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世間を騒がせる天才怪盗は、二次元廃人でした。  作者: 桐原聖
引きこもり怪盗と囚われの姫
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プロローグ 

 前作を読んでくれている人はこんにちは。読んでいない人は初めまして。

 読者の皆さんに、「面白い」と思ってもらえるような作品を作っていきたいと思いますので、

 応援よろしくお願いします。

 満月が、ビルの屋上を照らしている。


「ったく、いい月夜だな」


 そこに、一人の男が立っていた。黒いニット帽を被り、手には五本の指が動くように包帯を巻きつけている。片目には怪我をしているのか眼帯をしており、もう片方の目は赤い。ワイシャツに黒いマントを羽織っており、首にはマフラーを付けている。


 一言で言えば、ただの痛い奴だ。


「くくっ」


 男の喉から、奇妙な笑い声が漏れる。男はズボンのポケットから白いボールを出すと、一〇メートルも離れている向かいのビルに向かって投げつけた。ボールは空中で弾けると、四方八方に粘着性のある白い糸を飛ばした。巨大な蜘蛛の巣の出来上がりである。


「さてと、さっさと終わらせてゲームでもするか」


 男は呑気そうに言うと、白い糸の上を歩き始めた。蜘蛛の巣の上を綱渡りの要領で、危なげなく渡っていく。向かいのビルの屋上まで着くと男は針金を取り出し、屋上のドアに入れた。そして針金をいじる事五分。男は悠遊とドアを開け、中に侵入した。


「セキュリティは切ってあるんだよな」


『当たり前だろ。ていうか、今この会社のシステムはこっちの制御下にあるんだから、普通に入り口から入ればいいのに。何でわざわざ道具使ってんだよ。そもそも、お前の跳躍力なら十メートルくらいジャンプできるだろ』


「馬鹿だな。それだと面白くねえんだよ。いいか、この業界では『いかに華麗に盗み出すか』が勝負になって来るんだ。覚えておきたまえ」


『ピッキングは華麗と言えるのか?』


 耳に付けたインカムで仲間と通信しながら、男は階段を降りる。


 五階に着いた時、男は呟いた。


「おい、ちょっと遊ぶぞ?」


 男の言葉の意味を察したのか、仲間も平然と了承する


『構わないぞ。好きにやれ』


「ああ、好きにやらせてもらうぜ」


 男が答えた瞬間、警備用ロボットが柱の影から襲い掛かって来た。外部のセキュリティと接続していないため、セキュリティが停止していてもまだ動くのだろう。ロボットは脚部のローラーを駆使して数秒で

男に接近し、機械の剛腕を振り上げる。


『侵入者ヲ発見。直チニ排除シマス』


「くくっ。お前がこの俺様を倒すだと? 馬鹿言うんじゃねえ」


 男が嗤うのと、ロボットが腕を振り下ろすのが同時だった。振り下ろしたロボットの腕はしかし、男の右肘に弾かれる。予想外の出来事だったのだろう、ロボットの動きが数秒、停止する。


「悪いな。《叛逆未遂はんぎゃくみすい-----」


 男が手を腰だめに添える。先ほどのデータをバグと認識したのか、ロボットが再度剛腕を振り上げる。


『排除、開始』


いかずち》!」


 男がロボットの腹を殴り付ける。ロボットは吹き飛ぶと、壁に叩きつけられ爆散した。もう見る影もないその形に、男は笑う。


「くくっ、じゃあな」


 男は楽しそうに言うと、階段で四階に向かった。


 

 


『そう言えば、明日英語の課題提出らしいけど大丈夫なのか?』


「いいんだよ、どうせ明日サボるから。お、四階ってここか」


 目的の階に入り、男は部屋の中を見回す。


「ここが振り込め詐欺グループのアジトかよ。金庫は?」


『部屋の一番奥だ。もうすぐ警備員が見回りに来る。手短に終わらせろよ』


「俺を誰だと思ってんだよ。ダイヤル式の金庫くらい一分あれば充分だ」


 言いながら男は金庫を開けてしまった。三十秒もかからない早業だ。


 金庫の中にはこれまで振り込め詐欺で稼いできたであろう札束が、高く積み上げられていた。おそらく百万円は超えるだろう。男はポケットからビニール袋を取り出すと、札束を全て中に入れた。


