平常勤務の降雨日
自室で目覚めたブレイザードは、いつもと大して変わらない朝にため息をついた。
「…あー、雨か…めんどくせぇ。」
ティルコードは島国の中でも独特の文化と気候となっている。
1年が15ヶ月で等分されおり、季節が5つに分割されている。
今月『緑現月』は雨が非常に多い季節となっていた。
「…うし、仕事だ仕事。」
手早く着替え、朝食をゼリー飲料で済ませる。
鞄を引っ掴んで外に出る。
外の雨は中々に激しく、風も強かった。
「いいよな、マトモに魔法が使えるやつは。」
そう言いつつ、ブレイザードは魔導道具である靴を履き、傘を差して出勤した。
「おはようございます。」
傘立てに傘を突っ込み職場…いわゆるスーパーに入ると、店員がヒソヒソ話していた。
「………ガリアン店長、どういう状況ですか?」
状況が掴めないブレイザードの質問に店長…ヒュー・ガリアンは歓喜の笑みを浮かべて近づいた。
「ブレイザード!!いやな、実は少し厄介なクレーマーが来ているんだ。…いけるか?」
その言葉にブレイザードは頷いた。
「そういうトラブルばかり押し付けられて来ましたから…!!」
ブレイザードが対応するクレーマーは1種類。
実際に魔法を行使してくる暴力的な客だ。