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二・三話 双子の姉弟

新年スタート一発目です。

 ミヤの使い魔召喚イベントの翌日、仕事でバルドント侯爵領の領主邸(りょうしゅてい)に来ているオレは、父さんとサリカ姉さん、あと先輩近衛騎士の四人で応接部屋で待機しているところだ。


 領主邸だけあって、広い部屋の真ん中には大きい机とソファーが設置されていて、更に机に花瓶が添えられてオシャレに飾られている。まあ、(うち)も似たような部屋はちゃんとあるんだけどね。


 父さんと姉さんは客人らしくソファーに腰掛けてお茶を飲んでいるが、今回のオレは護衛として来ているため、先輩騎士と一緒に後方で立って待機している。


 それにしても、ここに来るまでの景色を見てきて思ったが、相変わらずバルドント領は自然が豊かな所だ。

 建物が少ないわけでも無いが「ザ・田舎」ってくらいの緑の多さ、領内を流れる川や畑に作物と、ここはどの領地よりも自然が多くて素敵だと思う。

 ドゥラルークも自然はある方だけど、この領地には負けるな。


 それと比べると、王都は自然感は少ない方だと思う。あの人気の無い公園に緑が密集(みっしゅう)していたぐらいだろう。

 残り二つの領地については、正直分からない。なにしろ「ウィンクーバル領」も「エテルカ領」も、オレは行ったことがないからな。


 しかし、同じ王国内の領主の子が知らないというのもおかしいか……?


「試しに今度行ってみるかぁ……」

「――様……グレン様?」

「……んっ? あ、すまない、考え事をしていた。何だ?」

「いっいえ、グレン様もお座りにならなくてよろしいのですか? グレン様まで御一緒にお立ちになってお待ちにならなくても……」


 隣に立つ先輩近衛騎士のスライドさんが、オレを気遣って声を掛けてきた。


「今のオレはただの一人の近衛騎士だからな。それと、任務中はスライドさんの方が先輩なんだから、敬語じゃなくていいんだぞ」

「そういう訳にはいきませんよ。どんな立場だろうと、グレン様も私がお仕えする御方に変わりないのですから」

「真面目だな――っと来られたみたいだ」


 ノックの音と同時にドアが開くと、一人の中年男性と、オレと同年代くらいの男女二人が部屋へ入ってくる。

 装備を着けているからあの二人も護衛役か。


「おお、久しいな。変わりないか、ドットよ」


 体格の良い中年男性が向かい側のソファーに腰掛け、他の護衛の二人がオレたちと同じように後方で待機する。


「この間の会議で会ったばかりだろう。物忘れには早いぞ、ジュゲル」

「ガハハっ、軽い冗談に決まっているだろ。お互い、そこまで老いてはいない」

「どうだかな、最近は()()の中に白髪が混じり始めてきているのではないか?」

「それはお互い様だろう」


 馴染みのいじり合いで、二人ともご満悦のようだ。

 特にジュゲルさんなんか、笑う度に()()が揺れて、 ()()()()がピクピクと動いている。

 父さんと同じくらいかそれ以上に老けて見える見た目に、体のあちこちに茶色い体毛があるこの人「ジュゲル・テスカ・バルドント侯爵」は、ガスラート王国の四領地バルドント領の領主であり猫系の「獣人」だ。


 嬉しいことに、異世界ならではの定番の生物、獣人がしっかりとこの世界にも存在していたのだ。

 それもバルドント領は、ガスラート王国で一番獣人が生活している領地であり、様々な種類の獣人がいる。自然豊かなこの地が、獣人にとって住みやすかったりするのかもしれない。

 多分、リオンさんがこの地に来たら大興奮した後に、新作のネタが溢れて大忙ししていただろう。


「サリカ嬢ちゃんも元気そうだな」

「はい、バルドント閣下もお変わり無いようでなによりです」


 侯爵令嬢らしく礼儀正しい挨拶をする姉さんに、ジュゲルさんは先程と同じく豪快な笑い声を上げてソファーの肘掛けを叩く。ただ肘掛けの表面が、ジュゲルさんの爪で叩く度に少しずつ破れていくのは獣人のさがか……。


