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Sな王子様とM?な迷い子  作者: 雲猫’
異世界の少女編
3/19

昔話はいかがですか?


「これは古い本ですね。かなりボロボロですが何とか読めそうですね。」



~歴史~


 大昔、世界は一度滅びた。人々は集まり、小国家を次々誕生させた。

しかし大地は荒廃し、実りなど無く人々は疲弊ひへいし力尽きていった。


 だか、人々は諦めなった。互いに手を取り、助けあい、いつしか小さな国々はやがて巨大な国を創った。


 青年が精霊や神獣など人外の者とも協力し、大地を癒し豊かな世界を取り戻した。


 そして青年は王となり国は大いに栄えていった。


”だが…、その豊かさは徐々に欲を増幅させていった。”


 王は共存を望み人間族以外の人々に分け隔てなく接しました。

功績を残した者には爵位と土地を。能力の有る者にはその能力に見合った役割をそれぞれ与えました。 しかし、人は他人の功績を羨み、それは、妬みや憎悪の感情を生み出してしまいます。


数十年、国は栄え、人々は豊かな暮らしをする反面、人々の心は荒んでいきました。


 そして…、その時は来てしまいます。

 王が亡くなったのです。


 大半の人間族達は”人間族以外の種族が結託し、王を害したのではないか”と、言い出しました。


 王を害したのは王の兄でした。二人は仲の良い兄弟でした。…しかし、自分より皆に慕われ王になった弟に劣等感を抱いてしまう。


 兄に弟を殺し自分が王に相応しいと意見した者もいました。この国の大臣です。

 兄は王よりも上のくらい、皇帝を名乗り大臣と結託し人間族以外の人々を追放してしまいます。


 追放された人々は国の外に小さな集落を作り、国からの重圧や批難から身を護りながら耐えました。


 人間族の中にも共存を望む者が大勢いましたが、皇帝はその人々までも、追放してしまいます。

 共存を望む者よりも、追放に賛同する者が圧倒的に多かった為誰も止めません。


国に残った者の多くは恐れていたのです。


 獣人の身体能力の高さに。


 竜人の卓越した戦闘能力に。


 エルフの薬や魔術の知識に。


 小人の物を作り出す創造力に。


 魔族の桁違いの魔力に。


 水中も難無く動く事の出来る水人に。


 自分達とは違い永い寿命の人々に。自分とは掛け離れた見かけに。


 人間達には恐怖であり、脅威でした。



そして、ついにこの地を離れる決心をした者たちにがいました。


 先ずは、精霊達でした。彼らは人間族を見限りました。


”でも、いつか…”



 次は水人、彼らは雄大な海を選びました。”我らは海を選ぶ、我ら以外は立ち入れない”と言い海底に国を創り隠れてしまいました。



 小人族は今だ荒れた広大な岩山を選びました。

”自分達は手先が器用だから地下に国を創れる”と、広大な岩山を要塞に、地下に穴を掘り国を創りました。



 竜人達は、岩山よりも厳しい環境を選びました。砂漠です。

”私達は乾燥した大地でも生きていける”と砂漠のオアシスを見つけ国を創りました。

 エルフ達は人の手が届かない深い森を選びました。

”草木があれば薬の知識で生きていけます”と深い森の奥に国を創りました。



魔族達は旅に出ました。


”強すぎる魔力は争いの種になる”と言い何処かへ隠れてしまいました。


獣人達は、空気の薄くとても寒い高山を選びました。

”頑丈さには自信があるんだ。毛皮も自前のがある。寒さも、高山病も苦じゃないよ”と言い旅立ちました。


 人間は平で肥沃な土地に新たな国を創る事にしました。


”私達は一番住み易い場所をみんな(他の種族)に与えて貰った”と共存を目標に国を創るのです。


そして、人間族の新たな国を建国した、王の息子、後の英雄の物語に続きます…。

それが、今のこの世界の成り立ちです。



しかし、それはアスガルズ大陸での話。


これは、世界の中心〈世界樹〉の西南にあるヨトゥン諸島の昔話…………。





ヨトゥン諸島は大小様々な島の集まり。


「大きな島が、7つ、後は小さな島があります。」


この諸島にはふたつの種族しか居ませんでした。


巨人族と人間族です。


「他の種族が居ないのは不思議ですよね。」


各島々は小さいながら豊かでしたが危険な生き物も多く生息していました。


「魔物や凶暴な動物が今でも居て頭の痛い問題ですよ。」


巨人族と人間族は力を合わせて国を創ろうとします。


「争う理由がありませんしね。」


が、体格差がかなりありました。片方に合わせた建物にすると片方が不便です。


仕方なく、それぞれ違う島に国を創る事にしました。


「まぁ、そうでしょうね。巨人族に比べたら私たちは手の平サイズですから。」



“例え違う国であろうとも、私たちの絆は消えません”


“どちらかの国に問題が起きた時、昔と同じように助け合おう”


“たとえ永い時が経っても…”


「今でもこの約束は有効ですよ。あちらに何かあれば…、分かりますよね?」


こうして、ヨトゥン諸島にはふたつ種族が国を創りました。


「ん? あぁ、アスガルズ大陸には行かないのか?」



「興味はあったかも知れませんね。」



ヨトゥン諸島は確かにアスガルズ大陸と比べれば小さな島々です。けれどどの大陸よりも豊かでしたから、外に出る必要がありませんでした。


「建国したのは大陸のどの国よりも古いんです。争いもありませんでしたし。」


船を出そうにもアスガルズ大陸まで時間がかかります。


「一ヶ月が妥当ですかね。」


飛べる騎獣は半分の時間で行くことも出来ます。


「休憩ポイントが必要ですがね。大陸に着くまで一週間程です。」


魔術で飛んで行くことも可能でしょう。


「並の魔力では無理ですよ。」


実際、アスガルズ大陸まで言った者は居ました。


「国ではなく、個人が興味本位でね。」


大陸に渡った彼は様々な情報を持ち帰りました。


「だから、この昔話が出来るんですよ。」


彼が帰ってくると、皆外に興味がわき大陸に渡ろうとする人々が増えました。


「人は未知の物に惹かれますからね。」


各国の王様は考えます。“もしも、大陸の者が侵略して来たら…。”なので各国の王は考えました。


「判断基準が乏しいですからね。」

“ならば、私達の事を隠せばいい。それだけ守れば自由に行き来すればいい”と。


「まぁ、なによりで平和な国です。争い事の種になることはしたくは無いんですよ…。」


これが、巨人族の国〈ウートカルズ〉と人間族の国〈ヘイムダール〉の成り立ちです。


「かなり簡略していますがね。」


〈ウートカルズ〉は元々あった巨人の国の名前。〈ヘイムダール〉は……


「おや、文字が掠れて読めませんね…。」


「あぁ、話が長く成りましたね。

それでは、私はこれで。」




《……この人だれ?》



   終わり

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