閑話~道中~
だいたい30分くらいたった後であろうか、ユウはフィルに尋ねた。
「そのエルミントって街にはどれくらいかかるんですか?」
前を歩いていたフィルが振り返って答えた
「あと1時間くらいかな。もうすぐ森を抜けるからね、見えてくると思うよ♪」
(あと1時間だと、だいたい5kmくらいかな?
どんな街なのか早く見てみたいなー)
などと考え事をしていると、レガンがこちらを振り向いて
「そういえばユウは何歳なんだ?」と尋ねてきた。
「19ですよ。」
言った後でハッと気づいた。年齢だけ覚えているというのは不自然だろうかと。
「だと俺の5つ下なのか。弟みたいなもんだな!」
(良かった、レガンさんそんな繊細じゃなかった...)
「私より240歳くらい若いですね。」
衝撃の言葉をサラリと言い放つフィル。
(そういえば、エルフは長生きなんだっけ)
「あっ1つ言っておきますけど、エルフ族の240歳っていうのは人間で言う24,5歳ですよ?お爺さんだなんて思わないでくださいね?」
(思わないですよ。見た目若すぎますし...)
「そんな風に思ってないですよ」
「ほんとですか?少し顔が笑っているように見えますね。」
とてつもない洞察力である。これは、エルフ族の特性か、フィルの特性なのか...
「おっ見えてきたぞ!エルミントだ!」
そんなことを話しているとレガンさんが、俺の方を向いて大声を出した。
そして、目の前に見えたのは高々とそびえ立つ壁だった。真ん中の方には門があり幾人かの兵士達が立っていて、商人や冒険者たちの検問をしていた。
「街に入るには、ああして検問を通らなければ行けないんです。そして、検問を通過する時に役立つのがこのギルドカードです。」
フィルが懐から鉄かなにかで出来ている1枚のカードを取り出して言った。
「これには様々な情報が入っています。自分の体力やスキル、どんな魔法が使えるかなどね。そして、故意に犯罪を犯した場合はそれも自動で記録されるんですよ。」
なるほど、ほんとに不思議なカードだ。
(でもどういう仕組みなんだろ?)
「そしてですね。なんでそんなそんな事ができるのかと言うと・・・」
「おいおいフィル...そんな長ったらしい話しは止めろよ。ユウ、こいつは話し出すと止まらなくなることがあるんだ。」
呆れ顔をしたレガンが2人に向けて言った。
(まあ、そんなに言うならこれ以上聞くのは止めておこう)
さあ、もうすぐ街だ。