「変わらずサリカ嬢ちゃんは真面目だな。昔からの仲だ、そんな硬い挨拶は公の場だけで良い」

「ふふっ。ではお言葉に甘えさせていただきます、ジュゲル様。リーリクとリービルも、元気そうで安心したわ」


 姉さんが微笑んで視線を向けた先で、ジュゲルさんの護衛の内の女の子もニコッと微笑み返す。


「ありがとうございます。前にお会いした時は、サリカ様が一七の時でしたからね」

「くすっ。お父様にはともかく、私に『様』なんていいわ。昔みたいに呼んで欲しいわね」

「そうですか? では、サリカさんも元気そうで安心しました」


 姉さんの一声で、一気に力みが抜けた笑顔で手を振る彼女の名前はリービル。

 ジュゲルさんの娘で、隣のキリッとさせた表情をしている男の子、リーリクと双子の姉弟(してい)で二人も当然同じく猫系獣人だ。

 騎士装備の見た目に反してピコピコと愛らしく動く猫耳を持っている。ただ、二人はジュゲルさんみたいに猫髭はまだ生えていないみたいだけど。


「リービルとリーリクも、ジュゲル様の所属騎士になったようね」

「はい、サリカさん。僕も姉さんも、いつもは領地内の警備任務なんですが、ドット様たちが久しぶりに来られるという事で今回は護衛として同行を。グレンも、ドット様の護衛の騎士になったのか?」

「ああ。正確には近衛騎士だけどね」


 クール顔から一転して口を開いた瞬間、リーリクが昔と変わらず (なご)やかな表情を浮かべて問うてきたので、昔みたいな口調でオレは答える。


 バルドント侯爵家とは幼い頃からの家族馴染(かぞくなじ)みで、二人ともオレより一個上の一八歳だったはずだけど、昔からオレたちは変な遠慮とかは無く砕けた態度で接していたな。


