最高誕生の祝初日 3
高良に着いて歩き、約10分。
役所から遠くないそこには高良の仕事場である魔法道具開発工場があった。
工場といっても開発部門と製造部門で建物は分かれており、高良が案内したのは開発部門の建物…15階建ての真新しいビルだった。
「…で、俺はお前の作った魔法道具でも扱えばいいのか?」
そうブレイザードが聞くと、高良は首を横に振った。
「いや、今回俺は作ってないよ。魔導師用の道具とはいえ、同じ錬金術師用の道具は苦手だからね。社長にお願いして外してもらっちゃった。」
テヘペロッ!と効果音が付きそうな表情にイライラしつつも、ブレイザードは納得していた。
魔導師は魔術師、超常術師、錬金術師に分類されている。
科学で再現できる魔法。これを操るのが魔術師。
時空移動や神降ろしなど再現できない魔法を操るのが超常術師。
この上記とは別に天体作成やバリアウォールの構築など0から物質を作成することに特化した魔法を操るのが錬金術師とされている。
錬金術師はあまりにクセが強く万人受けする道具が作り辛い。
万人受けする魔法道具を作るのが得意な高良にとって、錬金術師用のは作りたくないというのが本音だったし、今までもそうだった。
「まあ、お前自身がそれで問題ないなら口は挟まねーよ。…そっか、炭酸が作ったやつじゃないのか。なら『壊す前提』でいいんだな?」
そうブレイザードが確認すると、高良はにこやかに頷いた。