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87 救援要請

 俺はマウスを操作し、某巨大匿名掲示板の専用ブラウザを開く。


「……スレの人達、頼みを聞いてくれるかね?」


 俺が掲示板に異世界ネタを投下し始めて、もう1年が経つ。

 当初は、相談に乗ってくれた事に対するお礼代わりにネタを提供していただけだったが、この1年でそれを楽しみにしている人の数は物凄く増えた。

 スレッド番号は気が付けば3桁の大台に乗り、いくつものまとめサイトに転載され、ついにはテレビ番組でも取り上げられたそうだ。

 なんだか事が大きくなっているのに、若干の気後れを感じていたが、楽しみにしている人が多いこともあり、現在まで俺はちょくちょくネタの提供を続けて来たのだった。

 

 掲示板を通して交流しただけの、名前も顔も知らない連中だが、それでも斉藤さん以外では、今の日本において、俺がアプローチを取れる唯一の人達だ。

 

「……ダメで元々、頼むだけならタダだ」


 そう自分に言い聞かせ、スレッドへと書き込みをする。



【迷宮は】異世界から感謝の言葉を189【暗い】


 239 : 1

 こんにちは

 1です

 日本の皆様、いかがお過ごしですか?


 240 : 風がそよぐ名無し

 !?

 本物の1さん?


 241 : 風がそよぐ名無し

 これはまさか来てしまったのか……?


 242 : 1

 本物です

 証明ついでに、動画を1つどぞー

 愛犬フェンの現在の姿となります

 〈動画添付〉


 243 : 風がそよぐ名無し

 おおお、まじもんやぁ!

 1降臨リアルタイムで見るのは初めてやぁ!


 244 : 風がそよぐ名無し

 おー

 本物だ

 てか、そいつ絶対犬じゃないだろ!!(怒)


 245 : 風がそよぐ名無し

 フェンちゃんの最新動画キター!

 ……以前より更にデカくなってるのは気のせい?


~中略~


 413 : 1

 喜んで貰えたようで、何よりです

 実は今回ここに書き込みしたのは、皆さんにご相談、というか助けて欲しい事がありまして……


 まずは話だけでも聞いて貰えないでしょうか?


 414 : 風がそよぐ名無し

 良く分からんが、カモンカモン

 さあ、何でもおじさんに話して御覧?


 415 : 風がそよぐ名無し

 助けて欲しい事って何だろ?

 とりあえず書いてみたら?


 416 : 風がそよぐ名無し

 1には色々とネタを提供して貰ったし

 俺に出来ることならなんでもやるぜー!


 417 : 1

 ではお言葉に甘えさせて貰います

 実は皆さんにとあるモノを探して欲しいんです

 そのサンプル画像がこちらです

 〈画像添付〉

 

 見ての通り、色合いは少々派手ですが小さな石ころのようなモノです

 これが世界各地のあちこちに大量にばら撒かれている筈なんですが、その居場所を特定して教えて欲しいのです


 418 : 風がそよぐ名無し

 これって、ちょっと前にあった謎の流星雨の奴じゃない?

 虹色の不思議な輝きをしてたから、良く覚えてるよ


 419 : 風がそよぐ名無し

 ああ、前に騒ぎになった事件か

 なんか世界各地にその石が降って来たんだよな

 で、確かその石がその場所からうんともすんとも動かせないって話題になってた記憶があるわ


 420 : 1

 恐らく皆さんが思っている通りのモノです

 皆さんにはそれを探して、その在処を教えて欲しいんです

 


 その後、いくつかもの質問に答えてから、俺は一旦掲示板を閉じる。

 俺の頼みに、掲示板は俄かに騒然となったが、とりあえず今のおれに出来ることはやった。

 コミュ障の俺にとっては頑張った方だろう。


 ちなみに掲示板で捜索を依頼した石だが、なんとあれは日本にいた頃の俺と爺の肉体を魔石化したものの一部なのだそうだ。

 どうも、爺が死ぬ前に色々と仕掛けをしていたらしく、俺の転生と同時に、それらは世界中にばら撒かれたのだそうだ。

 死んで異世界に転生してからもまだ世間を騒がせるとは、ホント迷惑な爺だ。


 そしてばら撒かれた魔石は、落下地点に魔力で固定されているらしい。これも爺の仕込みだ。

 それらに色々と手を加える事で、こちらの世界とあちらの世界を繋ぐゲートを開く準備が整うのだそうだ。

 手を加える作業は、斉藤さんたちがやってくれる事になっている。

 中々に面倒な作業のようだが、その分の代金は払うので許して欲しい。

 

 そういう訳で残る問題は、世界中にバラバラに散らばった魔石の位置の特定だ。

 爺曰く、最低でも100は必要とのことで、それらの探索までは流石に斉藤さん達だけでは手が足りないようなのだ。

 

 そこで今俺に打てる手として、掲示板で不特定多数に協力を募る事を考えたのだ。

 それに関して、日本以外の地域での探索はどうするのか、嘘かどうかの判別はどうやるのか、など不安要素は色々思い付くが、今は状況を見守る事に決めた。


 それに、あちらの世界だけではなく、こちらの世界でもやる事は色々ある。

 大半の作業は、ナイトレイン達がやってくれるようだが、それでも最後の調整は、あちらの世界と連絡を取れる俺にしか出来ないのだ。

 

 なし崩し的に俺の肩に乗っかった重みにげんなりしつつ、俺は次にやるべき事へと思考を向けるのだった。


新作の投稿を開始しました。VRMMOモノです。

こちらの方も読んで頂けると嬉しいです。

http://ncode.syosetu.com/n7548dj/

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