『なあ、無差別に金を盗んでないで、バイトしたらどうだ?』


「馬鹿野郎。俺は働く気はないって何回言ったら分かるんだよ。それにな、悪は同じ悪が滅ぼすべきだ。そう思わないか?」


『その理論で行くと、いつかお前も滅ぼされるぞ』


「かかっ、その時は潔く諦めるさ」


 インカムの相手は、しばらく黙った後、言った。


『悪いがオレは、お前と一緒に捕まる気は毛頭ないぞ。万が一お前が捕まりそうになったら、即手を切らせてもらう』


「随分と冷てえな、オイ。まあいいや、それよりアシは確保できてるか?」


『ビルの裏に車を止めている。早くしないとサツが来るぞ』


「予告状は送ったのか?」


『つい一時間前にな。遠くからサイレンの音が聞こえて来る。急いで脱出しろ』


「了解」


 男は金庫の蓋を閉めると、懐からスプレーを取り出した。不良が落書きに使うような物である。スプレーを壁に噴射し、文字を書いていく。プシュ―、という快音が鳴り、ビルの白い壁が赤い塗料に汚されていく。


「これで良し、と」


『怪盗〝ヘルズ〟参上!』と書かれた壁を見て、男は満足そうに頷く。


その時、ドタドタという足音が、階段から聞こえてきた。そして、階段から一人の刑事と複数の特殊部隊がなだれ込んで来た。

  

 刑事が前に進み出て、男に向かって怒鳴る。


「おのれヘルズめ! 今日こそは逃がさんぞ!」


「正確にはヘルズ・グラン・モードロッサ・ブラッディ・クリムゾン・ライトニングだけどな」


 男は軽口を叩きながらも、インカムで仲間と通信する。


「おい、どうなってるんだよ!」


 すると、インカムから涼しげな声が返ってくる。


『ああ、実は予告状が送られた事にそいつがいち早く気がついてな。上層部に許可を取る時間も惜しんで来てくれたってわけだ。いい友達を持ったな、ヘルズ』


「おい、警察が来るのはまだ先じゃなかったのか」


『警察はまだ先だぞ。親友と特殊部隊は先に来たけどな』


「馬鹿にしてんのかぁぁぁぁぁ!」


「おいヘルズ、今日という今日は貴様を逮捕する。流石に貴様でも、軍の特殊部隊には勝てまい」


 刑事が手を上に掲げる。特殊部隊が銃を構える。さながらそれは、一点に集められたスポットライトのようだ。


『だってさ。友達は大事にしろよ、ヘルズ』


「ったく、後で覚えとけよお前」


 男はガリカリと頭を掻くと、ポケットから赤いボールを取り出した。それを、高笑いしている刑事目掛けて投げつける。


「それっ!」


「うわっ! な、なんだ!」


 刑事が驚いて、赤いボールをはたき落とす。その途端、ボールが破裂した。キィィィィィィン、という音が、辺り一面に響き渡る。


「ぐ、ぉぉぉぉぉぉぉ!」


 まるで黒板を爪で引っ掻いたような音に、刑事が耳を押さえて絶叫する。特殊部隊も高音に対する処置はしていないのか、苦悶の表情を浮かべている。


「どうだった、〝悪戯専用音爆弾〟の威力は?」


 男は楽しそうな笑みを見せると、窓まで走り飛び降りた。落下中、壁を蹴り勢いをわずかに殺し、地面に足から落下する。足首に衝撃が走るが、なんの事はない。


「遅いぞ。あと三〇秒でサツが来る。その前にずらかるぞ」


 黒塗りの車の中から声がする。逃亡用に止めてあった車だ。


「はいはい。じゃあこの前みたいに警察とカーチェイスしようぜ」


 助手席に座りながら、男が言う。仲間の男が、苦い顔をする。


「却下だ。行くぞ」


「えー、いいじゃんお堅いなー」

 男の言葉は黙殺された。


 文章力が低い部分が多々あります。ご了承下さい。

 また、感想でもっとここをこうした方がいい、というようなアドバイスを書いてくださればどんどん取り入れていきますので、何かあれば感想お願いします。

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金庫の中にはこれまで振り込め詐欺で稼いできたであろう札束が、高く積み上げられていた。おそらく百万円は超えるだろう。男はポケットからビニール袋を取り出すと、札束を全て中に入れた。 おそらく百万円は超え…
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