 昔と変わらないな。一見クールなリーリクも、口を開けばとても明るく笑う奴で、逆にリービルはいつも人当たりの良い笑顔で優しい性格をしている。

 だけど、実は怒らせたら魔物も逃げだす様な恐ろしい表情をするから、よく怒らせない様に気をつけていたっけ。


「さて。親睦を懐かしむのも、続きは仕事の話を終えてからにしよう」

「そうだな、ドット。ではまずバルドント領が管理しているこの街なんだが――」


 そこからは至って真面目な領主たちによる仕事関係の話が飛び交う。

 今回は姉さんが書記として、会議の内容を簡単にまとめて書き記す役割をするらしい。

 しかし、ただ書き記すだけでは無く、難しい大人の会話に入って意見や提案が出来るのは相変わらず凄いとしか言えない。




「――っと、これで以上でいいな」

「そうだな。他になかったか、サリカ?」


 大体一〜二時間位した後、お茶を一口飲みながら父さんが確認をする。


「お父様、『例の事件』についてまだ……」


 書き終えた書類を丁寧に纏めながら姉さんが静かにそう (うなが)すと、お茶を置いて父さんが真面目な顔でジュゲルさんの方を見る。


「……リービル、リーリク。部屋の外で待機していろ」

「スライドもだ」


 聞かれたらマズい話なのか、察したジュゲルさんと父さんが人払(ひとばら)いを告げる。

 まあ、命令だからね。オレたちは承諾(しょうだく)して、部屋を出て行くことにした。


「グレンは残りなさい」

「えっ、オレ……ですか?」


 まさかのご指名だな……。

 見当がつかずサリカ姉さんに問いかけの視線を向けたが、姉さんから答えは返ってはこない。

 仕方なくオレだけ残り、双子とスライドさんだけが部屋を出て行った。

 束の間、部屋が静かな雰囲気に包まれるが、すぐに父さんが話を切り出す。


「ジュゲルよ、既にバルドント領にも話が届いていると思うが、この間の王都での事件を知っているか?」

「無論だ。王城付近で何故か三体の黒岩大人形ブラクラージ・ゴーレムが現れたという話だな」

「実はグレンも、当時のその場に出会(でくわ)したらしいのです」


 そう言うと視線をオレに向けてきて、姉さんが話を振ってきた。

 なるほど、この話をするためにオレだけ部屋に残らせたのか。


 納得したオレは当日の出来事、王都に現れた黒岩大人形ブラクラージ・ゴーレムが普通より攻撃スピードが早かった事や岩人形(ゴーレム)では有りえない速さで走ってきた事。

 核を攻撃しても爆発させても動き続けていた事。


 そして……実は三体は既に討伐された後だったのに動き出していたという事実、全てを話した。


「――というのがオレと、オレの使い魔が戦って感じた事です」

「……にわかには理解しづらい話だが、グレンくんが言うなら間違いではないな」


 ため息を一つ吐いて頭をかくジュゲルさん。この妙な話に顔を歪ませながらも信じてくれるらしい。

 マユバさんには口外しない様に釘を刺されていたけど、四領主だったら話を漏らさないだろうし大丈夫だろう。


 ちなみにリアンが魔法を使えなかった理由と妨害相手の居場所については、実際にお城の誰かなのか、たまたま付近にいた者の仕業(しわざ)か判明していないので誰にも話していない。

 変に話がややこしくなって、もしも騒ぎになると大変だからな。


「死んだはずの魔物が動きだすとなると、霊生(ゴースト)が取り憑いたということか……?」

「厳密に言えば、取り憑く能力があるのは霊生(ゴースト)ではなく憑操縦霊生(アン・ゴースト)ですが、憑操縦霊生(アン・ゴースト)が取り憑いた物の速さは本来より鈍速(どんそく)になるはずです。今回の事件とでは話が合いません」

