スタート。
「このゲームは、いわゆる『生き残りゲーム』です。兄弟を全員たおして最後まで生き延びたものが次期後継者となるのです。参加権利は国王の子供のみに与えられます。その他の方は誰が時期後継者となるかを予想してください。見事正解した方には、より高い地位を与えます」
ゲームって『殺し合い』だったのか……。それでアリスはあんな態度を……。てか、兄弟で『殺し合い』って残酷すぎだろ!
ふと横を向くと、アリスは悲しみと怒りが入り混じったような、そんな目をしていた。
「ジル」
「ん?」
「死んじゃ……だめだからね」
アリスはそういって目をそらした。そっけないけど、俺はそんなありすの優しさが嬉しかった。
「ああ。アリスもな」
そのためには生き残らなくちゃいけないんだ。そして、アリスの兄弟を……。
「ええ。このあたしが死ぬわけないでしょ」
この意地っ張り。
◇◆◇◆◇◆◇◆
「えぇ、投票結果を発表いたします」
投票すんの早くね?
「第1位 長男・レザン様―――――17票
第2位 長女・マリンヌ様――15票
第3位 次男・グラン様――――08票
第4位 次女・モネ様――――――06票
第5位 三女・ファリーヌ様―03票
最下位 四女・アリス様――――01票という結果になっています」
名前、覚えらんねぇ。ってそんなことより、最下位って何なんだよ!1票って、少なすぎだろっ。
「アリス。これはどういうこと?」
「1票も入るなんてすごいことよ」
最下位ですごいって……。は?
「だってあたし、末っ子だもの。権力なんて『0』(ゼロ)に等しいのよ」
そりゃ、すごいな。別の意味で。
俺、絶対死ぬ。
今度こそ俺、確実に死ぬ。
だってそうだろ?
普通、敵は弱い奴から消していくじゃないか。
俺、1番に殺される……気がする。
◇◆◇◆◇◆◇
「ルールは簡単です。相手を倒すためならどんな手を使ってもいいです。兄弟同士で手を組むのも有りです。仲間だってつくっていいですよ。獣人だろうと、幽霊だろうと、妖精だろうと」
適当だ。すっげー適当だ。なんでも有りって……。
「アリスは誰かと手を組んだりはしないの?」
「レザンお兄様あたりと手を組めればかなり有利なのでしょうけど」
ああ!その手があったか。俺、生き残れるかも!
「そうすればいいじゃん」
「あたし、お兄様とは仲が悪いのよ」
あぁ……。アリス、わがままだもんな。意地っ張りだし、冷たいし。「フレンドリー」って言葉がめちゃくちゃ似合わない。
「じゃあ、他の兄弟は?」
「あたし、みんなとも仲が悪いの」
そうですか……。俺、マジで死ぬかも。
「でも、レザンお兄様とマリンヌお姉さまは仲がいいのよ。きっと手を組むに違いないわ」
つまり、1位と2位が手を組むってこと?
「アリスは2人に勝てるの?」
「ええ、もちろんよ」
どこから沸いてくるんだ?その自信は。
「どうして?」
もしかしたら、必勝法でもあるのかもしれない。
「私の勘よ。結構当たるの」
俺の期待を裏切ってアリスは自慢げにほほ笑んだ。
その笑顔を、俺は守りたいと思った。
ずっと、となりで笑っていて欲しいと思った。
何でかは分からないけど、そんな気がした。
死ぬかもしれないって言うのに、そう思ったんだ。
俺、おかしくなっちまったのかもしれない。
読んでくれてありがとうございました。