遠くなっていった。
――うっ。
あれ……顔に何か冷たい物が被さっている……?
ああ、多分タオルか何かかな。
そういえば……結局あの後どうなったんだっけ?
確か、リービルに強く蹴られて地面に沈められて、その後……また、オレは気絶したのか?
本当、子供の頃から怒らせたら怖いというか。
普通、容赦なしに人の首に蹴り入れるかなぁ……。
「まだ起きない、グレン?」
リービルの声か……ん? 今気づいたが、頭の下に何かあるな。少し柔らかい感触だ。
これは、あれだ! 膝枕か。
きっとリービルかな。そんなヒロインがしそうな事をするキャラには見えなかったけど、リービルも女の子っぽいところはあったみたいだな。
「姉さんが手加減も無く思いっきり蹴るから。多分、気がついてはいると思うけど」
「うう、反省してます」
リーリクもそばにいるみたいだな。
気のせいか、リービルの声が遠くて、リーリクの声が近い気がするけど。
さて、そろそろ起きるか。
「わるい、ありがと――」
顔を覆っている布を取って周りを見渡す。
「あ、大丈夫か?」
「――だと思ってたよ……」
予想通りと言うか、すぐそこにリーリクの顔があった。どうやら膝枕をしてくれていたヒロインの正体はリーリクだったようだ。
「分かってはいたけどね。ありがとうリーリク、もう平気だよ」
「なら良かったけど。悪いグレン、姉さんが容赦なくて」
「本当だよ……いくら怒ってるからって、人の首に向けてあんな蹴りするなよ、リービル」
「あははっ。ごめん、ごめん。久しぶりに興奮しちゃって。ほらっ」
反省してるのかしてないのか、ヘラヘラと笑いながら水筒を投げてきた。
丁度喉も乾いていたから、これはこれでありがたく頂くとしよう。
「ぷはぁ……。まあ、元はと言えばオレとリアンが悪いからしょうがないな」
「あっ、それもごめん。本当はそんなに怒ってなかったのよ」
「――えっ?」
「いやぁ、久しぶりグレンと戦いたいなっと思って、適当に理由をつけただけなのよ。ごめんね」
いかにも「てへっ」と言いそうな顔で、手を合わせて首を傾げながら舌を少し出している。
……仕草が古いな、おい。
「それはそうと、グレンも中々躊躇しないよね」
「ん、そうだったか?」
「そうよ。だって最後、真剣で思いっきり私を斬りつけたよね。鎧を付けていたとはいえ、流石に私も肝を冷やしたわよ」
「えっ?! えーと……その、わるい」
「いいよ、いいよ。おあいこって事で。でも、不思議よね。結構力強く斬りかかれた気がしたけど、革鎧に切り傷が全然付いていないのよね」
既に外していた革鎧を持ち上げながら、リービルがまじまじと見ている。
魔力でコーティングされた魔力剣なんだから、傷一つ付かないのは当然なんだよな。
「おっ、思ったより鎧が丈夫だったんだろ……」
「うーん、そうなのかな?」
「ゴホンッ。それより、ルウナたちは?」
「もうそろそろ帰ってくると思うけど? あっ、ほら。戻ってきたわよ」
リービルが手を振る先に、行きとは逆にゆっくりと歩いてくる疾射尾猫のルビと、それに並行して飛んで帰ってくるリアン。
そしてルビの背に跨り、こちらに手を振ってご機嫌そうな笑みを浮かべているルウナの姿があった。
ルウナに手を振って答えながら、リービルに向けて確認する。
「ルウナをルビに乗せて遊ばせてきたのは、模擬戦でルウナに心配をかけない為か?」
「あら、よく分かってるじゃない。ルウナちゃんみたいな純粋無垢な子には、ちょっと刺激が強いかな〜と思ってね」
「リービルはそんな生々しい模擬戦にするつもりだったのかよ……」
「そんなつもりは無かったわよ。ただの保険よ、念のためにね」
その気がなかった割にオレの頬に切り傷があるのは、どういう事でしょうね?
