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Sな王子様とM?な迷い子  作者: 雲猫’
婚約者編
16/19

番外編 ~クリスマスの過ごし方・ニーアとナナ友達以上?恋人未満~前編・クリスマス当日

遅れましたごめんなさい。

 どうも、皆さんパッピーなクリスマスを堪能していますか?え?リア充爆発?クリスマス中止万歳?


 まぁ、他人は他人はですよね。



 私のクリスマスイブは何だか私の知らぬところで話が進みついていけません。ニーアさんと行き付けの雑貨屋さんの店主が同じ名前とかそんな事を知ったり、犯人探しにニーアさんが悪どい顔で笑っていたとか、ブッシュドノエルを二人っきりで食べたとか……でも、当初のニーアさんに休んでもらう、は失敗でした。夜の間にニーアさんは外出してしまいましたし……ハァ……上手く行かないものですよね人生って。




「でも、恋人未満でも……二人っきりで過ごせたのは嬉しかった……えへへ♪」



 ヤバイわ~ニヤニヤが止まらない…えへへ♪


 今の私の顔を見られたら「何ニヤニヤしてんだよ」って罵られるわ……それは嫌だから早くこのえへへな顔を元に戻さないと……あぁ、でもニヤけるなぁ……




 オホンッ……えぇっと、あのあとのニーアさんは証拠を掴むためケーキを食べ終わるなり出たいってしまいました……いえ、別に夜まで一緒に過ごすつもりでは無かったので別にいいのです。仕事ですし……けど、ちょっぴり…いえ、何でもないです。


 ニーアさんが体を大事にしてくれれば良いです。





 そんなニーアさんは一仕事終えたスッキリ顔で帰ってきた……けど、ちょっとお化粧しているのは……どういった……ご趣味ですか?




「まさか女装なご趣味が……でも、全く違和感がない……」


「何が?」


「それは勿論ニーアさんがとても女装がお似合いで……ニャ!!?Σ(゜Д゜)」



 後ろからの声に反射的に口を滑らせた私の後には……ニーアさんが……バックに美しい花々を背負っている様な笑顔で………



「へー。俺が女装してるの気づいたのか……」


「あばばばばばばば……ち、違います!あのですね……え?……女装……してるんですか?」


「あぁ。趣味じゃないけどな。」



 え、以外な……返答が帰ってきてビックリした……


 何でも、女性に化けた方が色々と楽なんだそうです。人の…特に男の人は女性には口が軽くなるんですって……わかる気がする。ニーアさんの綺麗な女装姿で微笑まれたら……正直私も…照れます(照)




「…ま、良いけど。さて、昨日作ってたジンジャークッキーは有るか?」

「え、ええ。ありますけど……何か使うんですか?」

「フッ……まぁ、な。」



 ニヤリ……また何か企んでいる顔をしていますねニーアさん。でも、今回の笑顔はスッキリしているのかほがらかですよ……またえへへな顔をなりそうだ。


 そんなえへへな顔を隠しながら昨日王妃様に献上するはずだったジンジャークッキーを詰めた箱をニーアさんに渡す。一体何に使うのでしょう?



「これか……じゃ、行くか」

「えっ!?」

「その格好なら別に城に行っても良いだろう行くぞ」

「い、行くぞって何処に!?」



 私の手を引いて……昨日と同じ様な展開に……また私は事情が飲み込めないのでした。


 ちょっと待ってください。この格好は……この格好は……貴方に着とけと言われて着たものですよ!?もしかして元からこの為に…ぬ、ぬか喜び……


 実は、今私はドレスアップしています。化粧もマーサさんにしてもらったのでまさに馬子にも衣装な状態だったのです。



 なのでなのかニーアさんの私に対する扱いが柔らかいです。引っ張るにしても引き摺らず、エスコートしてくれてます。夢のようです。



 でも、どうせニーアさんは考えがあってこんな格好をさせたのでしょう……クリスマスのプレゼントかとぬか喜びした私がバカでした。








        ********







 いつも地味で機能的な服を好んで着ていたナナにドレスを贈った。本当はプレゼントの意味を込めたつもりなんどけどな……今回の事に利用した事で完全に勘違いしている。


 ま、仕方ないか。これも俺の仕事のためだ。何よりナナを貶めようとした奴らが気に食わない。



 誰のモノに手を出したのかをじっくり示さないと……今後この様な事がないようにしなければ。





「えっと……何処に向かっているので?」

「王妃の部屋だ」

「……もしかして件の?」

「あぁ。」



 今なら王妃の部屋に例の犯人も居ることだろう。推理ショーはしないが、真実を王妃に知らせる必要があるのだ。それには当事者ではないがナナにも聞くことがあるため……連れていかないと行けない。


 チッ……んなこ事が無かったら今頃自室でのんびりしてたはずだ。しかもお菓子付きで。


 それに、贈ったドレスをこの為に用意した物とか思われてるし……き、綺麗とか……言えなかったし……この姿を他の野郎共に見せなきゃならないのが一番癪だ!!



