もう一度恋の予感(五百文字お題小説)LAST PART
お借りしたお題は「自転車」「予防接種」「ストレス」です。
風疹の予防接種を受けに行った松子は自転車ごと車に接触して、救急車で搬送された。
その病院に恋敵と勝手に認定している萠がいた。
ところが、その萠と思われた看護師は実は多恵で、他人の空似らしかった。
更に松子はトイレに行く途中で、親しげに話すイケメン医師の長谷川さんと多恵を見かけてしまった。
(どうして隠れるの、私?)
思わず人の病室に身を潜めてしまう松子である。
やがて長谷川さんは立ち去り、多恵も手を振りながらこちらに近づいて来た。
「長谷川さん、ちょっといいかな?」
その多恵に松子の担当医の神経内科の夏目さんが声をかけた。
(は・せ・が・わ・さ・ん?)
松子は、多恵の名字を知り、顎が本当に外れそうになった。
(長谷川多恵? という事は……)
二人は夫婦?
松子は更にストレスが悪化した。
(また恋が終わった……)
項垂れて病室に戻る松子であった。
一方、多恵はナースセンターにいた。
「さっき、多恵のお兄さん来てたね。何話してたの?」
同僚の看護師が尋ねた。
「唐揚げ屋さんでよく会う子が私にそっくりだったので、間違って声かけちゃったって言ってたの。結構ドジなんだよね、ウチの兄貴」
「イケメンだから許す」
そんな真実を松子は知らない。
そんなものですね。