〜少年〜
2話です!文章ちゃんとまとまってるといいな。
誤字脱字あったら教えてください!お願いします←(誤字多発野郎)
会議室の扉を開けたシノハは護衛、騎士を含むみんなが集まったのを確認すると侵入法を告げた。シノハは戦闘時にみんなをまとめ、指揮する立場だからか定期的に自ら会議を開く事が多い。
「先ほどリオカから話があった。最近建物を破壊し、この世界を支配しようと計画している奴の正体がわかったと」
そこでだ、とシノハは言う。
「今回、その敵のアジトに向かおうと思う。私が先に敵のアジトに行き、中を探索する。私以外は無線機を通した合図とともに敵のアジトに向かうことをお願いしたい。合図がなかったら来なくてもいい。もし合図があったら、リオカは私とアジト内に、それ以外は敵のアジトに繋がる森の出入り口付近で待機してほしい」
騎士達に振り返ったシノハの一つに束ねた黒髮が、窓から吹き抜けてきた風に靡く。人間離れした美貌と優れた戦闘能力。二つを持ち合わせている彼女は、何があろうと決して揺らがずに敵を斬りふせるという冷酷な心をもっていた。今までもずっと敵を構わず倒し、命を奪ってきたのだ。十八とは思えないくらいに。
騎士達が侵入法に賛同する。それを耳にしたシノハは解散、と短く告げると一足先に会議室を後にした。アジトに向かう準備に取り掛かるために部屋に向かって暫く足を進めていると、パタパタと廊下を走り、忙しく追いかけてくる足音が聞こえてシノハはおもむろに振り返った。
「リオカ…?どうした、私に何か?」
「シ、シノハさん!本気なんですか?シノハさんの護衛もつけないで敵のアジトに向かうなんて…」
戸惑いと不安が入り混じったような表情を浮かべる。その表情をみたシノハは短く息を吐くとリオカを見据えた。
「そうだな…最悪の場合、命を落とすかもしれない」
シノハの言葉に、リオカの瞳が一瞬揺らいだ。ガラス玉のようなリオカの瞳に映し出されるシノハは無表情だった。まるで、死を覚悟しているような__一切死を恐れていないような表情だった。そして、揺らがない意志さえ感じさせる瞳。言っていることと態度が真逆なシノハにリオカは恐怖心を注ぎ込まれた。
「__なんて、冗談だ」
「……へ?」
リオカの心境を悟ったのか、ため息まじりに言葉を吐き出しながら告げるシノハ。思わず素っ頓狂な声が出てリオカは口を塞いだ。
「私に限ってそんな事があるはずないだろう。私は命を落とさない。この世界を救うためにも」
それが自分の使命だと言うように大人びた顔立ちをしている口元に柔らかな微笑を浮かべる。そこには僅かに悪戯めいた笑みも混じっていた。
「なっ、シノハさん、冗談にも程があります!シノハさんが言うと冗談に聞こえません!」
「くっ…ははっ」
笑いを噛み殺すようにくくっと喉を鳴らすシノハ。そのせいで目尻に浮かんだ涙を拭いながらシノハは言った。
「ふっ…リオカの反応は相変わらず面白い」
「お、面白がらないで下さい!」
「リオカの反応が面白いからだ。仕方ないだろう」
「…シノハさん、相変わらずですね」
「そうか。でもまあ、今のは半分嘘で……半分本当だ」
シノハが最後の言葉を濁らせて呟く。リオカはシノハの言葉が聞こえなかったのかもう一度聞き返そうと口を開いたが、言いたくないのかシノハは無言でかぶりを振るとそのまま踵を返した。
「シノハさん…?」
「__今から敵のアジトに向かう。リオカは私の合図がしたら騎士達の指導を頼む」
先程とは打って変わってシノハは真剣な眼差しをリオカに送る。それに応えるようにリオカはゆっくりと頷いた。コツコツとアジトにシノハの足音が遠ざかってゆく。もう沈みかけている夕日が小窓から差し込み、アジトの絨毯をオレンジ色に染めていた。
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シノハが森に近づくと、薄暗い道が不気味な雰囲気を醸し出していた。森は微かな物音さえ聞こえず深閑としている。
…成る程。随分と道が狭いな。
用心深くシノハは辺りを見回した。道が狭いどころか、視界を遮る様に樹が聳えていて敵が何処から襲撃してくるのかもわからない。いつでも敵に向かい打てるようにあらかじめ剣を構え森に足を踏み入れた時、不意に木の葉が擦れる音がしてシノハは即座に飛び退いた。地面を見るとシノハが先程まで立っていた場所に銀色に輝く鋭い刃が突き刺さり、地面を貫いていた。突き刺さった事で抉られた土が彼方此方に飛び散る。正面を見ていると黒いフードを被った、シノハと同じくらいの少年が真上から目にも留まらぬ速さで飛び降りてきて地面に着地した。顔は一切見えないが、此方に頭を向けたかと思うと地面に刺さっていた剣を抜き、突如シノハに襲いかかってきた。瞬時に身を翻し、攻撃を交わしたシノハは身をかがめながら少年の腕に狙いを定めて刃を滑らせる。が、すんでの所で少年は交わし体勢を整えた。
……こいつ、何者だ。
初めてだった。シノハの攻撃をすんでの所だったとは言え、交わしたのはこの少年だけだった。少年が羽織っている黒い上着にはシノハの刃が破ったと思われる跡は付いているものの、怪我までは負っていない様だ。
「な、んで…何で1発で仕留められねえんだ」
少年が悔しそうに唇を噛みしめる。
「仕留めらるわけにはいかない。ところで…お前の名は?」
シノハは少年を見据えた。
「…ルイトだけど…お前知らね?」
「成る程…いや知らないな。ルイト、なぜ私がアジトに侵入しようとしているのがわかった?」
「…っ、知らね。でも何となく''シノハ''が来ると思った」
ぞわりと全身の血が引いていく様な感覚がした。冷汗がシノハの背中に伝う。名を告げていないのに、ルイトはシノハの名前を知っていた。それが不気味で仕方なかった。
「お前…シノハだろ?」
ルイトが追い打ちをかけるように続ける。
「何者だ。ルイト…何故お前は私の名前を知っている」
「…''俺は''知ってる。でも多分''お前は''知らないよ」
ルイトの冷たく言い放った言葉が氷刃のように心に突き刺さる。声色とは対照的に、フードから見える口元は僅かに歪んでいた。まるで押し寄せる苦痛に只管堪えるように__
2話にいきました。なんか1話短かったような気が…する(汗)これからは出来るだけ同じ長さで書けるようにします。
やっぱファンタジーは戦闘シーン難しいな。
見てくれた方ありがとうございます!