僕のともだち
僕にはともだちがいる。
とても大きなともだちだ。
「君、ひとりなの?」
そう聞かれた僕は始めは逃げようとした。
お父さん、お母さんからともたちのような相手に見つかったら必ず逃げろって言われていたから。
僕は全力で逃げたけど、ともだちは僕よりずっと大きかったからすぐに捕まっちゃった。
僕は抱え上げられながら、ともだちを震えて見ているとともだちは笑った。
「大丈夫。食べたりはしないよ」
そう言って僕はともだちの家に連れて行かれた。
そして、僕は住む場所とご飯を毎日のように与えられている。
「僕たちはともだちだよね」
そう言われて僕は頷くのだ。
これ以上ないほどの媚を売りながら。
*
「なぁ、悪いけど外のケースに一次的にその子を入れさせてくれないか?」
「どうして? お父さん」
「いや、展示用の奴が死んじゃってな。見栄えが悪いんだよ」
「流石に嫌だよ……だってこの子はともだちだもん」
「大丈夫。明日にはちゃんとしたの買ってくるから」
「うーん……」
「それにさ。その子にも良い部分あげるよ」
「そんなこと言っていつも切れ端しかあげていないじゃん」
開店前のレストラン。
そんな親子の声が響く。
いつも展示されている水槽が今日は空っぽだ。
そのせいで『当店では新鮮さを売りにしております!』という煽り文句が酷く滑稽に見えた。
開店まであと3時間――。




