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異世界冒険活劇 ~チートなしでも英雄になれますか?~  作者: 飛騨 栄治
1章~冒険者として~
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第3話 猛特訓!冒険者セミナー

「おらおらおら!走れ走れ!」

現在、ユウら新人冒険者は闘技場の中を走っていた。タイム制の持久走、15分間ひたすら走り続けなければいけない。


「そんなノロマな足じゃ、いざという時逃げ切れんぞ!」

この持久走には、2つの意味がある。1つは単に体力強化のため、もう1つは想定外の状況に陥った際にその脅威から逃げ切る脚を作っているのだ。


「よし!終了!」

先頭を走っていたレイヴンが止まって、後続の冒険者たちに告げた。

冒険者達はというと、息も絶え絶えで疲れきっている。ユウも例外に漏れず今にも死にそうな顔をして膝をついていた。


「やあ、大丈夫?」

顔を上げると青い髪をした少年と、正反対の赤い髪をした少女がいた。

「ああ、ありがとう」

(ちゃんと聞こえただろうか?うまく喋れている気がしない...)


「初めまして。僕はホーメル、こっちは妹のレミです」

「こちらこそ初めまして、ユウです」

こうして、冒険者になって初めての友人ができた。


次の剣術の講義までの10分間の休憩の間、3人はこれまでのことについて話し合っていた。

どうやら、ホーメルとレミは兄妹で、2人とも13歳とのことだった。今回のセミナー参加者の中では最年少らしい。


「次は剣術についてだ。君たちの中で剣に覚えがある者はいるか? よし、君たちはあの冒険者に教えてもらえ。その他は、私とこっちの冒険者が受け持つ」

レイヴンの問に対して4,5人が手を挙げ、続けて指示を受けた。


「さあ、もっと腰を入れて!素早く、滑らかに!」

レイヴンや教育係の冒険者から檄が飛んでくる。今振っているのは練習用の木刀であるが、中にはユウと同じく握るのも初めてというものはそう少なくない。


「おい!矢を撃つ時に上半身が動きすぎだ!」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「あーーつかれたーーー」

7時間のセミナーが終わったギルドの前には、疲労困憊し情けない声を出すユウの姿があった。

周りにも、やつれた顔の若者たちが恨みごとを呟きながら項垂れている姿がある。


(ホーメルとレミはもう帰っちゃったし、俺もそろそろ帰るか)

エルは新しくできた友人に住んでいる場所を聞き忘れたことを後悔しながら帰途につくのであった。


翌朝

冒険者ギルド


「あれっ・・・」

昨日は十数人いた新人冒険者が、今日は8人ほどしかいなかった。

「おはようございます!ユウさん」

「おはよう!」

声が聞こえてきた方を見るとホーメルとレミがいた。

「おはよう、2人とも」


どうやら、セミナー二日目に人数が減るのはよくあることらしい。2人に言われて、フィルに貰ったセミナー説明用紙をよく見ると

____________________

※セミナーは非常に厳しいものとなり、二日目から参加者が減少する傾向にあります。

____________________


「こんなこと書いてあったんだ...」

「ちゃんと読みましょうよ...」

正直、日時と持ち物くらいしかよく読んでいなかった。ホーメル君を見習うべきだろう


そして、また持久走、剣術、弓術のセミナーが始まった。


「よし、今日はここまでだ!」

レイヴンの声と共に冒険者たちが倒れ込んだ。

「明日は、持久走の代わりに【魔法ギルド】と【医療ギルド】の方をお呼びして初級魔法と薬草について教えていただくことになった。」


もちろん魔法にも回復魔法という部類のものはある。しかし、もしもの時MPが無くなっていたら?そんな時に使うのが薬草だ。 だから、多くの冒険者はカバンに簡易的なすり鉢を持っていることが多い。


「ユウさん!よかったら一緒に夜ご飯食べませんか?」

セミナー終わりギルドの前でホーメルが尋ねてきた。

「ああ、もちろん」

(ついでに宿のこととかも聞いておかないと)


二人に連れらて来たのは街の中心部から少し外れたところにある【ホルペンス亭】というお店だった。


「ここのお店はポルーガのステーキがオススメなんですよ♪それから・・・」

ホーメル君が色々なオススメ料理を教えてくれた。横にいるレミが、ウンザリした顔でこちらを見てくるので苦笑いで答えた。


ポルーガとは体長1m~2mほどの草食獣である。食用に適していること、比較的大人しい性格であることから飼育されているものもいる。


そして、夕方から始まった3人の宴は長く続いた...



「さあ、こちらが【魔法ギルド】のペイリーさん、【医療ギルド】カムルムさんだ。まずは初級魔法を、その後薬草学を学んでもらう。」


魔法指導の際は、各自に魔法書が配られペイリー指導のもと回復魔法、火魔法、水魔法、土魔法などの初歩的技術を学んだ。

薬草学の際は、様々な薬草、毒草が書かれた書籍が配られカルムル指導のもと見分け方、煎じ方、塗り方などを学んだ。


正直、参加者にとって今日ほど救われた日は無いだろう。地獄の持久走から開放されら怒号が飛ばない中座学ができたのだから。

と...思っていたのだが


「さあ、座学は終わったな。お次は剣術、弓術、格闘術、後は棒術もだ!」

一気に青ざめる新人冒険者たちの顔がそこにはあった


「っつー 」

棒術が実戦から始まったのは全員にとって衝撃だった。

(まったく何なんだよ... いきなり実戦なんて聞いてないぞ!身体中アザだらけだし・・・)


棒術が実戦から入った理由はただ一つ、レイヴンでさえ実戦で棒術を使うことがほとんど無かったため教えようが無かったのだ。


こうして、また一日一日と冒険者セミナーの日々は過ぎていった。


翌週からは、レイヴン教官達と合同の魔物討伐が開始された。幸い怪我人はでず、無事にセミナーを終えることになった。

しかし、最終的に残ったのは5人だった。まあ、セミナーに出ずに長年冒険者をやっている者もいる、逆にセミナーに出ても若くして死ぬ者もいる。


だからこそ、歴代の冒険者の中にはこのようなことを言う者もいる。

“所詮、冒険者は運である”・・・と


「諸君、よく2週間のセミナーを切り抜けてくれた!しかし、慢心も油断も決してするな!自分が弱いことを自覚し少しでも強くなるよう励め!解散!!」


やっとだ、やっと終わったのだ。

セミナー終了後、全員がギルドカードの更新をした。


ステータス

_____________________


名前 ユウ

職業 冒険者

レベル 15

ランク E

HP 228

MP221

攻撃217

防御227

魔攻205

魔防195

スキル [剣術Lv3][棒術Lv2][格闘術Lv3][弓術Lv2]

魔法 [火魔法Lv3][水魔法Lv2][土魔法Lv1][回復魔法Lv3][クリーン魔法Lv3]

加護 無し

_____________________


こうして、激動の2週間は終わりを告げた・・・・・・

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