~想い~
4話です。急いで文章書いた感半端ない…。
毎回私、投稿し終わったあと文章確認して少しだけ気になったところは変えてるんです。まあ、それでも誤字とかはあるんですが…
ルイトに助けられてから暫く押し倒されたその状態で様子を伺っていると次第に敵の足音は遠ざかっていった。どうやらシノハ達を見失ったらしい。静寂に包まれた夜闇に浮かぶ月は不気味なほど輝いている。
「…何故。敵なのにどうして私を助ける」
体勢を直したルイトにシノハが尋ねる。率直な疑問だった。あの状態なら加勢してシノハを倒すことも可能だったはずだ。否、普通ならそうするに違いない。それなのに放っておくこともせず助けたのが理解できなかった。
「知らねえよ…」
シノハの問いに視線を逸らしながら素っ気ない返事を返すルイト。
「何故対面した時は私に剣を振るっていたではないか」
真剣な表情をして尋ねるシノハ。その月光に照らされた横顔は鳥肌が立つほど美人だった。腰まである髪を束ねた黒髪からちらりと覗く白い肌。頬に程よく赤みがさしていて、鼻筋はよく通っている。年齢とかけ離れた大人びた顔立ちに、本当に十八なのかと疑ってしまうほどだ。
「…別に。あん時一発でお前を仕留められたら俺だってこんな風にはならなかった」
腕の傷口を抑える手を強めるルイト。
「…まあ実際、私自身も何故お前に留めを刺せなかったからな。でも、何故留めをさせなかったのかわからない」
シノハは気まずそうに一旦視線をそらすと、まだ出血しているルイトの腕を一瞥し、そっとその腕をとった。そしていつも腰につけているポーチから包帯を出すとルイトの腕に添えた。
「っ、シノハ…。お前だって俺を助けようとしてんじゃねーか」
「それは…今助けてもらったお礼だ。それに、私はもっとお前とは闘いたい。こんなに戦力がある敵は初めてだからな」
敵と馴染んではいけない事くらいわかっている。だから今も直ぐに手当てを済ませようと思った。止血のため出来るだけきつく包帯をルイトの腕に巻き、手当てをおえるとシノハはそのまま立ち上がった。
「貸しは返した。…手当ては終わりだ。次会うときは…こんなことしない」
横に置いてあった剣を取るとシノハはそのまま鞘に収めた。振り返らずにその場を立ち去ろうと一歩踏み出したその時。
「なあシノハ…俺、ずっと___」
ルイトが何かを呟いたかと思うと、思い切りシノハの腕を引きよせ、そして優しく包み込んだ。
「なっ、何をする…」
突然の出来事に戸惑うシノハ。振り払おうと必死にもがいていたが、じわりと背中に広がる体温に思わず動きを止めた。シノハを優しく包み込む腕。それがどこか懐かしい感じがして、シノハは一瞬抱きしめているルイトの手を自分の元に引き寄せそうになったが、我にかえったようにルイトの腕を離した。
「……私はもう戻る」
シノハは振り払うと区切りをつけるように、足早にその場を離れた。
「もう、本当に終わりなんだな…シノハ。もう…あの時には戻れない」
シノハの姿が見えなくなった後に発した切羽詰まったように呟くルイトの声は、シノハに届くことなく闇の密度が濃い夜空にゆっくり溶け込んだ。
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暫く無言で歩を進めていたシノハは森の出口付近まで行くと、先程の出来事を思い出すように振り返った。光すら届かない森の奥に続く道が目先に広がる。
「…私は何をしているんだ」
胸元につけてある無線機に視線を移す。結構何も出来ずに、合図を出さずに終わってしまった。
ルイトを仕留められなかった自分の無力さを悔やむ様に吐き出した声が、静寂に包まれた森に小さく響く。自分自身でも何故留めをさせなかったのかよくわからなかった。怪我を負わせるところまでは普段と変わらずできたのに、確実に倒せたあの時を逃すなんて、まるで自分ではないみたいだった。今考えてみるとルイトの正体についても未だに謎だらけだ。
__でも私が見たあいつの顔は確かに何処かで見た気がした。
思い出すたびに胸が苦しくなる。ルイトを見ると何かが詰まったように上手く息ができない。
前髪の隙間からわずかに見える切れ長の目。声質とあの力強い腕力と透き通った瞳。考えれば考えるほど謎が深まり、わからなくなってくる。だが、いつ迄もこの状態を続けるわけにはいかない。相手は何がどうあれ敵なのだ。いづれは本気で闘い、討たなければならない標的。シノハはその責任を重んじながらおもむろに瞼を閉じ、そして開いた。自分に言い聞かせるように、気持ちを切り替え普段の調子を取り戻すように___
今回結構あれですね…。なんか、話が暗い(?)
短いかな?これ、毎話の文字数確認できればいいのに(T . T)