最高誕生の祝初日 7
ブレイザードの魔力は高良の魔力と触れた瞬間、ド派手に暴発した。
爆発により熱風が巻き起こり、高良の髪の毛がなびく。
「ほんっとお前と戦うの嫌なんだけど!!」
暴発する魔力と自身を切り離し、さらにローブも手早く脱いでしまう。
ローブの中はタンクトップとジーパン。
必ず暴風が吹き荒れる彼との戦いでは、ローブは動きを邪魔するだけだった。
「触れた魔法も暴発するし、自分の魔力も暴発させるとかなんだよアンチ魔法かよっ!!」
そして突撃する。
ブレイザードとの戦いでは魔法は使用禁止と言っても過言ではない。
故に接近戦に持ち込むしかないのだが、
「知るかよ!」
それはブレイザード自身も承知している。
同じく接近戦で応じる。
ブレイザードと高良の身長差は約10センチ。
そして、特性上高良の十八番は『使えない』。
「…仕方ないか。」
呟き、床に触れる。
高良の魔力に応じるように床の表面部分が手元に集まり、さらに材質まで変化する。
「はああぁぁぁぁああああ!!!」
錬金によって生みだされたレイピアがブレイザードの喉元へ突き出されていく。
「おまっ、俺を殺す気かよっ…!」
だが、届かない。
それに気付いたブレイザードが再び爆風を起こしたからだ。
今度はさらに魔力を注ぎ込み…レイピアが吹っ飛んでしまうぐらいのものを。
レイピアが宙を舞うと同時に、ブレイザードは高良の目元に指を2本付き出した。
高良の目の前で止まったそれは、1秒もあれば目を突き刺さる。
高良の手は何も触れていない。
空気を錬金してもいいが、それはあまりにも無謀な賭けだった。
「…ちぇっ、素直に如意棒みたいに伸ばせばよかったのかな。レイピアよ喉元にあたれーって。」
「やめろ、それは最早超常術師の話だろ。」
こうして、彼らが言ったとおりに模擬戦は一瞬にして終わったのだ。