エピローグ
今年の4月、俺――――月見里悠理――――は高校2年生になった。
別段、2年生になったからと言って特に変わったことはない。
今までどおりだ。
苦手な朝を起きて、学校に行き、面倒な授業をただひたすら受け、休み時間は机に突っ伏して、昼に母が作った美味しくも不味くもない弁当を頬張り、精神的疲労を抱えダラダラと家に帰るのだ。
それをまた今日から繰り返すだけだ。
「………はぁ」
そう考えると思わずため息が漏れた。
今、俺は入学式が終わり一人とぼとぼと帰路を歩いている。
ちなみに友達は一人もいない。欲しくもない。
俺は周りからは頭脳明晰、運動神経抜群の文武平等についで、結構な美形ともてはやされる。
そのせいで学校のどのグループに入ろうとしても謙遜され最終的には一人になってた。
何回も色々なグループに入ったが長年のぼっち生活のせいで俺はコミュ障になってほとんどしゃべれなかった。
それを相手はどう勘違いしたのかクール、寡黙などの印象を受けたらしく数日の間につまらん男と思われ結果、ひとりぼっちになっていた。
顔色を伺い生きていくなんて精神的疲労を増やすだけだ。
友達なんて疲れるだけだしいらないや、と気づいたのが高校1年の秋頃だ。
とそんなことを考えてきたその時、
ブォォォォォォォ!!ブォォォォォォォ!!
「なっ…………!」
大型のトラックがこちらに向かって猛スピードで走ってきている。
ただ走ってきているならまだ希望はある。もしかしたらただのスピード違反かもしれない。
が、問題はそのトラックの運転手だ。
耳を真っ赤にし、ハンドルに突っ伏しているのだ。
どう見ても飲酒運転だ。
俺とトラックの距離がもう数メートルまで迫っていた。
逃げられる距離ではない。
後ろには一軒家の塀があり、恐らくトラックにぶつかり押しつぶされるのだろう。
俺は人生で初めて死を覚悟した。
思い返してみるとろくでもない人生だった。
両親には美形に生まれたのはお前らのせいだと恨んだこともあったが、今思えばいい家族だった。
死んだら悲しむだろうか。
できれば迷惑は掛けたくないし、できれば両親に今まで育ててくれた恩は返してやりたい。
……無理だな
目の前まで迫ったトラックを見てそう思った。
ゴシャ!!トラックがガードレールを突き破って来る。
後1秒にも満たないうちに俺はあの世行きだろう。
俺は目をつむり、意識が途絶えるその瞬間を待った。
初めてですので。出来れば感想をください