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異世界冒険活劇 ~チートなしでも英雄になれますか?~  作者: 飛騨 栄治
2章~新都市へ~
12/29

閑話2~迷宮探索(フィル、レガン)~

ユウが迷宮探索している時やミノタウロス、オーク出現時のフィル、レガン側の物語です


その頃の9階層(フィル、レガン)


「おらー!」

レガンがリザードマン三体と斬り合っていた。

一体の体を横に一閃、もう一体を蹴り上げる。


後ろから切りかからんとしているリザードマンを、フィルが素早い弓の連射で仕留めた。


「危なかったかい?」

鼻で笑いながらフィルがレガンに聞く


「あれくらい避けられる」

リザードマン達の血を拭き取っていたレガンが横目にフィルを見ながら答えた。


「今ごろ彼はどうしてるかな・・・」

少し遠いところを見るような目でフィルがボソリと呟いた。


「ユウか?たぶんまだ、一階か二階だろ」

そんな無茶をするやつじゃないさと笑いながらリザードマン達の心臓部から藍色の魔石を取り出した。


『冒険者ギルドからの緊急連絡!

6階層において階層超えの魔物が発生!

魔物はオークとミノタウロス、その他にも階層超えがいる可能性がいるので各自避難してください。

また、A,Bランク冒険者には緊急協力要請!

今から2時間後に、6階層に集合してください。』


どこからともなく聞こえる女の声が迷宮内を駆け回った。


「だ、そうだ。」

やれやれとといった表情を浮かべ、腰に手を当てながらレガンが呟くと


「君は気楽そうだね・・・」

頭に手を当て、参ったなとした顔でフィルも呟く


「あと2時間か・・・転移魔法は?」

階層超えが現れた今、何の目的もなしに長時間迷宮に滞在する事は危険だ。


魔力の消耗は激しいが、できるならば転移魔法で外に出るべきだ。


「ああ、問題無い。ポーションもあるから出撃前に飲めば大丈夫だろうし」


「じゃあいくよ」と呟きながらフィルが転移魔法を唱えると、忽然と二人の姿が消えた。


____________________


・転移魔法

行ったことのある土地に転移することができる魔法。


高ランク冒険者や魔法を得意とするエルフなどでしか扱うことができない。


彼らは、その魔法を使い迷宮内を行き来することがある。しかし、ポーションが無いと魔力切れを起こすことがあるので注意が必要となる。


ただし、街中や王城には対転移の阻害魔法があることが多い。


転移可能なのは「迷宮内から外、外から内」、また「街への転移の場合は街の門前」となる。


____________________


二人が迷宮の外へ出ると、既に数十人の冒険者達がフェルナンドの元へ集まっていた。


これから、数十人規模の高ランク冒険者による階層超え魔物討伐戦が始まる・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


冒険者たちが6階層に行くと、そこには敗者となったのであろうオークの死体があった。


「ここに血が!あちらへと続いてる!」

一人の冒険者が、そう声を上げ全員がその冒険者に注目した。


「急ぐぞ!!」

フェルナンドが声を上げ、全員の冒険者が彼に続く。


「いた・・・」

体長約3.5m、巨大なミノタウロスが斧を持ったまま冒険者たちを見つめていた。


「ヴルォォォォォォォォ!」

斧を振り回したミノタウロスが冒険者たちへと猛突進する。


冒険者たちは、フェルナンド指揮の元まずは魔法をそして斬撃を放っていく。

そして、ミノタウロスの動きが鈍ったところに多くの矢が降り注いだ。


しかし、ミノタウロスは凄まじかった。


ここにいた多くの高ランク冒険者達でさえも、この光景は異様なものだった。


そもそも、ミノタウロスは普通ならば大きくても体長2.5m。それよりも1mもでかい化物だ。


また、階層超えは普通の魔物より強いモノがでることはある。

しかし、このミノタウロスは異常だった。


それから1時間・・・


「はぁ・・・はぁはぁ」

冒険者たちは、息を切らしながら先ほどまで闘っていたミノタウロスの死体を見下ろしていた。


死者はかろうじて0、しかし負傷者は8人。


負傷者はポーションではどうにもできない程の大怪我だったので転移魔法により迷宮外に出された。

その後【医療ギルド】へ運ばれ回復魔法のスペシャリスト達によって治療された。


後の報告によると冒険者達は全員完治したらしい。


これは不幸中の幸いか、医療ギルド職員の技の賜物か・・・


こうしてフィルやレガン、多くの高ランク冒険者にとっての長い長い夜が終わった・・・・・・



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