「うむぅ、確かに……」


 博識(はくしき)な姉さんの助言で更に頭を悩ませる父さんたち。


 そうなんだよな。

 遅くなるどころか、スピードアップしているのが謎なんだよ。


「なんであれ、ことが大事(おおごと)になる前に全滅出来たのは不幸中の幸いだと言えるだろう」

「聞いているぞ。最強と名高い、タルティシナ王国騎士長が黒岩大人形ブラクラージ・ゴーレム三体を一人で倒したと噂が、バルドント領(ここ)まで流れていたからな」

「まだ幼かったタルティシナ嬢も、立派になったものだな」


 うんうんと懐かしそうに笑うジュゲルさん。

 オレも絶体絶命の瞬間に助けてもらったのにまだお会いした事がないから、今度会う機会があったらお礼を言いたいな。


「まあ、現状では原因の究明も出来ん。街中の警備を強化しつつ、調査を続けるしかないだろ」

「そうだな……今日はこの辺りで終わるとしよう」

「おう、また何かあれば知らせてくれ。久しぶりに会えてよかったぞ、グレンくんにサリカ嬢ちゃん。またな」

「はい。ジュゲル様もお元気で」

「何かあれば、微力ながらオレも力になりますから」


 そう言うと「頼りにさせてもらうぞ」と笑って見送られながら、オレたちはバルドント領主邸を出た。




「ルウナ、リービルたちと一緒だったのか」


 玄関先では、馬車にお留守番していたはずのルウナとリアン、それとオレたちより先に退室したリービルとリーリクが楽しそうに会話をしていたみたいだ。

 スライドさんは部屋を出たドア前にいたので、オレたちと一緒に今外に出たところだ。


「お兄様! お待ちしていました。もうお仕事は終えられたのですか?」

「ああ。リービルたちも一緒だったのか」

「うん。ルウナちゃんのグレン好きは変わらないね」

「昔から二人とも仲が良かったからな。僕たちがグレンと遊ぶ時もいつも一緒だったよね」


 リーリクが苦笑いを浮かべるのは何故だろう。

 それくらい普通だと思うが。


「主人よ、遅かったではないか」

「悪いなリアン。思ったより話が混み合ってな」


 (ドラゴン)姿のリアンと、視線を()()()()()()()目を合わせながら謝っておく。


 今回は(ドラゴン)状態なのだが、本来のサイズよりだいぶ小さめになってもらい、二メートル少し高めくらいの小竜になってもらっている。


 理由はと言うと……。


「へえ、この子がグレンの使い魔の(ドラゴン)なんだ」

「前から話は聞いていたからどれくらいの大きさなのかと思ったけど、まあまあ大きいね」

「ふ、ふむ……なんだ、お前ら……」


 物珍しそうにリアンをまじまじと眺めているリーリクとリービルに、リアンも若干戸惑っているみたいだ。


 こうなると思っていたから、前もってリアンにサイズ調整をお願いしていた。本来の七メートル程の巨体で来たらもっと騒がしくなっていたと思う。


「グレン、そろそろ帰るわよ」


 いつの間にか、既に馬車に乗り込んでいた姉さんが声を掛けてくる。

 だけど、まだしばらくリアンが解放されそうに無いな。それにルウナも、二人とまだ話し足りなさそうに見える。


「……グレン、お前はルウナといなさい。任務も終えたからな、ゆっくりしてから戻るといい」

「――本当ですか、お父様!」


 嬉しそうな顔でルウナが問うと、父さんは肯定(こうてい)する。


「よろしいのですか? しかし、まだ護衛の途中では……」

「なに、後は戻るだけだ、スライド一人で充分だ」

「分かりました。後からオレが乗ってきた馬にルウナも乗せて戻ります」

「ああ、ルウナを頼むぞ」

「グレン、私も先に戻っているわね」


 (ルウナ)に甘い父さんの指示で、オレたちはもう少し残る事になった。

 笑みを浮かべるルウナと一緒に、姉さんたちを乗せた馬車と護衛で馬に乗っているスライドさんの後ろ姿を見送った後、まだリアンを見つめているリービルとリーリクの方に視線を戻す。


