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10 家が欲しい

本日更新2回目です。

 フィナと暮らし始めてもう2週間が経過した。

 フィナがリアカーを引けるようになり、商品の輸送効率が大きく上がり、アルとの取引による儲けは更に増えていた。


 俺とフィナの2人は、それぞれ商品の入った箱をいくつも載せたリアカーを引いて、アルの待つファレノ商会へと今日も向かう。


 アルと取引を初めてこの2週間、俺は色々と工夫をしていた。

 一度の取引量を少しでも増やす為にリアカーを購入し、扱う商品も塩だけではなくいくつも増やした。

 中でも特に高く買い取って貰えたのが、胡椒などの香辛料だ。


「今日も沢山持ってきたみたいだね。……そろそろどうやって商品を仕入れてるのか教えてくれてもいいんじゃないかい?」


「悪いなアル。それは流石に教えられない」


「まあそう言うと思ったよ。……だけど気を付けなよ? そろそろ他の商会も勘付き始めている」


「……ああ、分かった。忠告感謝するよ」


 いくら布で商品隠していると言っても、街中でリアカーを引いて歩いている以上、完全に隠し通すのは無理だ。

 何か手立てを考えないとな……。


「しっかしコウヤ。この半月程で凄い額を稼いでいるんじゃないか?」


「そうだな。ざっと3000万Gくらいは稼いでるな」


「……凄いな。全く少しはこっちにも儲けを分けて欲しいものだよ」


「とかなんとか言っておいて、実はそっちも相当儲けてるんだろ?」


 まだそんな長い付き合いではないが、コイツは間違いなくそう言う奴だ。


「ふふっ、どうだろうね。ところでコウヤは商業ギルドには入らないのかい?」


「商業ギルド? なんだそれ?」


「そうか。最近この国に来たと言ってたから、知らないのも無理ないかもしれないね。折角だし教えてあげるよ」


 そう言ってアルが、商業ギルドについて説明してくれた。

 なんでも商人たちの互助組合的な組織らしく、登録していると何かと便宜を図ってくれるらしい。

 俺のような行商人にはそれ程関係は無いが、アルのように店を構えている商人だと色々と影響は大きいらしい。

 登録すると、その商人の格に応じて毎年一定の金額をギルドに支払う必要があるが、その額に応じただけの待遇は得られるので、もし店を持つなら絶対登録すべきとのことだ。


「普通はコウヤみたいな行商人は登録しないんだけど、コウヤは扱ってる商品の額がちょっと大きいからね。登録しておいた方が、後から問題が起きにくいかもしれない」


「そうか。教えてくれて助かった。考えておくよ」


 半月で3000万G、日本円で言えばおよそ3000万円相当を稼ぎ出したのだ。

 多分、一介の行商人が稼いだ額としては、破格なんだと思う。

 それゆえに、他の商人たちから要らぬ嫉妬なども買い易いのだろう。


 それにそろそろ宿暮らしにも飽きてきていた所だった。

 金もある程度貯まったことだし、家でも買おうかと考えていた所だった。

 それを店として使うかはまだ決めていないが、今はともかく拠点となる場所が欲しい。

 やはり異世界にいても帰る家というのは、どうしても欲しいモノなのだ。


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