「王妃、ニーアです。」


「どうぞニーア。中にお入りなさい」



 王妃の部屋に入ると王妃に仕える侍女二人と先に来ていたビートン侯爵令嬢と取り巻きのご令嬢3人が居た。それと侯爵令嬢の侍女も二人連れている。



「まぁ、ニーア殿下……と、ご婚約者の方も、ご機嫌よ」


「ご機嫌ようご令嬢方」

「ご機嫌よう……」


 見るからに俺の嫌いなタイプのご令嬢だな。てか、あまり顔を会わせないからどうでも良いけどさ。ナナを完全に敵視している辺り……自分は王族にお近づきになれないのに俺の婚約者になったナナが気に入らないのは明らかだ。


 ナナだってな、なりたくてなった訳じゃねぇーんだよ。身を守るために仕方なくなんだよ。勘違いしてんじゃねぇーよ……あ、言ってて自分が傷付きそう。




「王妃、ナナにクッキーを頼んだようですね?」


「えぇ。面白い形のクッキーを焼いてくれるってね♪ それで?昨日貰う筈だったのに……」


「すいません。昨日の今日だったので。今日お持ちしましたよ。でも、話をしなければいけません……」


「そうね……さあ、話をさっさと終わらせましょう? ミリー、お菓子と紅茶を」


「かしこまりました」



 王妃の指示で侍女が紅茶とお菓子を用意し始めた。そして王妃によりナナを王妃の隣に座らせ俺もその隣に座った。侯爵令嬢達とは自然に距離を取った。ナナは空気を読んだかずっと静かにしている。勿論王妃には挨拶を済ませた。



「今日はとある方からクッキーを貰ったの……私クッキーが大好物なのよ?」


「まぁ、知っておりますわ」

「宮中では誰もが知っておりますわ」

「えぇ、そうですわ」

「目がないとよくお聞きします」



「そうなんだ……知らなかった」



 ナナがぼそりと、つい口から出た小さな声で呟くと令嬢達がナナへの攻撃を開始する。



「あら、ご存じなかったの?ふふふ」

「宮中では知らないものなどいないかと思ってましたわ」

「ナナ様はとても疎いのですね…ふふ」

「まぁ、皆さん。ナナ様はあまり宮中に居られないのですから…」


「そうだな」



 癪だ。ホントに癪だ。情が移ったのかナナへの攻撃を容認できない。



「俺と一緒に離宮に居ますので……それに、この姿を他人の目にはあまり見せたくないのです。子供のような嫉妬ですよ」


「まぁ♪ ニーアはナナさんにベッタリなのね~。若いって良いわね。」



 そう言ってナナの手を取り微笑むとナナは戸惑って顔を赤くする。頼むから変なことを言って否定するなよ? 俺だってな…恥ずかしいんだぞ。だから辛抱しろよ?


 侯爵令嬢の表情は鬼かって程歪んでいた。おいおい…そんな顔を見せて良いのか?



 侍女が紅茶を入れてもう一人がクッキーを出してきた。テーブルに置かれたクッキーはあの件のクッキーと間違えるほど見た目そっくりな物だ…


 そう。分かりやすいけどこの侯爵令嬢が犯人だ。厳密には指示していたのが侯爵令嬢。実行したのが侍女。さぁ、食ってみろ。食えるもんならな。



「さあ、召し上がれ♪」


「あ、どうも。じゃ、貰います」



 なんの躊躇もなく…とはいかなくて、すこし困惑して王妃の目を見てからパクりと食べたナナ。それに続いて俺も王妃の目を見てから食べる。これで俺とナナの犯人の可能性が無くなった。


 侯爵令嬢達がなんの躊躇も無く食べていた……あの時王妃の横に居たのに……よく食べれるものだ。例え忠誠心があろうとも躊躇無く食べるなんてな……



 何故か?元々件のクッキーは毒なんて入ってなかったのさ。



「それにしても、王妃の酔狂ぶりには呆れましたよ……この間の事があったのに……クッキーを出してくるなんて……」


「あら、このクッキーはあの時の物って……よく気がついたわね?」


「えっ!!ど、どうしよう!

「落ち着け……毒は入ってないよ」


「ふふふ……普通はその反応よね。ねぇ?」


「え?えぇ……」



 そう。侯爵令嬢による狂言だったのさ。あの下女も狂言だけで済む筈が、証拠隠滅の為に殺されかけていた。金で雇われ、命も奪われかけた下女はスラスラ話してくれたよ。そのお陰で証拠も簡単に取れた。



「あの事件の事はどうなったのかしらね?」


「聞くところによれば……あの下女は無くなったらしいですよ? 不自然なことに、目が見えなくなっていたはずなのに一人で山に入ったのか崖から転落したようですよ?」


「まぁ、……可哀想に……それにしても不自然ね」



 勿論下女は生きている。俺が死を偽装したのだ。



「あの、王妃様、わたくし気分が優れないのでこれで」


「ごめんなさいね、この様な話は慣れていないでしょう?」





 王妃の声から副音が聞こえてくる……「なれてないないのよね?だってそんなことを思い付くわけないのよね?それとも自分の罪がバレないか心配なの?」と。


 この人は侮ってはいけない。人の弱味を見つければその尻尾は放さない。死ぬまで恐怖を味わうことだろう。それだけ強かでなければ王妃など務まらない。



「ふふふ……ニーア?何を言いたいの?」


「敵には回したくないと本気で思っただけです」

「……(汗)」



 さて、後は証拠を話して俺たちも帰ろう。ちゃんとジンジャークッキーも渡して。







 俺達にまともなクリスマスなど無いのだと悟った俺だった。







《けど、このあとちゃんとナナちゃんが作っていたもうひとつの苺ケーキをまた二人っきりで食べたニーアでした。》

《実は結構なリア充なのには気がついていないだけてあった。》

《おーい。準備終わったよ~》

《おや、そうですか…では、我々も祝いましょうか》

《やったー♪》




      ――おわり――



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