「初めましてグレンの使い魔()()。私の名前はリービル・テスカ・バルドント。こっちが双子の弟のリーリク・テスカ・バルドントよ」

「立派な角してて、やっぱり(ドラゴン)って勇ましいな」

「ふ、ふむ、そうか……。ワシの名はリアンだ」

「リアン()()か。グレンが名付けたの?」

「そうだ。あまりジロジロと見過ぎてやらないでくれよ。それと、リアンはオスじゃなくてメスだから『くん』じゃなくて『ちゃん』な」


 指摘されたリービルがリアンに「そっか、ごめんね」と手を合わせて軽く謝るが、リアンは気にしていないらしい。


「グレンの使い魔も見せてもらったし、じゃあ今度は私の使い魔を紹介するね」


 リービルが指笛を鳴らすと、領主邸の二階の窓から使い魔らしき生き物が勢いよく飛び出し、目の前で着地し現れた。


「きゃっ! と、虎……ですか?」


 ルウナの言うとおり虎っぽく見えるが、リービルが首を横に振る。

 確かに虎より巨体で、茶色い胴体と手足の暗めの赤色が特徴的な魔物だ。


「この子は疾射尾猫(プダッシュタイガ)のルビ。私の使い魔だよ。ルビはただの虎より足が早くて、走る直前に足の赤い体毛から爆風が出て目にも止まらない速さで走るんだ」


 リービルは説明(自慢話)しながら使い魔ルビの(あご)を撫でる。

 するとまるで猫みたいに気持ちよさそうな表情を浮かべ始める。

 凛々しい風貌だが、意外と甘えたがりみたいだな。


「撫でてみても、良いですか?」

「もちろんいいよ、ルウナちゃん。ほら、手を伸ばして」


 リービルに誘導されて恐るおそると手を伸ばすルウナ。


 人の使い魔だと分かっていても、可愛い妹が猛獣(もどき)に近くとなると心配でしかない……。


 しかし当然と言えば当然、そんな心配は要らずにルウナがルビの顎を撫でると気持ちよさそうに喉を鳴らしている。


「なんだが本当に大きな猫みたいで可愛いです、お兄様」

「そうか、良かったな。……で、リアンはどうしてそっぽ向いているんだ?」

「この猫……美味そうではない」

「当たり前だろ! というか、キキの使い魔の時もそうだったけど、そういう事を考えるのはやめなさい!」


 チラリとリービルたちの様子を確認したが、特にオレたちの方を見てはいなかったのでセーフ。

 リービルたちに聞こえないくらいの小声で良かった……。


 胸を撫で下ろしていると急に、リービルがルウナの補助をしていた手を止める。一度沈黙していたが、しばらくして「あ、そうだ」と笑顔を浮かべる。


「ルウナちゃん、ルビの背中に乗ってみる?」

「へっ……? ええっ!? の、乗るって、大丈夫なんですか?」

「平気、平気。ほらルビ、ちょっとしゃがんで乗りやすくしてあげて」


 オレが止める間も無くリービルに(なか)ば強制的にルビの背中に乗せられていくルウナ。

 すると、オレの横に立っていたリーリクがため息を吐いて首を小さく振っていた。


 どっ、どうしたんだ……?


「じゃあ、しっかり掴まっているんだよ」

「は、はひぃ……」


 緊張して固まっているルウナを置いて、どんどん進めていくリービルが「行っておいでルビ!」の掛け声と共に、まるで突然消えたように見えるくらいの走りで近くの草原に向かって走っていってしまった。

 ルウナの叫び声があっという間に小さくなっていく。


「……リアン、大丈夫だと思うけど、念のため飛んでルウナの事を見ててくれ」

「ふむ、分かった」


 素直に了承してくれると、リアンは翼を羽ばたかせて空中に上がり、ルビが走っていった方向へと飛んでいく。

 さっきのお留守番もそうだけど、段々とリアンもルウナの面倒見が良くなってきたみたいで良かった。


「――さてと、これで心配をかける相手もしばらくは帰ってこないし。じゃあグレン、お願いがあるんだけどさ……」

「うん? どうした急に……いっ!?」


 ゆったりとこっちを見てくるリービルに顔を向けると――。


 目尻が釣り上がった鋭い視線が突き刺さり、リービルから強烈な威圧を感じる。


 やばい……!

 リービルが怒ってる。すごく怖い顔になってる!


「えっ、つっ、あっと……オレ、何かしてしまったか……?」


 ガタガタと震える足を押さえてそう聞く。するとリービルは一度顔を伏せると、すぐに顔を上げて元の笑顔に戻していた。


 ……いや、ころころと表情が変わって(なお)のこと怖いから!


「……小さい頃みたいに、久しぶりに戦闘の訓練をやらない?」

「えっと……どうして、ですか?」

「どうしてって、ただ久しぶりに手合わせをお願いしたいだけだよ〜。別に……」


 笑顔を浮かべているリービルだが、次第にその笑顔に影が出てきているように見える。


「私の大事な使い魔におかしな感想をほざいて、()()に『美味そうではない』とか、変ないちゃもんをつけられたから怒っているわけでは無いよぉ……!」


 あっ、聞かれてたんだね。流石は獣人様は聴覚がいいみたいだぁ……。


「りっ、リーリク……!」

「いや、流石にこれはグレンの使い魔のリアンちゃんが悪いと思うよ」


 頭をかきながら明後日の方向を見ていて、目を合わせてくれない。リーリクにも聞こえていたらしい。

 救いの手は無しですか……。


「グレン……?」

「わっ! 分かったから、やるから! だから少しだけ落ち着いてくれ……!?」


 もうやるしか無いようだ。


 帰ってきたら本格的にリアンにお説教しないといけないな……。

明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いいします。

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