序章 続きの始まり
「継承」とついてはいますが、シリーズ最初の作品です！
ですがシリーズ全体としては、かなり最後に当たる作品でもあります。
一話一話はそんなに長くないと思いますので、ゆっくりとご覧ください＾＾
エプリカ継承記
序章 続きのはじまり
「えっと・・・次はどうだっけ・・？」
少女は必死に思い出そうとしていた。腕を組んで時折、
「う〜ん、う〜ん」
と首をかしげながら、必死に思い出そうとしていた。
その様子は、傍から見ると愛らしいと言えるかもしれない。
・・実際その少女は、まだ幼児といって差し支えない容姿をしていたのだから。
「・・・ま、いっか。なんとかなるでしょ。」
先ほどの真剣さはどこに行ったのか、このような言葉で締めくくる・・・そしてもう振り返ろうともしない。
・・少女はいわゆる‘賢い’部類には入るが、細かいことを考えるのは苦手・・というより性に合わないのであった・・・
−ここは剣と魔法の世界‘エプリカト’−
いわゆる異世界である。また、この世界で唯一発見されている壮大な大陸を「エプリカト大陸」という・・そのままではあるが・・・
この剣と魔法の世界には、かつて多くの英雄と呼ばれるものが誕生した。彼ら、彼女らの中で、一般的にもっとも有名なのは、「八創士」と「北の英雄」であろう。
・・おそらく気づいたであろうが、「八創士」とは一人の英雄を表すのではなく、八人の人物を指す。
そして有名な理由としては、その強さ、成し得た偉業ももちろんであるが、世界の歴史上ごく最近の出来事であり、彼ら、彼女らがいまだ‘現役’ということも挙げられよう・・・・・
—異変は突然であった—
敏感なもの、少なくとも剣を生業とするならば感じるであろう。
—とてつもなく大きく、邪悪といえる気を—
このまだ歴史の浅い街の長である男性とその息子も、‘もちろん’，感じていた。
・・・この街の長こそ「北の英雄」レイルその人なのだから・・・
「この邪悪な気があの人たちのもの・・・？」
「これほど強大な気はあの者たちの他にか考えられん。・・・誰かも見当がつく・・・」
「・・・そうですね。・・しかし何故、「八創士」の一人であるあの人が！？」
「・・・・・‘英雄’とは正義の使者ではない。大きな時と場で、己の信念を貫き通した者への、いわば称号なのだ・・・。」
「・・・では、‘北の英雄’と呼ばれている父さんはどうするのです・・？」
「・・・どうもしない。」
「えっ！？・・・」
「・・・私も英雄と呼ばれてはいるが、あの者との実力の差は明らかだ。・・それに私はこの街を守らねばならない。」
「なっ！・・・」
若者は呆然とした。・・信じられなかった。・・・とても英雄である父の言葉とは思えなかった。
「・・・自分の街さえ守れればいい。・・・本気でそう思っているのですか！！」
「・・‘自分の街’という表現はおこがましいな。・・だが、これが私の‘信念’だ。」
「・・・こう言った以上、それを覆すことがないことは、息子であるお前ならわかるだろう？」
「・・・・・わかりました・・・」
明らかに納得の言っていない口調で答える。
・・・実際その次の日の朝には、この青年の姿は街から消えてしまっていたから・・・
「・・・これでいいのか？」
「・・・・・はい。・・・でも、すみません・・・」
「謝る必要・・・この場合、意味は無いな。・・・もし失敗すれば、謝ってすむ問題じゃ無くなるだろうからな。」
「・・・・・」
「あなた、こんなか弱い子をいじめなくても」
「・・・か弱い、か・・・・・」
「・・とにかく、ご協力感謝します。・・・では。」
「・・・ああ」「気をつけてね。」
そして少女もこの場から去る。
「あなた」
「・・なんだ？」
「・・・私も、あの子達を信じますよ・・・」
−英雄の息子である若者が旅立つところから、この物語は始まる−
—受け継ぐものの物語—
−その若者の名は‘ラル’といった・・・−
はい、いかがでしたでしょうか？
・・まぁ、序章なので第１章までは見ないとなんとも言えないと思いますので、続きを是非！
ちなみにこの作品のコンセプトのひとつに、
「一作ごとに謎の提起、そして一作それぞれで謎の答えがわかる作品」
というのがありまして、この作品だけではいろんな謎が出てくると思います。
実際、作者の自分もまだわからない(決めてない)謎、出してますので＾＾;
その答えが、これから少しずつ解明していけたらと思います。
そして一応、この作品中にも謎の答えが今後出てくる予定です。
シリーズが一周回って、これをまた読んでいただけた時に「あ～、確かに答えでてるわ！」と言っていただけたら最高です。
