最高誕生の祝初日 4
ブレイザードが案内されたのは開発部門ビル地下3階の実験室だった。
実験室には手前側と奥側に長机が2つ。
手前側の机には15の魔法道具、奥側の机には情報測定用のパソコンが3つ置かれていた。
そして、机と机の間は強固なアクリル板で仕切られていた。
「あの、高良さん。」
「ん?なになに彩香ちゃん。」
白衣に茶髪のセミロングの若い女性…彩香=ブルーメイトはほぼ同年代だが、事実上上司に当たる高良に疑問をぶつけた。
「なぜ、わざわざアクリル板で仕切るのですか?普通、破壊時の被害実験ではバリアウォールを使うのではありませんが?わざわざ運び入れたり、出したりするのが大変じゃないですか。」
その問いに、高良は笑みを浮かべて答えた。
「彩香ちゃん、確かに普通はそうだよ。魔導師が魔力を込める魔導道具も、道具に最初から魔力が入っている魔法道具でもね。」
けど…と言葉を続けた瞬間、アクリル板越しにもわかる衝撃が実験室内に起こった。
「え、け、煙!?い、一体何が…!」
彩香が戸惑う中、高良は苦笑いを浮かべていた。
「魔法道具は滅多なことじゃ壊れない。けど彼、ブレイザード=トラッカーは絶対に壊すことができる。」
煙が晴れると、魔法道具をものの見事に1つ破壊したブレイザードの姿があった。
「だって、彼の魔法は『魔力を暴発させる』ものだからさ。魔力製のバリアウォールじゃ、俺達までも木っ端みじん切りだよ?」
彩香の顔を青ざめるのには、その言葉と目の前の状況で十二分だった。