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第27話 天上界15日目 その1 着ている服が透けて見えるスキルです!

「ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ」


 耳元で目覚まし時計がけたたましく鳴って、俺は飛び起きた。

「さ、起きたわね。きのうの続きをやるわ。スキルは考えた?」


 モニア様、もう俺を起こすことが面倒になったらしい。

 というか、天上界にも目覚まし時計ってあるんだ。

 どうせなら、アニメキャラのボイス入り目覚まし時計にしてもらえないかな。

 それより、圭の「お兄ちゃん、朝よ」って声が入ったものがいいな。


「という訳で、明日は圭のボイス入り目覚まし時計でお願いします」

「わかったわ。転生先に持っていくのはそれひとつでいいわね。それくらい神力ですぐ作れるから、出来次第転生させるわ」

 神力、便利だな。その目覚まし時計、確かに転生先に持っていきたいかもしれない。

「あ、でも、それじゃ魔王と戦えません」


「圭ちゃんの声を魔王に聞かせたらどうかしら。もし魔王が妹キャラ萌えだったらメロメロになって、簡単に討ち取れるんじゃないかしら」

「そりゃ圭の魅力の前では魔王もひれ伏すでしょうが、そこまで圭に頼るのは兄としてどうかなあ……」

「どこまでなら頼るのよ。もう圭ちゃんから離れてね。で、あなたの考えたスキルはどんなものかしら?」


「一応考えてはみたのですが」

「一応って。とにかく言ってみなさい」


「まず考えたのが、魔剣ですね。剣と魔法の世界と言ったら、魔剣は外せないかなと思うんですよ。魔剣ビシエドとか魔剣レアードとか魔剣デスパイネとかどうですか」

「魔剣はスキルというより装備だけど、魔剣を使いこなす力とセットと考えれば、スキルと言っていいかもしれないわ。でも、ビシエドとかレアードとかデスパイネって何? そんな魔剣聞いたことがないわ」


「いえ、魔剣の名前ってもう使い尽くされている気がしたんですけど、オリジナリティのある名前が思いつかなかったんですよ。だから、プロ野球の外国人選手で、バッターとして活躍している人の名前から取ってみました」

「ピッチャーではなく、なんでバッターなの?」

「魔剣もバットも振り回すところが共通していますからね」

「誰がうまいことを言えと。でも、そのネーミングじゃ魔剣はダメね」


 魔剣はダメか。いや、ネーミングだけで却下って、モニア様、厳しすぎないか。

 考えてみれば、魔剣って格好よすぎて、俺には似合わないかもしれないけど。

 じゃあ次の手だ。


「そうしたら、飛び道具系ではどうでしょうか」

「銃や大砲のない世界って言っていたのに? そうしたら、弓?」

「和弓でも洋弓でも、弓を引く人って、とても凜として見えますよね。剣も俺には似合わないと思いますが、弓はそれ以上に俺には似合わない気がします」

「それには全く異論はないわ」

 いや、モニア様、少しは異論を持ってくださいよ。


「例えば、火の球みたいな物を投げられるスキルはどうでしょう。一球一球の威力がそこそこならば、魔王の弱点を直撃しないとダメみたいに、程よいゲームバランスになると思うんですよね。火の球なら、かまどの火を付けたり、お風呂を沸かしたりと日常生活にも役立つので、魔王を倒したあとでも重宝されると思うんです」

「何よゲームバランスって。それで、どんなスキル名になるの?」


「魔球マルティネスとか、魔球オスナとか」

「もういいわ。外国人投手の名前なんでしょ。結果が見えていたのに聞いた私がバカだったわ。火の球も却下よ」

 火の球もダメか。


 飛び道具と言えば爆発系もあるけど、爆発スキルは先達がいっぱいいるから避けた方がいいかもしれない。

「エクスプロージョン!」とか言ってみたかったけど。


 となると、あと武器になるスキルといったら何があるだろう。

「言っておくけど、生物兵器や化学兵器はダメだからね。もちろん核兵器もね。そんな兵器に似たスキルを使われたら、その世界は汚染されてしまって存続できなくなるわ」

「でも俺がいた世界には全部あるんですけど」

「だからあなたたちの第三十九世界は問題になっているって言ったじゃない」


 元の世界は圭たちになんとかしてもらうしかないって、モニア様が前に言っていたな。

圭には申し訳ないが、今は転生先のことを考えるしかない。

 俺にも持てて、魔王と戦える。そんなスキル、どうイメージしたらよいのだろう。


 さすがにこいつも困っているみたいね。

 少し助け船を出してあげようかしら。

「魔王と戦うスキルが武器だけというのが、固定概念になっていないかしら。もっと自由にあなたのほしいスキルを考えてみてはどうかしら」

「俺のほしいスキル……あ、ありました!」

「あるじゃないの。言ってみなさい」


「着ている服が透けて見えるスキルです!」

 助け船を出すんじゃなかったわ。

「あのね、それでどうやって魔王と戦うの?」

「だってですよ、俺には服が透けて見えると思ったら、魔王は恥ずかしくて本拠地……魔王城って言うのかな……から出てこられないじゃないですか。あとは火攻めでも水攻めでも兵糧攻めでもすればいいんじゃないですか」


「えげつないわねえ。それに、魔王はだいたい男性よ」

「それこそ固定概念じゃありませんか。魔王が女性の世界に俺を転生させてくれればいいだけですよ」

「いくら魔王でも、同性をそんな目には遭わせられないわ。それにそんなスキルを持っていれば、あなたは街中でもどこでも誰が相手でも好き放題やりそうね」

「俺だってそれくらい自制できますよ」


「信じられないわ。第一、あなたがそんなスキルを持っていると知られたら、パーティを組む人がいないどころか、国の風紀を乱す者としてやっぱりお城の地下牢行きよ」

「そうしたら、俺の目にはお前の服が透けて見えるぞ、お前の○○○は○○だって言いふらすぞと、牢屋番を脅せばいいんじゃないですか」

なによそのスケールの小ささ!

「そんな方向ではなくて、これまでの人生経験のなかで、あなたが本当にほしいと思ったスキルを考えてみなさいな」


 俺がこれまでに本当にほしいと思ったスキル。

 それで魔王と戦えるスキル。

 あ、あった。これだ!

 俺は思わず立ち上がってモニア様に駆け寄り、モニア様の両肩をつかんで揺さぶった。

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