「お兄様、ただいま戻りました!」
「おかえり、ルウナ。随分ご機嫌だな。楽しかったか?」
「はい! 初めは驚きましたが、あの後ルビちゃんが直ぐにスピードを落としてくれて、風もちょうど良く心地良くて楽しかったです」
ウキウキと語るルウナに「よかったな」と頭を撫でてやる。
「リアンもありがとうな」
「ふむ……ただただ、空を飛んで着いて行くだけというのは退屈でしかなかったぞ」
愚痴を漏らすリアンの頭を撫でてやり、しっかりお願いを聞いてくれたリアンを労っておく。
その時、視線を感じて顔を横に向けると、ルウナが嫉妬じみた眼差しを向けてきていた。
後で満足するまで撫でてやるよ。
そう思った瞬間、ルウナが両手を伸ばしてオレの顔を掴んだかと思うと、急にルウナがその可愛い顔を接近させる。
「どっ、どうした……ルウナ?」
「あれ……? お兄様!? 顔にお怪我が!」
ケガ? あ、しまった。帰ってきて急に傷があるのは心配するよな。
だけどルウナ、心配してくれるのは嬉しいけど、流石にこの距離はちょっと驚くぞ。
顔が近くてほんのりといい匂いが……って、相手は愛する妹だぞ、オレ。
そこへ口を開き、助け舟を出そうとしてくれた人がいた。
「か、鎌鼬だよ。急にグレンの頬に傷が出来て驚いたわ」
目をパチパチさせて、咄嗟に出た言い訳がそれですか、リービルさん。
「か、かま……?」
「いやいや、鎌鼬って、そんなはずないだろ」
その後、なんとかオレとリーリクで上手く誤魔化す事ができ、納得してくれたルウナを連れて今度こそ屋敷に帰る事にした。
リービルも言葉にはしていないが、尻尾を上げて楽しそうに振っていたから多分満足したのだろう。……じゃないともうオレの身が持たないからな。
リービルとリーリクもこの後すぐに通常仕事に戻るらしく、タイミングも丁度良かったみたいだ。
「お兄様、久しぶりにリービルさん達にお会いできて楽しかったですね」
「そうだな。子供の頃より少しパワフルになっていて疲れた気もするけど……」
オレの前に座らせたルウナからの問いかけに笑みを浮かべてそう返す。
模擬戦の疲労で惚けながら馬を走らせつつ、ふとオレは昨日のサリカ姉さんとの会話を思い返す。
『タツ、ノオトシゴ……?』
『姉さんなら、近くに海が無いこの国でも知っているかなって』
姉さんの部屋を訪ねて早々、オレは海の生物に関する本を持参してそんな質問をした。
『そうね。私も本物は見た事は無いけど、本の知識程度なら知っているわよ。でも、急にどうしたの? 今度は騎士じゃなくて海洋生物の学者にでもなる気になったのかしら』
『か、カイヨウ……? 違いますよ。ちょっと気になる生物がいて、それがタツノオトシゴに見た目が似ていたんです』
不思議そうにさせている姉さんに話を続ける。
『実はこの前の黒岩大人形との戦闘時に見かけたんです』
黒岩大人形が過剰魔力注入によって暴発して、オレが吹き飛ばされた際に空に浮かんでいた謎の生き物。
『直ぐに消えるように居なくなってしまったのですが、遠目で視界の端に見た程度だと、大きさは人の上半身くらいのサイズで白い皮膚をしていて、背中に小さな羽みたいなのがあった気がします』
『うーん、白……羽の生えた……』
顎に手を当てて、何やら考え事をする姉さん。
羽といっても鳥の羽みたいなのじゃなくて、インターネットのイラストとかで見るようなくるくると渦巻いてる羽だった気がするけど。
『そうね……もしかすると、それは時進行退竜の事かもしれないわね』
『ドラゴン? なんですか、それ? 魔物ですか?』
『あら、魔法と魔物に興味があるグレンが知らないなんて、少し意外ね』
立ち上がった姉さんが「少し待ってね」と部屋にある本棚に向かうと、ちょっと古めの一冊の本を取ってきた。
『これは――童話ですか?』
『ええ、「理破りし五覇の邪竜」。勉強熱心でよく本を読んでいたグレンも、この本は見た事が無かったかしら? これはね、昔むかしに世界で暴れ回っていた五体の竜のお話なの』
姉さんは本を開くと、内容を分かりやすく語ってくれる……。
吹き出す炎で大地を灼熱の業火に変えていった……業点火滅竜。
触れる万物を凍てつく巨体で氷結させた……氷停結動竜。
植物を操り全ての生命を枯らして太陽の光をその巨樹に吸い取った……植光物暗竜。
骨の身で無機物有機物を本能のまま喰らい続けた……骨生食亡竜。
『そして、「過去と未来を行き来し、四竜を唯一制する事のできる世界の仲介者……時進行退竜」。この本に出てくるその姿が、グレンの上げた特徴と似ているかもしれないわね』
何か、ゲームによくあるおばあちゃんにむかーしむかしのお話を聞いて立つフラグみたいだ。
この後その五体の竜と戦えとか言わないよね……?
『でも、それって童話で作り話ですよね? 似ているだけで、別の生き物なのでは?』
『くすっ。実は、童話として描かれているけど、これは実話よ。誰が記録したのか不明だけど、遥か昔から語り継がれているお話。だから時を渡ると言われている時進行退竜なら、今でも遭遇してもおかしい話では無いと思うわ』
「――『実際に見た事があると言う人はいないらしいけど』、ねぇ。結局正確な事は分からないと、言っているのと同じような気がするけど」
「お兄様、どうかされましたか? 何やらお考え事をしていたみたいですけど」
「えっ……あ、ごめん、ごめん。大丈夫だから」
オレがぼーっとしている間、ルウナが手綱を握っていてくれたみたいだ。
余所見運転ならぬ、余所見乗馬は危険だからな。気をつけないと。
「しかし、器用な寝方をするな、こいつ」
オレの後ろでしっかりと腰に手を回した状態で、リアンが意外と可愛らしい寝息を立てて寝ている。
リービルたちが去った後に人型になったので、誰にも見られてはいない。
「……ルウナ。一旦帰ったら、釣竿を持ってあそこに釣りに来ないか?」
視線の先にある川を指差してルウナを釣りに誘う。
ここの領地の川は外の川と繋がっているから、魚が釣れたはずだ。たまにはのんびりとしたアウトドアも悪くないだろ。
「えっ、お兄様とご一緒にですか!? はい、是非にっ!」
「よしっ、じゃあ飛ばすからしっかり捕まっているんだぞ!」
「えっ、ちょっとま――きゃーー!」
本日、二度目となるルウナの悲鳴と共に馬を走らせ、オレは領地境の入り口に向かっていく。
追記:リービルの獣感が足りなかったので追加しました。




